ドイツにおける砂糖の発展 補足 モスト考

元ネタは[ ドイツ ケーキ Kuchen クーヘン文化 歴史 ]日記にあります。

補足ったって、時間ないので大したこと書けませんが。

砂糖については、イギリス・アメリカに関する文献、いっぱいありますが、
ステイタスシンボルとしての砂糖に関しては、
「甘さと権力」という本が、一番、のわかりやすくて充実。
シドニー・ミンツというおじさんが書いている。

ドイツの砂糖の歴史に関しては、残念ながら、ドイツ語を読むしかない。
今のところはね。

ほんとは、ドイツでテンサイから砂糖を取る技術が発明されたり
イギリスと比べて見事に1世紀ほどずれている発展の下りといい
結構面白いんですが。

ステイタスシンボルとしての砂糖について、
書いたんだけど
楽天見事に消してくれたので(ばかやろー)、
これについてはまた改めて。

そして、Pfaelzerweinさんが指摘して下さいましたが、
モストについて。
実は、私も、リンゴ酒に砂糖を入れて作るというのは聞いたことがないのです。

そこで、モストという言葉について。
南独にいる私はすぐ「リンゴ酒」を思い浮かべますが、
モストといっても、果実新酒という意味で考えると、
「トラウベンモスト」すなわちブドウ酒というか
Pfaelzerweinさんのおっしゃっていたフェーダーヴァイサー、
ブドウの新酒である可能性が。

歴史書の著者はミュンスターでこの論文を書いているので
果物一般の絞り汁(新酒)という意味でこれを使ったと考えた方がいいと思います。

ワインの砂糖パンチングはアルコール度を高めるために行われていたと
そこここで聞きますが、それでいいのかなぁ、バーデンの高消費の理由付け。

ちなみに、1910年頃になると、
砂糖は都市労働者家庭でも普通の食品になったといわれています。
市場経済に組み込まれない農村下層階級では、それでも貴重とされていたとか。

以下は頂いたコメントです。

20世紀に入って pfaelzerweinさん
私が住んでいる建物は150年ほど前にSD ZUCKERの研修施設があって、テンサイ砂糖作り技術が教授されていました。その頃はLU・MAを中心にテンサイ砂糖工場が乱立していたようです。直接は関係ありませんが、シュレージンあたりのテンサイ作りも歴史的に気になる。
甘いワインは長い歴史の中で色々とあるので複雑そうですが、判るのは加糖による高アルコールワイン醸造は20世紀に入って軒並みノーベル賞の醸造学が確立しないと効率的な使用は難しそうです。
そこで現在は許可されていないオプストラーなどへの加糖高アルコール処理が20世紀初期には行われた時期があるかもしれません。これなら、ワインに甘みを混ぜるよりも儲かります。
しかし、これは新酒やズースモストの消費量とは関係ないですね。(2007年02月09日 22時48分30秒)


○ Re:20世紀に入って(02/05) schatzky☆さん
pfaelzerweinさん
その本によれば、加糖リキュールや加糖清涼飲料が工業生産されるようになったのも、マーマレードと同じく、このころとのことでした。
このころの労働層の砂糖消費については、
Peter Lesniczak著 Alte Landschaftskuechen im Sog der Modernisierung
に詳しいです。

ああ、彼は、砂糖消費量からその理由を考えているので、理由は推測にとどまっています。(2007年02月09日 23時56分01秒)


○ Re[1]:20世紀に入って(02/05) mosel2002さん
schatzky☆さんこんにちは。
レスが遅れて申し訳ないです。

モストは中世の史料では果物の果汁とともに、しばしば発酵中の葡萄果汁も指します。アルザス、ライン上流などの産地で収穫直後に発酵中のそれを購入、輸送することも広く行われていました。

砂糖をモストに投入するのは19世紀半ば、ルートヴィヒ・ガルLudwig Gallが発明した手法で、葡萄が熟さなかった年、糖分・酸・水分のバランスをとるために、酸の高さに見合った量の砂糖と水を加えて(Nasszuckerung)発酵、味を調えるというコンセプトで提唱されたのですが、水も加えることで量も増やすことができるため、質の低いワインが横行する結果になったことから、ドイツワイン法で天然の果汁糖度が品質の基準とされる状況を作ったようです。

関連文献については、また改めてご報告しますね。とりあえず、 http://de.wikipedia.org/wiki/Ludwig_Gall
を参照してみてください。
とりいそぎ。
(2007年02月10日 06時11分09秒)


○ Re[2]:20世紀に入って(02/05) schatzky☆さん
mosel2002さん
こんにちは。
>レスが遅れて申し訳ないです。
あ、全然気にしないで下さい。お互い忙しい身ですし、お答え頂けるだけでありがたいです(^^)わーい。

>モストは中世の史料では果物の果汁とともに、しばしば発酵中の葡萄果汁も指します。アルザス、ライン上流などの産地で収穫直後に発酵中のそれを購入、輸送することも広く行われていました。

>砂糖をモストに投入するのは19世紀半ば、ルートヴィヒ・ガルLudwig Gallが発明した手法で、葡萄が熟さなかった年、糖分・酸・水分のバランスをとるために、酸の高さに見合った量の砂糖と水を加えて(Nasszuckerung)発酵、味を調えるというコンセプトで提唱されたのですが、水も加えることで量も増やすことができるため、質の低いワインが横行する結果になったことから、ドイツワイン法で天然の果汁糖度が品質の基準とされる状況を作ったようです。

>関連文献については、また改めてご報告しますね。とりあえず、 http://de.wikipedia.org/wiki/Ludwig_Gall
>を参照してみてください。
>とりいそぎ。

ありがとうございます。
勉強になります。モストのことも、すっきり。

ネットアドレスもありがとうございます。ネットですぐ見られるのはいいですね。

加糖法発明は、やっぱり砂糖が手に入りやすくなる時期と一致していますね。
面白いなぁ。

これからもよろしくお願いします。
あ、でも、どうぞ、お暇があって気の向いたときに(^^)。
(2007年02月10日 18時18分25秒)


○ Re[3]:20世紀に入って(02/05) mosel2002さん
schatzky☆さん、

遅ればせながら、参考になりそうな文献を。
ワインのモストでの輸送に言及があるのは
Otto Volk, Weinbau und Weinabsatz im spaeten Mittelalter, in: Alois Gerlich (Hrsg.), Weinbau, Weinhandel und Weinkultur, Stuttgart 1993, S. 49-163, bes. 146ff.
軽くふれているだけですが、論拠としてあげることは出来そうです。

ワインの補糖については
Felix Meyer, Weinbau und Weinhandel an Mosel, Saar und Ruwer, Koblenz 1926, bes. S. 115ff.
こちらは、比較的詳しく書いてあります。

お役に立てて頂ければ幸いです。
ではでは。(2007年02月11日 20時00分52秒)


















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