ドイツ流イーストケーキを作る! 人は減ったイーストケーキ、ドイツ語ではヘーフェクーヘン、Hefekuchenです。 酵母菌が膨らむ作用を利用したケーキですが、 パンとはまた、少し違います。 材料が少し贅沢かなぁ。 正確には、ドイツでイースト生地のケーキを作る人は近年がっくりと減って、 まだまだ減り続ける一方です。まずはそのお話から。 前置き ドイツの家庭では今まで、本当によくケーキが作られていました。 ケーキが7種類焼けなければ嫁に行けないなんて そんな言い伝えがあるくらいですから。 でも、やっぱり、手作りする人は、今やどんどん減りつつあるんです。 時間もないし、買ったケーキで何が悪いにゃー? と思う・・・までには、特に南に住むドイツ人は時間を要しますが、 (ラインラント地方の人は、全然気にしなかったりする。このことについてはまた改めて) 働く女性も増え、男女差別反対運動は最近、まあるくなって、 「何で女性だからってケーキ焼かなきゃいけないのよっっ」 というとんがりお嬢さんはあまり見かけないですけど、 それは、却って周りの人が 「焼かなくても、このご時世、責められないよねー」と あきらめているというか納得しているというか、 「これは言うと問題になるから、口に出してはいかん・・・」と節制するか(笑) 個人の自由と思っているところが素直に広まっているためなのですが ケーキ作りが好きでも、イースト生地はだめだめ~という方、 ドイツにも結構いらっしゃいます。 私も、だめだめ派です(笑) なぜか。 よく作る方はご存知のことですが、イースト生地を使ったケーキは出来上がるまでにかなり時間がかかります。 ただし、膨らませている間は別の用事を済ませられるので、間に洗濯するとか掃除するとかほかの家事の合間に作るのには便利な生地です。 ということは、逆に言えば、あちこち飛び歩く用事があるときには向きません。 日曜日に家でぶらぶらしているとか、のんびり過ごすときに、時々台所に入って生地をこね、また寝かし、ということを繰り返します。 近年ドイツで作られるイースト生地のケーキがまったく減ってしまったのは、働く女性が増えたのと、 日曜でも平日でも、家にじっとしている機会が減っていることととても大きなつながりがあるのでございます。 ドイツで習ったイースト生地の作り方 イースト生地。 これは大抵天板に作ります。なんで、オーブンにいれる平たい焼き板を天板っていうのかな。オーブンを天火って言ったからか。あれ、字、もしかして違いますか。最近、違う言い方があったりするのかなぁ。そしたら教えてね。 こ の分量は、ドイツで売られている小分けのイーストの分量にちょうど良いくらいの分量ですが、 ガスレンジの下についているようなオーブンの天板に伸ばすと 1、5枚分くらいの生地です。 最近ドイツでも広まってきたオーブンレンジの天板だと、2-2.5枚分くらいになるのかな。あれ、小さいものね。 天板はオーブンの大きさによって違うので、 同じ分量の生地を作っても、 大きい天板だと生地は薄めになるし、小さいものだと厚めになります。 厚い生地は焼き時間が長くかかって、台はどちらかというとふんわり型。 ピザでいうとアメリカンな感じ。 薄い生地は焼き時間が短くて、さっくり。私は薄い方が好きなのですが、お好みで。 イーストは、生きているもの(ブロック状)と粉になっているインスタントのものとありますが、 成功しやすいのは粉状のインスタント型のもの。なぜなんでしょうね。 昔は生きている方が成功しやすいだろうとそちらを使っていましたが、 膨らまずに悔しい思いをすることが多かったので、今は粉を使っています。 こちらだと、イーストを活性化させる前置きがいらないので、時間も節約できるしね。 日本では粉型のを見かけた覚えがあるけれど、それがインスタントかどうかわからないので、説明書をよく読んでくださいませ。 イースト生地を作るときに気をつけること。 1.金物の器具は使わないこと。プラスチックか木の道具を使ってください。 これも実は私には謎なんですけど。 最近分かってきましたが、金属を使うと、生地をひやっとさせる事が多いのですわ。 イースト生地は生きているから、冷たい金属で体を触られたら、ぞぞぞっと来てしまうと(笑) これは人間でもいやですねー(爆) 2. バターや牛乳を温めるときは人肌までにしてください。 