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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2004.11.09
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カテゴリ:その他読書日記
『南北問題の政治学』矢野暢:中公新書
昭和57年刊行。書かれた当時は新しかったが、今ではすっかり旧くなってしまった。何しろ、「南」=第三世界だったころの本である。なるほど今でも、「ばらつきの社会科学」として南北問題を捉え、「南」の顔が一様でないことを指摘している点は賛同できる。ただすでに第一世界(西側)と第二世界(東側)の対立構造、すなわち冷戦が崩壊してしまって久しいので、東西問題の枠組みの中で南北問題を捉えるという手法は、すっかり時代遅れになってしまったのである。

著者は否定的だが、イデオロギーを抜きに考えると、自分には、旧ソ連の指摘が正しかったように思われる。「南が貧しいのは、西側資本主義国の旧植民地国に対する経済的搾取の結果である」。もちろんこれが全ての原因ではないにしろ、また搾取とは言い過ぎにせよ、「後遺症」ということは少なくとも言えるだろうと思う。アフリカ経済の多くは「北」への第一次産業輸出品によって支えられているのだし、それもコーヒーだとか綿だとかサトウキビのような、単品農業生産品が主であるのだから…

以上、イギリスとアフリカ、フランスとアフリカ等との関わりとの対比で言えば、著者は顔をしかめて反論するだろうけれども、少なくとも次のことは指摘できるのではないか。韓国、台湾、東南アジア、中国など、かつての「大東亜共栄圏」の経済的繁栄に対して、かつてその地域の支配者たろうとした日本はODA等も含めてすばらしく「貢献」し、その結果がでている、と。

勿論、その違いがどうして生じたのかという分析については歴史学者の課題であって、ここで軽々しく結論付けることではないのだが。


『クリスタル・シンガー』アン・マキャフリィ:ハヤカワ文庫SF
タニス・リーなど一部の例外を除いて、女性の手によるSFはどうも苦手である。細部の緻密さにはいつも舌を巻くが、その濃密な「女性的」文体についてゆけない。本書は普通の音楽家になることに挫折した女性が、「星間通信に不可欠なクリスタルを、音波カッターで共鳴しながら切り出す採石士、通称クリスタル・シンガー」として成功するまでのサクセス・ストーリーであるが、SFを読み慣れない読者はなんのこっちゃと首をかしげるに違いない。
歌うのが好きでSFが好きな人ならこの小説も好きになるかもしれない。そういう女性を知らないではないが、彼女がアクの強い主人公、キラシャンドラ・リーを好きになれるかどうか分からないし、本の保存状態もあまりよくない。やはり処分することにした。


『赤い数珠』モーリス・ルブラン:創元推理文庫
アルセーヌ・ルパンシリーズの一冊だが、ルパンは最後まで出てこない。おそらく予審判事ルースランがルパンの変装したもう一つの顔なのだろう。小説の中ではお定まりの盗難・殺人事件が発生するが、その後に登場するルースランは事件になんら関わりがなく、終始探偵役に徹している。

読みながら「赤い数珠」とはルビーか何かの隠語かと思っていたが、物語の最後まで読んでみると、ずばりそのものであった。男女の三角・四角関係のもつれに端を発するこの心理推理小説は、確かに著者最晩年の傑作だろう。ただ自分にとってこの種の本は、一度読めばたくさん、でもある。


『男は20代に何をなすべきか』鈴木健二:大和出版
男性版「負け犬」にならないためのマニュアル本。押入れの奥から出てきたが、もうすでに20代でない自分には用のない本だ。


『手術しちゃうから!』弓月光:集英社漫画文庫
少女漫画雑誌でデビューした漫画家さんのお色気ドタバタコメディー。手塚治虫先生以外では珍しく(部分的にではあるが)スター・システムを採用している漫画家さんの大昔の作品なのでとって置いたのだと思うが、読み返すこともないだろう。

スター・システムならあだち充先生の作品はどうかって?
えーと、あれは、どこでも読めるから蔵書には入っていないのです。





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Last updated  2005.02.25 19:26:04
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