女 王 蜂 の 営 巣
コガタスズメバチ
おととい、おそい昼食をとっているときでした。何気なく庭を見た夫が「まさか?」といって立ち上がり、窓ガラスにへばりつきました。
「スズメバチらしい!」
私のほうも「まさか?」とたちあがってしまいました。
たしかに、大きな蜂が1匹、ベランダのすぐ向こうを行ったり来たり飛び回っています。
去年の夏、全国的にスズメバチが大量発生したようですが、うちの庭にもどこからか単独で何匹も現れました。おもにヒイラギナンテンの甘いかおりを目当てにやってくるので、今年は早々にその枝を切り詰めて、花芽がつかない状態にしてしまいました。それでかなり安心していたのです。
やがて、その「まさかの蜂」は、ツツジの木のてっぺんにとまり、すぐに木の中へもぐりこんで見えなくなってしまいました。ツツジはもう花がきれいに咲きおわっています。蜜を吸いに入ったのではないことは、たしか。だとしたら - ?
考えられるのは,巣作りです。庭で殺人兵器を密造されたら、たまったものではありません。さいわい、あたりに仲間の蜂がいる気配はありません。夫は、捕虫網とバトミントンのラケットをつかって、蜂が木の中にいるうちに、はさみうちで首尾よくしとめてきました。
検索したたところ、どうやら、スズメバチに間違いないようです。名前は、こんな大きな蜂なのに、コガタスズメバチ。
それにしても、今年はばかに早くやってきたものです。
夫は、もしやと、もう一度ツツジの木にいき、こんどはさっき蜂がもぐりこんだところを目を凝らして調べ始めました。
するとじきに「あった、あった」という声!
夫が折ってきたツツジの小枝には、今まで見たこともない、干からびたキノコのようなものが下がっていました。
もう巣作りがはじまっていたのです。下から見ると、部屋はまだ三つ。しかし、その各部屋には、すでに卵が産み付けられていました。
調べると、ちょうどこのじき、冬眠からさめた女王蜂が単独で巣づくり、産卵をはじめるとありました。目の当たりにしているのは、その初期段階でした。
女王蜂は、このあとどんどん巣作りと産卵と子育てをつづけ、いったん徳利状のものを作り上げるのだそうです。
そこで思い出したのが、去年、我が家のナツツバキで発見した徳利蜂の巣。いや徳利蜂の巣といっていたもの。
よくよく調べてみると、おどろいたことに、これもコガタスズメバチの巣のようです。しかも、完成品ではなく、このあと羽化した働き蜂がこの徳利を突き破って出てきて、こんどは共同作業で、あの縞模様のときにはとてつもなく大きな危険きわまりない巣を作り上げるのだそうです。何があったのでしょう、この徳利は、発見してから最後まで蜂の出入りはありませんでした。いまなおこのままの状態で、芸術品として我が家にたいせつに保管されています。
どのみち、ツツジの中では、たいした大きさにはならなかっただろうが、それでもスズメバチの巣ともなれば、もうすこしでお役所に駆除を願い出る事態になっていたかも知れない。やれやれである。
「なんて物騒な世の中なんでしょう」と、自身はあまり危険性がないといわれる女王蜂が、断末魔の中でいったかどうか。いや、さらにいったかもしれない。
「う~んザンネンムネン、おもわぬフカク!ヒトはヒトの天敵だとばかりおもっていたわ」
もしスズメバチに文字が読めたら、貼紙でもしたいものだ。
スズメバチどのに告ぐ
ヒトはなんじらの天敵であり
たいへん危険などうぶつである
であるからして
ぜった~いに ヒトに近寄るなかれ ![!! !!](//plaza.jp.rakuten-static.com/img/user/emoji/h734.gif)
![足跡 足跡](//plaza.jp.rakuten-static.com/img/user/emoji/h728.gif)
![らんらんしろばら.jpg](https://image.space.rakuten.co.jp/lg01/94/0000086194/28/imgf810bc7fiq3ou7.jpeg)