それ以上熱くすると、イースト君がグタリとなり、最後にはお亡くなりになります(つまり膨らまない、と) 3.生地を膨らませるときも、暑すぎないところにおいてね。オーブンにいれるときは特に気をつけて。 生地に触らないように固く絞った布巾をかけておくと、表面が乾燥しないですみます。 そういえば、うちの母ちゃん、むかーし、冬にパンを焼くとき、お日様がでていると屋外駐車の車の中に入れてた。温まるとかいって(笑) そういうとき、生地は大きいプラスチックボールに密閉されていた。空気は十分入れてね。 さてと。 イースト生地の分量。 イースト生地も二種類あって、卵が入るものと入らないものがある。 卵を入れるにしても、豪華版は2-3個入れるけど、ふつうはひとつ。 材料の計量も大切だけど、イースト生地の時大切なのは、 すべての材料が20度くらい(できればもっと温かく)でいい感じな事。 砂糖や小麦粉、結構気がつかないけど、混ぜるときにひんやりしていると、 イースト生地にはよくないのです。 始めに、卵が入らないイースト生地。 インスタントイースト 1パック(7g) もしくは生きているブロックイースト 半量(21g) 砂糖 小匙1 1/4l 人肌に温めた牛乳。このうち、最初に使うのは大匙5杯分だけ。残りはとっておいて下さい。 もし、イーストを活性化させる必要があるときは、 これらのイースト、砂糖 小匙一匙、そして牛乳から大匙5杯分の牛乳を取り分けて、これら3つをいっしょに混ぜます。 15分、暖かいところにおいてそのままにしておきます。 インスタントイーストを使う場合は、活性化の手間が要らないので便利。 その時は、これらの3種の神器を以下の材料といっしょに混ぜます。 小麦粉(ケーキの時は薄力粉、ドイツではType405)を500g 用意し、そのうち2/3をボウルに篩います。小山にして、真ん中を火山のように窪ませます。残りの1/3は後で混ぜます。 砂糖 75g バニラエッセンス あれば数滴 塩 ほんの一つまみ 溶かしバターか溶かしマーガリン 75g これは人肌に冷ましてから入れてください。熱いとイーストが死にます。冷たくてもイーストが眠ってしまうので(笑 ^^;)膨らみません。 これらを小山の周りに注ぎいれます。 窪みには先ほどの「イーストと砂糖小匙1と牛乳大匙5杯」を混ぜたものを入れ、少しずつ小麦粉と混ぜます。ほかの材料もいっしょになるように混ぜます。 「250mlから大匙5を除いた牛乳」 牛乳も、ここから50mlほどを残して入れます。 全部入れてしまうとぐちゃぐちゃになる可能性が高いので、気をつけて。 この時牛乳は人肌くらいに温めておいてください。 イー ストが生のときは、十分活性化してから残りの材料を入れてください。 そうしないと活性化する力が弱まります。特に油と塩は要注意。 混ぜる道具は真ん中に穴 のあいた木のへらというか、匙が便利。 折れる可能性があるから、根元をもって、よく混ぜます(折った経験あり(爆))。 空気を生地の間に入れるように、大きくこねこねしてください。 その間に砂糖と小麦粉がイーストのおかげで二酸化炭素とアルコールと化し、 焼いたときに生地が膨らんでさくさくほろほろとなる原動力になります。 さて、卵を使う生地の場合。 生イースト 1ブロックの半量(21g) もしくは乾燥イースト 一袋 人肌に温めた牛乳 200ml 砂糖 60g 卵 1個 塩 ほんの一つまみ 柔かくしたバター 60g 小麦粉 (ケーキの時は薄力粉、ドイツではType405) 400g このレシピでは小麦粉も少なめにしてあります。卵を1個60グラムと計算しての割合です。 小麦粉を500gにしたら、砂糖と油分は75g入れるといった具合に。 甘くない生地が好きな場合は、砂糖を少し減らして。 でも、減らしすぎないように気をつけて。イーストも栄養が必要です。 甘い方が好きなときは、上に乗せる果物によっては、100gくらいまで増やしても大丈夫。でも、出来上がりはかなり甘い感じがするかもしれません。 ヘーフェツォプフ(イーストの三つ編み)と呼ばれるほのかに甘いパンを作るときは、 果物の甘みがないのでこのくらい砂糖を入れます。 さて、よくこねたら、残りの小麦粉を入れてさらにこねます。 この時から、机の上などでぎゅうぎゅうと押したりたたいたりします。 台に叩き付けるのもいい感じです。 ストレスが溜まっ ているときは思い切り叩き付けてあげましょう。 