やっぱり芥川龍之介だ、という印象はこの前の短編集を読んだ時と変わらない。それにしても岩波文庫はゴシックロマンの古典にまで物々しい解説をつける。どうせなら江戸川乱歩でも文庫化すればいいのに。
「メッツェンガーシュタイン」…手塚治虫の「化身」(『ブラック・ジャック』)を連想。
「ボン=ボン」…ファウストになりそこなった主人公の寸劇。
「息の紛失」「『ブラックウッド』誌流の作品の書き方/ある苦境」…ナンセンス漫画。
「リジーア」…似たような美女再生譚が漫画『アウターゾーン』にあった。
「アッシャー家の崩壊」…インセスト小説の白眉。モームはこれをメロドラマにした。
「群集の人」…孤独になれない老人。
「赤死病の仮面」…世界破滅テーマSFの元祖。
「陥穽と振子」…江戸川乱歩の小説に似たようなくだりがある。
「黄金虫」…コガネムシは金持ちだ♪
「アモンティラードの酒樽」…成功した「黒猫」。