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カテゴリ:ひとりごと・・・
私が通っていた大学は、毎年11月23日の祝日から学園祭。
11月になると、今でもタイムトリップする回数が増える。

1年の秋。初めての学園祭。
新歓で、勧誘されるのが面白くて、掛け持ちで色々なサークルに入ったものの、キャピキャピ(死語?)した女子大生には到底なれなかった私は、テニス&スキーのサークルも、映画のサークルも長続きしなかった。
かといって、落研も、特別落語が詳しいわけでもなかったが、個性的な連中ばかりの集団なので、自分が取り立てて目立つわけでもなく。優しい先輩に守られて、なんとなく居ついてしまった。

数少ないオンナノコ部員は、当然先輩たちからチヤホヤされる。
自然、同学年の男の子達とは、そっけない関係になる。

他の新入生は春に合宿に行っている。
私は春、他のサークルをフラフラしていたため、一人遅れて夏合宿で、伝統的な洗礼を受けた。先輩たちが一団となって、ヒト芝居打つのである。今まで優しかった先輩が急に厳しく、冷たくなり、誰も口を聞いてくれない。
大掛かりなヒッカケにあい、大泣きをした夜、私はここにいようときめた。

そして、秋。

私の学校に落研は、唯一である。
年々人気が落ち、規模も縮小傾向にあったようだ。ところが、私の2つ上の先輩達は、逸材揃い(悪く言えば変人だらけ^^;)で人数も多かった。

その中に、群を抜けて、噺の上手い人がいた。

他の先輩の噺も腹を抱えて笑える。落語なんて真面目に聞いたこともなかった私だが、先輩たちの噺はいつも熱心に聴いた。
人情話などと、泣ける噺も多いことすら、その時まで知らなかった。

普段、短くなったセブンスターをくわえ、ビールを飲みながら、バカっぱなしをして、ゲラゲラ笑っている先輩が、着物を着た瞬間から別人になる。

落語をきいて泣くなんて

教室の半分に机を並べ、緋毛氈をかける。
寄席文字のメクリ。年代物の古い太鼓と粗末な三味線。
椅子を並べればもう、教室は寄席になる。

せまい校舎だったから、外では鳴り物がガンガン、マイクでの呼び声、客引きの声。
祭りの騒々しさと華やかさ。

午前、午後と、下級生からどんどん高座をつとめる。
私も一つだけ噺を覚えたが、緊張してしまい真っ直ぐ前も向けなかった。

揃いのハッピを着て、客引きに歩く。
ゼミやサークルごとに、わたあめやら、ヤキソバやら、それぞれに出店を出し、学生ならではのバカ騒ぎ。
われら落研の教室も、そこそこお客が入ってくれた。

千秋楽
オーラスは、その先輩が主任(トリ)をつとめる。
他の先輩も、最終日と話に熱がこもる。
自然、時間がおしてしまい、あたりが暗くなってきた。

楽しかった祭りもいよいよフィナーレ。
最後は、私も観客になって、先輩の噺を聞かせてもらおう。
そう思って、呼び込みをやめて、教室に戻ろうとした。

すると、反対から、同期の子が慌てた顔で走ってきた
「どうしたの?」
「もうすぐトリなのに、お客さんが帰っちゃったんだよ!」

その場に居合わせた1年生が、一瞬黙り、何も言わずにめいめい逆の方へ走り出した。

私も、外へ走って出て行った。
屋台も品切れの店がでだし、立ち話をしたり、片づけをはじめている。
「スミマセン、落語を聴きにきてもらえませんか?」

ふざけあって笑っていた人たちが一斉にこっちを見る。
誰かが
「いいよ、あんたがそこで何かやってくれれば、見にいってやっても・・・」
何も芸なんて持ち合わせていない。
立ち尽くしていたら、他の学生が
「おい、よせよ、泣きそうな顔しているぞ!」

それを聞いた瞬間、キッとなり、私はヤキソバの油だらけの床に正座して、覚えたばかりの小噺を始めた。
周りの学生たちはシンとして見ている。

ほんの3分の小噺、終わりまで話した時には恥ずかしくて顔を上げられない。
奥でやり取りを見ていた教授が
「おまえら、女の子にここまでさせて、黙ってる気はないだろうな」
その場に居合わせた学生が20人くらい、私達の教室まで来てくれることになった。

私はお礼を言いながら、先導して教室に向かった。得意満面である。
すると、ガラガラだった教室は、既に満員のお客様で溢れ返っていた。

先輩の噺を、一人でも多くの人に見てもらいたい。
普段憎まれ口ばかりのS君、バイトばかりで練習に来ないI君。その想いはひとつだったのだ。

私が連れてきたお客さんは、立ち見になってしまったが、みんな最後まで見て行ってくれた。
先輩の噺に、引き込まれて、満員のお客さんは身じろぎもしない。
そして拍手喝采!
追い出し太鼓が鳴り響く
表はすっかり夜になり、銀杏並木がスポットライトに黄色く照らされていた。

この時の風景を、この夜を、私は一生の宝物にしている。







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最終更新日  2005.11.01 22:17:05
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