そうでないときも、おいしく出来上がるもとなので、力を惜しまずどうぞ。 この叩き付けやこねは、生地が膨らむのに重要でなのです。 この作業をしている間に生地がまとまってきます。 こねている最中になんとなく固いな、ぱさぱさしてるな、と感じたら、残りの牛乳をちょっとずつ加えてください。 ねばねばした感じはやわらかすぎです。 イーストが発酵すると生地はいずれにせよ柔らか目になるので、 牛乳はどちらかというと控えめに入れてください。 4-5分くらい経って、十分に叩き付けたりこねたりしたな、と感じたら、 生地をまとめてボウルに入れ、濡れ布巾などをかぶせて暖かいところにおきます。 45 分くらいおいておくと、2倍以上に膨らみます。 オーブンの中にいれるときは、40度くらいにしてください。 人肌くらいの水にボウルをつけて置くことも出来 ます。 この時は、水がさめてしまわないように時々さし湯をしてください。 くれぐれも熱すぎないように。40度までは何があっても大丈夫なようですが(実験した人がいるのねー)それ以上は保証できず。 布巾は乾いてきたら取り替えます。 ふたが出来るボウルの場合、ぴっちりふたをしてしまうと生地が最後まで十分に酸素を吸えないので、その時は時々空気を入れ替えます。 さて、時間がなくて、でも、どうしても成功させたいあなた。 冷蔵庫で生地を寝かせる。 これ、邪道のようで、実は膨らむ成功率100%の手です。 時間がないけどイースト生地を作りたーい、というときにお勧めなんですけど、 それ以外にも、作業手順の関係で最初から二日間にわたって準備したいときなどには、冷蔵庫で寝 かせる手が一番。 夜中に思い立って生地をこねたはいいけど眠くなっちゃったとか、混ぜたら出かけなきゃいけなくなったとか、 そんな時は生地をラップに包んで冷蔵庫に入れます。 ボウルに入れて、ふたをして寝かせてもOK。菌がゆっくり働いて、次の日にはうまい具合に生地が焼けます。 菌の具合によって、二日三日平気なときもあります。 これは天候や菌の具合によるので、毎日確かめて。 甘酸っぱいような発酵臭が強くなってきたら、そろそろ焼いてあげなければな りません。 焼く準備。 天板に油を敷くか、ベーキングペーパーを敷きます。私は面倒くさがりなのでいつもベーキングペー パー。 しばらく前に、ドイツでもクッキングホイルなるアルミホイル版のベーキングペーパーが発売されましたが、こちらの方が割高なので私は相変わらずペーパー派。 お客様に出すときなんかはホイルの方が見栄えが良いですけどね。 私は商売する訳ではないのでいいのです。 これをひいておきます。ピザを焼くときには天板に油を塗って直接焼く方がおいしいとかいいますが、 焦げ付いた油を落とすのは容易でないので、私はパス。 洗ってくれる人が別にいるときは良いんですけどね(笑) 膨らんだら。。。またこねる。 最後のこねこねです。これは省く訳にいかないので、生地を天板に広げる前にもう一度、天板か台の上でこねてください。 こねたら広げます。 ピザの職人さんのように、空中で広げられたら台も汚れず便利ですが、なかなかそうも行かず。 木の、もしくはマーブル模様の大理石で出来たころころ(日本語でなんていうんでしょうね)で、生地を押し広げます。 この時、生地がくっついてかなわんという人は、ころころにちょっと小麦粉を降ります。 ころころ(あ、麺棒だっけ?)、うちにないわ。という方は、 たとえばワインのビンとか、そんなもので代用してください。 ただ、ボルドーとか、チリとかアメリカのワインボトルはい いんですけど、 ドイツとかアルザスのボトルは太さが瓶の上と下で違うのでやりづらいです。 ビールビンの大きいのも使えるかな。 衛生的でないという方は、厚めに出来たサランラップを巻くなどして。 薄いラップだとサランラップだけが空回りします。 とある婦人雑誌によれば、近頃売っている冷凍用のビニール袋を切り開いて使うと、べたつかないらしいです。 自分ではやったことないですけど。 さて、広げましたでしょうか。 では。 好きな果物を載せたり、ただ単に砂糖とバターと小麦粉をすりあわせてそぼろ状にしたクランブルを載せたりして、焼いてください。 フィリングについては、また書きましょう。 ジャンル別一覧
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