カテゴリ:蕎麦屋さん
一昨日お約束していました東京新橋の蕎麦屋さんの様子をお伝えします。 JR新橋駅烏森口、夕方6時過ぎ、大勢のビジネス帰りの人、人、人・・・。早足で駅へ向かうビジネスマン、同僚と早口で何かを話しながらも足を止めようとはしない。人で溢れかえった歩道を器用に肩で縫うように歩いていく。そんな人混みの波の中に身を投ずれば、夕飯は何を食おうかと思案しつつも、立ち止まって店の様子を伺うことなど至難の業。駅から離れるにしたがって少しずつ人の波も静まってくるので、駅から遠ざかることしばし。ようやく一息ついて立ち止まったところに、その蕎麦屋さんはありました。 一目老舗の蕎麦屋であることが分かる暖簾が掛けてある引き戸を引けば、「いらっしゃいまし!」の声。落ち着いた和服姿の女将さん、年の頃なら65~70歳か、にこやかに迎えてくれた。 「ありがとう存じます」の声で、私と入れ違いに先客が一人席を立っていった。 この「いらっしゃいまし」と「ありがとう存じます」を聞くと、いかにも東京だなと感じるのです。 店内は、4人掛けのテーブル席が4~5つほど、2人掛けが3つあまり。私のほかには初老の男性二人連れだけで、落ち着いた雰囲気。 種ものは、アナゴの天婦羅と桜えびのかき揚げが本日のおすすめ、壁にもテーブルの上のお品書きにも上品に手書きでしたためてありました。 桜えびの辛み冷やしそばを注文して、待つことしばし。先客の初老の男性二人連れの会話が耳に入ってくる。日本酒を酌み交わしながら、何やら月と6ペンスとか、サマセット・モームがどうだとか、研究室がどうのこうのと聞こえてくるところをみると、どこかの大学の先生だろうか? 蕎麦屋でサマセット・モームを語りあうとは、粋ですなぁ~。 ・・・さて、ならば私は何を語ろうか? 漱石か、鴎外か?・・・何も語ることを持ち合わせぬ私が、語り合う連れもなく一人きりで蕎麦屋に入ったのは、本日一の幸いなことでありました。(笑! ほどなく運ばれて来た注文のそばを、ただただ黙々とすすったのでした。 極細のそばに桜海老のかき揚げに辛み大根おろしがたっぷりのっている。これに甘口の濃い目のつゆをかけて、一気にすする。サクサクのかき揚げの口当たりやよし。ピリッとした大根の辛み申し分なし。細いのにしっかりしたそばは言うに及ばず。 この細めのそば、そばだけで食べるとどうだろう・・・と、お代わりでもりを1枚。 そば湯をたっぷりいただいて、サマセット・モームもついて、代金は締めて1995円。 皆さんもぜひ一度、蕎麦屋で英文学を語ってみられてはいかがか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2015年03月28日 08時31分46秒
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