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カテゴリ:ミステリー
いかにもフランス的というか、『シラノ・ド・ベルジュラック』や『ノートル・ダム・ド・パリ』の流れを汲む「醜男」が主人公のロマンです。また、ユゴーの傑作と同様、人間の作った建造物が「主人公」格になっているところも似ています。もっともエリックはカジモドの醜さを備えたフロロであり、決してカジモドそのものではありません。
クリスチーヌの方は、残念ながらエスメラルダと比べると木偶人形同然であり、どうして二人の男が彼女に夢中になるのか、さっぱりわかりませんでした。まあ、夢中にならないとお話自体が成り立たない、ということはいえるでしょう。 また、翻訳者の日影丈吉さんは解説で「怪奇小説」と言っていますが、どちらかといえばミステリか伝奇小説の類です。エリックは悪魔と契約したのではなく、ただ壮大な奇術師であるにすぎないからです。そういう意味で、彼はあるいは「アルセーヌ・ルパンになりそこなった男」なのかもしれません。 なお、原題に忠実に訳せば「怪人」ではなく「幽霊」なのでしょうが、『星の王子さま』と同様、意訳のほうが内容をよく伝えている名訳になっています。 ハヤカワ文庫の画像がなかったので、↓は、角川文庫版です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.10.30 16:01:28
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