『太宰治全集 10』ちくま文庫
黒木舜平名義の太宰の推理小説、「断崖の錯覚」が収められている本。「断崖…」をのぞけばほぼ随想であり、中には自分の兄が選挙に立候補するのでその応援に書いた短文もある。『晩年』前後の初期の文章は自己韜晦と憐憫に満ちて言い訳がましく、「もの思う葦」とその周辺をのぞいてあまり何度も読みたい文章は少ない。中期の文章は短くまとめられているがどちらかというと大人しめで事務的であまり興味をひかない。何といっても最晩年の「如是我聞」が面白い。当時の文壇の重鎮、志賀直哉に嚙みついた破れかぶれの文章のように見えるが、さにあらず。書かれた当時の評価はそうであっても、今日「暗夜行路」を読む日本人がどれくらいいるか。『人間失格』や『斜陽』はその生彩を失ったか。翻訳も含めての話である。太宰治全集 10/太宰治【3000円以上送料無料】太宰治全集(10)【電子書籍】[ 太宰治 ]個人的には、こちらの方が内容が精選されていいと思う。↓【中古】 もの思う葦 改版 / 太宰 治 / 新潮社 [文庫]【宅配便出荷】【中古】もの思う葦 / 太宰治