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さっちゃんのお気楽ブログ2

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2016年05月26日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
昨日に続いて、助任橋周辺の様子を書いた作品を紹介します。
「藍の風」にはエッセイ20篇、ミニエッセイ24篇が紹介されています。
この「郷愁の助任橋」は候補作品の一つでしたが、
結局、編集過程でカットされたようです。
文章の一部はブログ記事でも出てきます。

                    syun




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「郷愁の助任橋」

夏の夕べ太陽が西に沈むころ、
紅く染まった御影石の欄干の手触りと、
西空の夕日の彩は忘れられない助任橋の風景である。
冬になると、北西の季節風が容赦なく吹き付ける助任橋は、
「耳切れ橋」とあだ名がつけられているように、
耳だけでなく体の芯まで凍る厳しい橋である。      
銭湯へ行くときは祖母のお土産の大きい紅い毛糸のショールで、
頭からすっぽり包まれていて、目だけだしてゆく。
行きはいいが、帰りは洗い髪と毛糸が顔じゅうべたべたくっついて、
その気味悪いこと最悪だと思った。

私の住んでいた徳島町は住宅地域なので、お勤めのお家が多くて、
商店が少なく、何でも屋の鎌田さんが一軒、八百屋が一軒、しかない。
だから必要な時は何でも助任橋を渡って買いに行かなければならない。
番茶の大きい紙袋を抱えたり、味噌醤油などの調味料や
魚などの食料品は勿論、本屋、呉服屋、散髪屋、うどん屋などなど、
毎日のように橋を渡っていたに違いない。

小学校に上がる時になると、
一番近い対岸にある男子師範の付属小学校へゆくことに決って
六年間助任橋を渡って通学することになった。
ある日橋のたもとにうなぎ屋が出来た。
かば焼きの匂いに誘われて学校帰りに良く立ち寄った。
おじさんがしきりに跳ねるうなぎの頭をギュッとつまんで釘を打つ。
指先でずーとなでおろしてやるとうなぎは不思議におとなしくなる。
魔法みたいだった。
首のあたりに包丁を入れてザリザりとしっぽまで切り下ろす。
同じように白い骨をきりとる。
何度見ても面白かった。

いつの頃からか浚渫船がきて毎日がーが―と大音響を立てていたら
川幅の半分くらい埋め立てて広い原っぱが出来た。
美しい花壇のある公園に飽きたので
草ぼうぼうの埋立地は楽しい広場になった。
楽しいといっても、草の他は土と砂と石ころばかりで、
跳んだり走ったり、公園のように遊具などなにもなくても、
泥だらけ、汗まみれになって、結構楽しく遊んでいたようだ。
そのうちにミニゴルフ場が出来て、
面白そうだとみているうちになくなった。
あんな箱庭みたいな小さいコースではつまらなかったのだろう。

(つづく)





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最終更新日  2016年05月26日 22時05分46秒
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