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カテゴリ:映画
監督 堤幸彦
学生時代、下宿にいろいろな宗教の勧誘が来た。そこで「愛する人が植物状態になったら、あなたは愛し続けることができますか」という問いかけをされたことがある。その問いかけをしたのは統一協会の活動家(っていうのかな?)だったのだけど、言っている本人も答を持っていないのは明らかで、要するに人を不安に陥れて勧誘する手段として、そんな問いかけをしていたのだと思う。 人間に死がなければ、または死に等しい病気がなければ宗教は成立しないと思う。そこで宗教に救いを求めることを私は否定しない。でも宗教は必ずしも必要ではないと私は考えている。 というわけでテレビ放映された「明日の記憶」について バリバリの会社人間だった男がある日、若年性アルツハイマーの診断を受ける。しだいに失われていく記憶、そして会社での地位も失い・・・という物語。 愛する人がアルツハイマーにかかったら愛し続けることができるのか、というのはかなり難しい問題だと思う。それでも愛し続けるという妻の姿は崇高だと思う。でも施設に入れてしまうという選択も間違っているとは言えない。答がない物語ではある。 主演の渡辺謙がエグゼクティブ・プロデューサーをつとめていることからも、相当思いいれのある作品だとわかる。 渡辺謙は、やり手の部長からアルツハイマーを発症して弱気になるまで、まさに渾身の演技で圧倒する。また、それを受け止める樋口可南子が良い。抑えた感情表現が内面の葛藤を強調している。最終盤、夫が自分のことさえわからなくなってしまったことに気がついた時の表情は涙なしには見られない。この二人でなかったらこの作品はなかったのではないかと思わせる。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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