森の住人から「ねぇ、ちょっと聞いて、聞いて！」

　　名張毒ブドウ酒事件で裁判の間、一貫して無罪を主張しながら、死刑が確定していた奥西勝死刑囚の再審が認められる方向に、少しだけ動いた判決が、先週６日の火曜日に最高裁から出た。死刑囚として囚われの生活だけで３８年間。本人は８４歳になってしまった。証拠調べに不十分な所があり、冤罪の可能性が濃厚だという。もし、彼が、本人の主張通り、無罪だったら、どういうことになるんだろうか。
　　先日は、１７年間も刑務所に入れられていて、無罪と分って釈放された足利事件の菅谷さんの例もあった。その前にも、痴漢の冤罪で、刑務所に入れられ、真犯人が分り釈放された人のケースもあった。郵便割引不正で、本人が一貫して「関わっていない」と言っているのに起訴され、裁判になっている厚生労働省の元局長もいる。彼女も「冤罪」の可能性が高まっている。
　　こんなに続いているのだから、いま現在、無罪なのに刑務所に入れられている人が何人いるか、分ったものでない、と思うのが自然だろう。表面に出た「冤罪」は、氷山の一角に過ぎない。
　　こうした場合、調べて送検した警察、起訴した検察庁、判決を下した裁判所の担当者は、全く責任を問われず、処罰もされないのだろうか。冤罪で、２度とない貴重な人生を犠牲にされた罪のない人たちは、泣き寝入りするしかないのだろうか。
　　不注意で事故を起こした運転手、医療ミスをした医者などは、それぞれの法律で裁かれ処罰される。どうして、司法関係者の怠慢やミスだけが許されるのだろうか。
　　マスコミの各種世論調査で、半年前に政権交代を成し遂げた、民主党・鳩山政権の支持率が下がり続けている。その大きな要因が「政治と金」の問題だという。だが、「政治と金」の何が問題なのかを、誰もはっきり立証していない。皆「何となく胡散臭い」と感じているだけなのだ。
　　その大きな原因を作ったのは、民主党の小沢幹事長を、たいした証拠もなく取り調べ、その結果、日本の政治をメチャメチャにした、検察庁だ。もし、小沢氏が法的に何の罪も犯していないのなら（実際、法的には現在、罪を犯していない状態になっている）、彼が目指した「政権交代」のある民主政治も、結局、検察のシナリオにはめられ、「冤罪」の犠牲になろうとしているといえないだろうか。この責任を、検察はどう取るのだろうか。また、その検察のシナリオを、他の冤罪事件の時と同じように、根拠もなく垂れ流し騒ぎ立てた、テレビなどのマス・メディアの責任は、どうなるのだろうか。最終的には、そのマス・メディアに「洗脳」され、世論調査の結果に貢献した国民（有権者）の責任ということでもあるのだろうが。
　　先週、自民党を飛び出し、「右翼老人」５人で、何に向かってなのか分らないが、とにかく「立ち上がった」、与謝野氏も、「週刊朝日」の報道（2010年４月２３日号）によれば、小沢氏以上に「ヤミ献金」問題の疑惑を抱えているという。検察庁が、こちらの方には目をつぶっているのは、不公平だ、と同誌は書いている。
　　世論調査で、民主党の支持率が下がっているもう一つの理由に、「鳩山首相が優柔不断で、何も決められない」というのがある。これも、マス・メディアが勝手に作り上げた「虚像」に国民（有権者）が「洗脳」されているとしか思えない。例えば、「普天間問題」。
　　閣僚が色々なことを言ったりして、閣内で自由闊達に議論が行われるのは当然のことで、それを首相が強引に統制する必要は全くないと、僕は思う。どこが「優柔不断」なのか。マス・メディアの報道を見ていると全く分らない。首相が、沖縄の米軍基地負担を少しでも減らそうと、苦労しているのに、日本のマス・メディアは、その足を引っ張る報道ばかり。裏で米国から金でも貰っているのか、と勘ぐりたくなる。
　　日本の民主主義は、検察庁と米国、それに両者にベッタリのマスコミによって潰されるのだろうか。クワバラ、クワバラ。。