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カテゴリ:ぼやき日記
私の父は多趣味である。
両親の馴れ初めは、登山中に「シャッター押してください」だったそうだ。 強引で物怖じしない父は、母に 「あなた、写真下手でしょ、ボクにカメラ貸しなさい」と、初対面の母のカメラを持ってしまい、パチパチと勝手に写したそうだ。 若い頃は、登山、写真、スキー、釣り、ゴルフ、そして酒。 何でも手を出していたらしいが、それではこずかいが続くはずも無い。 近年はもっぱら、山と写真。(そして酒^^;) 幼かった私や兄が、麻疹で40度熱があっても、38度に下がったら 「おお、熱がさがったか、じゃあ俺は山に行って来るぞ」 と出かけてしまったそうだ。 昔の男とはそういうものか・・・ 母はそんな父を咎めもせず、40数年連れ添ってきた。 若い頃は、父に反発し、ケンカして、家を飛び出したこともある私である。 両親を幼少に亡くし、親戚に育てられた父は、中学を出ると洋服屋の修行をし、住み込みで働いていた。 その近くに、同世代の高校生の「山岳部」の溜まり場があり、うらやましくて出入りしていたのが、登山の始まりだそうだ。 父の、高校への憧れ、職業を選べなかった苦しみは、子供の頃から散々聞かされている。 人生の半分を生きてきた自分と照らし合わせて考えると、今になってその苦しみが理解できる気がする。 ヒトコトで言い尽くせない、色々な想いを、文章にすることは難しい。 厚かましいほどの人懐っこさを、恥ずかしいと感じることもあった。 母に、そんな父にそっくりだ、と言われることを嫌っていた頃もあった。 主人の両親も、私の両親も70代にさしかかっている。 老いへの不安、死への恐怖。子供としての役目。 些細ではあるが、少しずつ迫ってくる現実問題である。 そんな中、今でも40キロ近い機材やシュラフを背負って、冬の北アルプスへも登っていく父を、今になって誇らしく思う。 一番、力もあり、遊びたかった年齢に、彼は、縫い針のオシリが、ユビヌキに当たっていないと、夜なべで運針していたのだ。 そんな父の、毎年のお楽しみが、所属している山岳写真の会の写真展である。 たくさんの友達を呼んでいて、対応に大わらわなハズだから、私など行っても仕方なかろうと思うが、やはり家族が来ないと面白くないらしい。 「やれやれ・・・」と、一応毎年、母と待ち合わせして見にいってやる。 これも「家族サービス」の一環なのである。 入場無料で、毎年9月、池袋の芸術劇場大ホールで行われるこの写真展は、結構人気が高く、いつもたくさんの来場者で溢れている。 その会場でも、父がいるところは、すぐにわかる。「声がデカイ」のだ(-“-) 作品を見て周り、帰りしなに、私はフイに思いついて、カバンからカメラを出し、両親の写真を撮ってやることにした。 父は、どうせだから、親子三人で撮ってもらおう。ときかない。 「そうか、ここの係りの人はみんなカメラマンなんだから、誰に頼んでもいいんだね」と私が言うと、受付の人がうれしそうに笑って、シャッターを押してくれた。 そうそう、 帰りしなに父に 「あ、そうだ、うちのチッチが今度テレビに出るんだよ!」と言ったら。 「え!俺が?」だって・・・ 「チッチ」「チチ」 ほんとだ、1文字違い。 チッチの「きょうのわんこ」放映日が決まりました、9月12日(火)でーす!! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006.09.09 23:21:39
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