『金持ち父さんの予言』ロバート・キヨサキ+シャロン・レクター:筑摩書房
『金持ち父さん』シリーズを手にするのは2冊目だが、どれを読んでも底流に流れるメッセージはおそらく単純だ。「独立せよ!」いかにもアメリカ人らしいメッセージではないか。もっと言えば、労働者であるよりも経営者あるいは資本家(投資家)になれ、そのために自分自身に投資せよ、時間を有効に使え、泣き言や言い訳を言うな、自分の中の恐怖に支配されるな、安全よりも自由を求めよ、ビジネスや不動産投資の勉強をしろ、というものだ。本書の終り近くの次の一節はきわめて象徴的である。「金持ち父さん(注:著者の友人の父親)はお金がなかったから金持ちになり、教育を受けなかったから天才になった。そして、いざという時に頼れるものが何もなかったから自由を見つけた」著者がここまで口を酸っぱくして言うのは、政府が国民を守ってくれるという「おとぎ話」を信じていないからだろう。日本は貯蓄の国だが、アメリカは投資信託の国だ。ではアメリカ人の方が日本人よりファイナンシャル・リテラシーが高いかというとそうでもない。だからエンロンやサブプライム・ローンやリーマンショックで財産を失う。予言の核心はこうだ。アメリカも先進国の例にもれず、少子高齢化の途をたどっている。ベビーブーマー世代が退職するとき、切り崩すのは貯金ではなく投資信託、つまり株だ。生活のために株が毎月定期的に売られ続けたら、しまいに株式市場は大暴落してしまうだろう。もっとファイナンシャル教育に力を入れれば、悲劇の規模はずっと小さくなるはずだ、というのが著者の弁である。確かに、これからの時代、アメリカでも日本でも資産形成&防衛のためのファイナンシャル教育は必要だろう。だが、すべての人がビジネスに向いているわけでもない。また、雇用主がいれば被雇用者がいるように、成功者の陰にはより多くの失敗者がいる。このように、本シリーズを成功者の印税稼ぎと冷笑的に評するのはやさしい。しかし、それでは著者から何も学べない。本書には、30過ぎてからの著者の失敗体験が赤裸々につづられている。そこには、人が逆境に陥ったときどう対処すればいいか、処方箋になるヒントがたくさんある。また貧乏父さんとは著者の実直な実父であったことも知った。父を愛しながらも、キヨサキ氏は父を反面教師として成功者になったのである。…最後にこの本の要点を昔からのことわざに置き換えて筆を擱く。「天は自ら助くる者を助く」「楽は苦の種、苦は楽の種」「備えあれば憂いなし」買取時のポイント10倍!本・ゲーム・DVDなどお売り下さい【中古】afb 金持ち父さんの予言 嵐の時代を乗り切るための方舟の造り方 /ロバート・T.キヨサキ(著者),シャロンレクター(著者),白根美保子(訳者)