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私は透析を15年して、腎臓移植を受け今年で7年目になる。
腎移植には生体移植と献腎移植の2種類がある。 生体移植は自分の親や兄弟、最近は配偶者などからの移植。 以前は血のつながった肉親から出ないと移植はできなかったけど、医学の進歩で 血縁関係はなくても配偶者からでも移植ができるようになった。 献腎移植は自分にもしものことがあったら腎臓を必要としている誰かにあげてくださいというカードを持っている人が亡くなったら、腎臓移植を希望する人のリストから適合性を審査して選ばれた人が腎臓をいただける。 移植を希望する人の数に対して実際に移植が叶うのは宝くじに当たるようなものと言われていた。 私の周りには献腎移植を受けた人はほとんど聞かなかった。 移植してから移植の会に入会したらいろんな方がいた。親から移植を受けた人、兄弟から移植を受けた人、ご夫婦間で移植をした人。 中には最初の親からの移植がうまく行かず、再移植は残った親からもらった人。 ちなみに機能を失った自分の腎臓と移植される腎臓を取り換えるのでなくてもともとの 腎臓はそのままにして新しく腎臓を移植して元の腎臓から血管をつなぐのが腎移植。 だから一回移植した人は腎臓が3個、二回移植した人は4個持っていることになる。 生体移植にもいろいろと問題がある。健康な体の人なら二個ある腎臓のうち一個を移植しても残りの一個で十分機能する。 でもドクターの中には健康な人の体にメスを入れることにあまり賛成でない人もいると 聞く。 姉からもらうという約束を取り付けたのに、親が猛反対したり。 健康なお姉ちゃんからもらってお姉ちゃんにもしものことがあればどうするの?と 親が反対する。 夫婦間移植で夫から妻に移植しようというときに夫の親が息子にそんなことをさせたくないとばかりに反対する。 親族の適合を検査して診て合うとなった人にもちろん移植してくれるよね?的な プレッシャーがかかったり。 夫婦間移植の人でも配偶者が二つ返事でいいよと移植に同意してもらった人。 逆に配偶者から無理ですと言われた人。 腎不全の配偶者にもしものことがあった場合、残された子供を育てていく責任が もう一方の親にあるから二つ返事で移植オッケーとはならないかもしれない。 私の場合は親からもらうのも高齢だったからもしものことを考えて断ったし、弟とは不仲なので 考えても見なかった。 そしてわたしは献腎移植を登録、移植まで15年待った。 透析を始めたころたまたま隣のベッドで透析をしていた方に勧められて移植を登録した。 その方に勧められていなかったら今もずっと透析をしていたかもしれない。 その時初めて透析以外に移植という方法があるのを知った。 透析患者会の役員の方だったけどその方が私にとっては恩人だと思っている。 15年というのは腎移植の平均待機年数とちょうど同じ。これ以上の期間を待つ人もあるいはもっと早く移植が実現した人もいる。 亡くなる縁もゆかりもない人から腎臓をいただく。 なかなか順番が回ってこないときは早く回ってこないかなと思うことにわたしは人の死を 願っているような罪悪感を感じたりした。 移植の際、その方がどういう方でどういう亡くなり方だったかとかの情報は一切教えてもらえない。 でもご遺族の方が移植に同意しないと移植はできない。 移植後移植された側からご遺族の方へ手紙を書いてはどうかと提案された。 ご遺族の方の理解で移植が叶ったわけだから、こんなに元気になって感謝しておりますという手紙をもらった遺族は役に立ててよかった。故人の遺志が実現できたと喜ぶそうだ。 いわば亡くなられた方から命のバトンをもらったわけだからありがたい気持ちと 大事にしないとという思いがこみ上げる。 わたしという人間に透析のころは国庫から月に30万、かかっている。 30万×12か月×15年で莫大なお金をかけて透析を受けて生かされてきた。 もちろん移植にも莫大なお金がかかっているけど、それもほとんど税金で賄われている。 私一人を生かせるためにこれだけのお金がかかっていると思うと、申し訳ない気持ちになる。 今の時代、今の日本に生まれてよかったとつくづく思う。 時代が違っていたり、違う国に生まれていたら私はとっくになくなっているだろう。 と言ってこれから私に何ができるわけでもないし、大したことはできないけど。 わたしに腎臓をくださった方はどんな方だろう?と時々考える。 もっと生きてやりたいこともたくさんあったに違いない。 その人の無念を思うと私がやりたいことをどんどん実現して楽しい人生にするのが せめて供養になるのかな?と勝手に思っている。 一日でも長く生きて人生を楽しんで悔いのない人生にしたい。 せっかく命のバトンをいただいたわけだから。大事にしていきたい。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.04.10 07:35:36
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