懲戒処分における罪刑法定主義、二重処分禁止、比例原則についてみてみましょう。
まず、罪刑法定主義ですが、これは犯罪と刑罰は前もって明確にされていなくてはならないという要請です。何が懲戒処分の対象になるのかを就業規則に明示し、かつその場合の懲戒処分の内容もあらかじめ特定しておく必要があるということです。勿論、刑罰の場合と異なり、就業規則上何の定めもないからといって、いかなる場合にも全く何の処分もできないということはありません。
次に、二重処分の禁止とは、同一の行為について2回懲戒処分の対象にしてはいけないということです。勿論過去に職場秩序違反行為を犯したことを情状として斟酌することは可能です。
なお出向社員につき同一の行為について出向元と出向先の双方で懲戒処分の対象にできるかという問題があります。たとえ別々の観点から懲戒処分をなし得るはずという見解に立っても、その処分を受ける労働者の保護という見地からみると、同一の行為につき出向元と出向先が別々に処分をなし得るとみるのは不合理であることからして、否定すべきです。
もっとも、東京地判平4.12.25(勧業不動産販売・勧業不動産事件)は、出向先である勧業不動産販売から降格・出勤停止、出向元である勧業不動産から降格の処分を受けた事案につき、「出向元会社と出向先会社としては、それぞれ異なる立場から原告に対し本件懲戒処分を行ったものであること」を理由に二重処分であるにもかかわらず有効としています。
最後に比例原則とは、懲戒処分を実施する場合でも、その職場秩序違反行為の程度に応じた適切な内容の処分行為を選択する必要があるということです。
最終更新日時 2012年5月30日 15時41分55秒