キャスト・アウェイ
2001年2月公開監督:ロバート・ゼメキス制作費:9千万ドル『フォレスト・ガンプ/一期一会』の、監督ロバート・ゼメキス、主演トム・ハンクスコンビによる、ヒューマンドラマ。主人公の恋人ケリー役に、ヘレン・ハント。[簡単なあらすじ]運送会社「FedEx」のシステム・エンジニア、チャック・ノーランド(トム・ハンクス)は、典型的な仕事人間。人間は“時”に支配されていると考えるチャックは、一分一秒をも惜しんで、日々の仕事に明け暮れていた。そんな彼は、婚約者ケリー(ヘレン・ハント)との結婚を、ついに決意する。年末の最後の仕事から戻ったあとプロポーズすると決めたチャックだっだが、彼が乗った貨物飛行機は運悪く太平洋上で嵐に巻き込まれ、墜落してしまう。奇跡的に生き残ったチャックだったが、流れ着いたのは無人島。そこで彼の、長く孤独なサバイバル生活が始まる――。FedExの宅配人として、ひたすら時間に追われて生き続けてきた男が、時間がまったく意味をなさない無人島の生活を余儀なくされる、という実に皮肉の効いたストーリー。前半の慌ただしさと、後半の無人島での生活の対比がよくできていて、とても面白いです。助かりはしたものの、チャックが辿り着いたのは小さな無人島。結果として、本編のほとんどがトム・ハンクスのひとり芝居ということに。小さな発見や感動はあるものの、基本はひたすら中年男のサバイバル生活、という映画にしては地味めの映像が続きます。なのに思わず魅入ってしまうのは、トム・ハンクスの演技力のたまものでしょうか。特に、たったひとりの友人“ウィルソン”を得てからの彼との対話には、時に長年の友人に対するかのような穏やかさを、時に鬼気迫るものを感じさせられて、圧倒されてしまいました。男性ならば、そんな細かいことを抜きにしても、偶然石器を発見したり、火を起こしたり、といったサバイバル生活を見ているだけでも十分楽しめるのですけどね。まったくの現代人が――、徐々にたくましくなって――、ほとんど、原始人状態に。ココナッツ・ミルクは下剤。火を起こすには酸素がいる。無人島ライフを送る羽目になった時のために、覚えておきましょう。遭難前・遭難中・遭難後の、トム・ハンクスの演技の違い、特に表情にも注目してもらいたいです。さすが、ハリウッド一の演技派俳優。職人といえば、遭難後もしばらくのあいだ、宅配物を開けないことに職業人魂を感じました。こんな事態になっても、まだ届けるつもりなんです。もはや執念です。そして、遭難から1500日。実に4年もの月日が経ったあと、チャックはついに島から脱出します。ドラマティックすぎます。ウィルソーン! ウィルソーン!ここで終わり――と思いきや、物語はもうちょっとだけ続きます。ラストの展開。初めは蛇足かとも思いましたが、意外としんみりといい話になって終了。長い長い無人島生活のあいだ、恋人のケリーと再会する、羽の描かれた宅配物を届ける、という執念で生き延び続けたチャック。辛い時、苦しい時、何か心の支えになってくれるものに助けられるってあると思うんですよね。そういったものをあらためて考えさせられ、感謝せずにはいられなくなる、素晴らしい映画でした。ウィルソンとの別離のシーンは、涙無くしては観ることができません……。新しい道を歩き出したチャック。清々しいラストシーンは、色々なものを予感させる後味のよいもの。(見事な伏線の回収)彼の今後の人生が、幸せなものであることを祈りたいです。 **********グレイテストヒッツ::キャスト・アウェイこの映画の詳細(Amazon)。⇒キャスト・アウェイ [DVD]ロバート・ゼメキス監督作品の記事はコチラ⇒「フォレスト・ガンプ/一期一会」⇒「ベオウルフ/呪われし勇者」トム・ハンクス出演作品の記事はコチラ⇒「フォレスト・ガンプ/一期一会」⇒「グリーンマイル」⇒「ターミナル」