|
カテゴリ:読書
東野圭吾(集英社文庫) 850ページの大作だけど、読み出したら止まらない。 物語は・・・ 発端は1973年、大阪の廃墟ビルで質屋の社長が殺される。事故死した容疑者の一人、西本文代の娘雪穂は叔母に引き取られ美しく成長する。被害者の息子、桐原亮司と雪穂の周辺では様々な事件が起きる。 感想 次々に起きる事件の犯人は早い段階でわかる。にもかかわらず、ページをめくる手が止まらなくなるほど引きつけられる。 物語の中心にある二人の心理描写はまったくなく、周辺の人物の視点で展開する。二人の関係がしだいに明らかになっていくが、「わかった」と加藤武のように早合点してはいけない。終盤になって質屋社長殺しの衝撃的な事実が明かされる。 ここに描かれているのは所詮フィクションだとも言える。しかし、貧困への憎悪は人を自爆テロリストにもする。人間としての尊厳を、その人生のスタートとも言える時期に踏みにじられた時、人は野心に殉じる生き方を選ぶ可能性はある。ましてや人並みはずれた美貌や才能を持って生まれたのであれば、なおさらのことだと思う。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[読書] カテゴリの最新記事
|