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カテゴリ:お出かけの話
前日の豪華なイベントの余韻を引きずりながら、日曜日は再び特急に乗り込み、京都へ向かいました。
列車が奈良との県境に差し掛かるころ、窓外の風景はこんなことに…!! こ、これはどこの雪国ですか?と青ざめてしまいましたが、山深い地域を抜けると雪は止み、南座は晴れた空の下。 何度も前は通りましたが、お芝居を見るのは初めてです。それも、「いつかは…」と願っていたささやかな夢を果たして、今日は着物で歌舞伎見物なのです。 「キモノでシャンソンショー☆」もご一緒したあとむちゃんと。撮影はえりすけ嬢。 同行の二人は、昼の部から通しでの鑑賞でした。 色違いのおそろいで着たのは、着付けのお稽古仲間3人で、セール価格に飛びついて作った角通しの江戸小紋です。 前の日に気合いで難しい袋帯を結んだので、今日は名古屋帯で気楽に(三等席だったし・笑)。 前日、色々な方に褒めていただいたのに気を良くして、また同じ帯留を着けました。 夢の実現といえばもう一つ、今年の南座の顔見世では、是が非でも生の舞台を見たい!と思っていた「助六」三浦屋格子先の場が上演されるのです。それも、仁左衛門さんの助六、玉三郎さんの揚巻で! もちろん、「當る寅歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」という立派な看板に相応しく、どの演目も豪華で、華やかな役者さんの贅沢な競演。南座の観客席の、階段の急なことや狭さにはちょっと驚きましたが、それゆえに舞台との距離が近くて、三階からでも臨場感たっぷりに堪能しました。 可愛い子役ちゃんが大勢出演していたのも印象的で、菅原道真の流刑を題材にした「天満宮菜種御供 時平の七笑」では、連行される道真公を「お師匠さまぁ~!」とけなげに慕うちびっ子たちの熱演に、おばちゃん思わず涙腺が… どんでん返しのミステリーのように豹変する我當さんの時平、はまり役でした。 二つ目は「土蜘」、能の演目を土台としたお芝居で、衣裳にも所作にも、随所に能の面影があります。 お茶のお稽古で、いつも「歩くときに足をパタパタしてはいけません」と注意される私は、美しい菊之助さんの静々とした足運びに憧れました。菊五郎さんの土蜘の精が放つ蜘蛛の糸を、目にも留まらぬ速さで巻き取る後見さんの手さばきもすごかったです。 休憩時間、この後いよいよ「助六曲輪初花桜」です。早くも胸が一杯になったのか、なかなかお弁当の箸が進まず(ただでさえ食べるのが遅いのに!)半分後回しにしてしまいました(笑) 冒頭、舞台一杯に浅葱色の幕が張られ、その前を吉原の用心棒に扮した役者さんが行き交います。この幕は、いわば空気を可視化したようなもので、「ここは戸外です」という意味。 歌舞伎の約束事の大胆さと、シンプルな美しさにはいつも感心させられます。 その幕が一瞬で「バッ」と落とされると、一転して舞台の上は、色彩と光の洪水。 まるで魔法にかけられたような…その瞬間の、心がすべて“持っていかれる”感じ、まさにトリップでした。(ドラッグと比べ、違法性はないが中毒性はある…かも) 廓の軒先にびっしりと並ぶ遊女や手代たち。着飾った大人数の人間が、身じろぎもせず「生きた舞台装置」となることの贅沢さ。 その背景を従えて、打ちかけと鯉の滝登りの俎板帯という豪奢な衣裳の玉三郎さんが…文字通り後光が差して見えました。 花魁でありながらどこか、はねっ返りの少女のような可愛げのある揚巻。 こんなにきれいな人が、こんなに想いを寄せる間夫(まぶ)は…と思わせて、花道からこれまた美しい男っぷりの助六が登場です。 目の前に広がる光景に、ひたすら酔って幸せな時間を過ごしました。「助六」はコミカルな場面も多く、坂田藤十郎さんが脇に回って愛嬌たっぷりに笑わせてくれるというのも顔見世ならでは。 雪をかいくぐって、はるばるやって来た甲斐は十二分にありました。幕切れで大拍手を送りながら、またも目頭が熱くなってしまいました。 雪といえば、最後の演目「石橋」は、獅子の精が舞い落ちる雪の中を踊り狂うという豪壮な舞踊です。 鏡獅子でも連獅子でも、いわゆる“毛振り”(長い尻尾のような毛のカツラをぐるぐる振り回す、あれです)は台の上で静止して行うものと思っていたので、翫雀さんと愛之助さんが激しく動き回りながら頭を揺らすのにはびっくり。 このお二人、それまでの演目にも度々出演されていたのに、最後に来てこの激しい踊り。気力と体力に感服です。 勢いよく降る紙ふぶきが、あっという間に舞台に白く積もりましたが、愛之助さんの周囲の床は雪が積もる間もありません。「毛振りのシュプール」って初めて見たね、とあとむちゃんと大拍手! この高揚感はどこか覚えがある…と考えてみたら、紅白歌合戦の大トリでサブちゃんが歌っている時の、あの感じでした(曲は“風雪流れ旅”あたりで)。 そんな訳で、夢をかなえた南座で良い“年納め”が出来、目眩めく二日間が終わっていったのでした。 終演後、客席で記念写真。来年も、よく働きよく遊べる日々でありますように。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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