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つれづれなるままに―日本一学歴の高い掃除夫だった不具のブログ―

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2005.01.07
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カテゴリ:その他読書日記
『光の王』ロジェー・ゼラズニイ:ハヤカワ文庫SF
地球人類のとある植民星。そこでは、科学技術を駆使する<天上都市>の<第一世代植民者>たちが無知な民衆を支配し、惑星全土で古代インドさながらのカースト制を敷いていた。

彼らが<神>たりえたのは、自分の肉体が老いたとき、脳の電気パターンを若い他人の肉体と入れ替えることができるという<転生>の技術をもっていたためであった。入れ替えさせられたほうは? それは業である。行いが悪かったので悪い肉体に生まれ変わらせられたのだ、と説明される。中には犬に生まれ変わらせられる者もいたという…

(このアイディアは必ずしも作者の独創ではない。全てのSF小説のアイディアの種はH・G・ウェルズによって蒔かれた。『故エルヴシャム氏の物語』を見よ。ただこれを転生輪廻の思想と結びつけたのはゼラズニイが初めてだった)

そこに反逆者として登場したのがかつて神々の世界にいたシッダルタだった。彼はカースト制を打倒すべくあちこちに呼びかけ、反撃の狼煙を上げる。いったん死んだかのように見えたが、不死鳥のごとく立ち上がり、キリスト教勢力とも結託してついに神々の力を弱め、<ルネッサンス>に成功した。

インド神話をモチーフにしているが、やはりアメリカSFらしく、シッダルタは決して「聖者」ではない。天上の神に対するルシファーであり、パリサイ人に対するイエスであり、カトリックに対するプロテスタントであり、仏教に対するゾロアスター教の神阿修羅、決して仏に帰依しなかった阿修羅、そのような<者>として描かれている。

どことなく、独立戦争的なのだ。フリッツ・ライバーの『闇よ、つどえ』とハインラインの『月は無慈悲な夜の女王』と光瀬龍の『百億の昼と千億の夜』を掛け合わせて等分し、ゼラズニイ流の神話的スパイスをふりかけた幻惑的小説、といえばよいのだろうか。ヒューゴー賞受賞作だけのことはあった。また、表紙カバーのイラストが萩尾望都さんだったせいもあって、『百億の昼と千億の夜』の映像イメージで読みすすむことができた。
十二分に酔わせていただいたので、処分。


『歌おう、感電するほどの喜びを!』レイ・ブラッドベリ:ハヤカワ文庫NV
早川書房によるブラッドベリのオリジナル・アンソロジー『キリマンジャロ・マシーン』を、文庫化に際して分冊されたものの後半本。前半は処分したのかまだどこかにあるのか、よく分からない。万札ならぬ万冊も本があるのも考えものだ。
ここに収められた8編には、どれも歳月と挫折と喪失の影がつきまとっている…

「歌おう、感電するほどの喜びを!」母を失った四人家族のところに来たおばあちゃんロボット。限りない愛情をもて3人の子ども達に接するが、大人になって別れの日がやってくる。そして彼らが年を取ったとき、3人は再びおばあちゃんを呼ぶのだが…

「お墓の引越し」掘り返したお墓には老女の夫が死んだときの23歳の姿のままで横たわっていた。その若さを詰るかつての妻。やがて死体は風化して見る見るうちに老化し、塵となって消える。「私は死人よりも若いんだ!」とはしゃぐ老女。

「ニコラス・ニックルビーの友はわが友」文豪ディッケンズの偽者と詩人エミリー・ディキンソンの偽者の幸福な結婚という結末。彼らが精神病者でなく、自分がついに物書きになれなかった偽者だと自覚している挫折感が、痛ましい。

「大力」大人にも少年にもなりきれないムキムキマンの三十男。その母の心のいたみ。

「ロールシャッハのシャツを着た男」かつて何もかも「見えすぎた」ために蒸発した精神科医が、コンタクトレンズと補聴器をはずして、故郷に返ってきた。

「ヘンリー九世」最後にイギリスを離れる男と、イギリス最後の人間になることを決意した男の別れの挨拶。

「火星の失われた都」そこは、人間が支配する都市ではなく、人間を支配する都市だった。

「救世主アポロ」キリスト教が全宇宙に普遍的なものならば、それぞれの星の住民に受け入れられる姿をして現れているだろう、という主旨の詩。

追記:解説者は萩尾望都さんであった。


『悪霊』椎名麟三:冬樹社
ドストエフスキーの原作を著者が戯曲化したもの。原作は長いので、入門書としてお世話になった。処分。


『ザ・中学教師』別冊宝島70:JICC出版局
1987年刊。サブタイトルは「<不思議の国の中学校>に棲息するセンセイたちのありのまま」。現実はこの本からはるか先を行ってしまった。


『機械オンチに捧げるパソコン・ブック」別冊宝島27:JICC出版局
今も機械オンチに変わりはないけれど、ウィンドウズ95以降パソコンをめぐる環境は一変した。処分。





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Last updated  2005.02.26 12:37:47
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