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2005年06月05日
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カテゴリ:日本ミステリ
とても面白かったです。
途中で本を置くのがもどかしい思いで読みました。

劇団φ(ファイ)を旗揚げするため、そして納得するメンバーを集めるため、日々人材を探し回る度会恭平。彼に見出された役者、風見爽馬。その過程で出遭う謎を解明していく連作短編集。

とはいうものの、それぞれの話が最後の「…そして開幕」で収束していくところは長編の味わいです。

光原百合さんは大好きな作家ですが、今回ちょっと感じが違っていて驚きました。

繊細で情緒的な表現が少なくなって、結構乱暴な描写をしていたり、シニカルな目線で物事を見ていたりします。
それが、劇団を作ろうという熱意や役者の心意気を描くのにはぴったりだと思いました。

また、登場人物が魅力的です。
普段は人当たりのいいニコニコした青年が、謎を解く段階で急に役者の顔になって凄みのある美貌を見せたり、
トレンチコートに頑丈なブーツ、黒いショルダーバッグを斜めがけにしたワイルドな男がサングラスをはずすとその瞳は「表面に波がたって輝いているときも、その下には深く静かな底が広がっていることを感じさせる湖の絵」のようであったり、
几帳面だが、素直で、とにかく人を信じてしまうシロちゃん、など。

この劇団の劇がぜひ見てみたくなります。

光原さんの作品は読んだあとに暖かいものが残りますが、この作品は暖かいというより胸が熱くなりました。泣きたいくらいに。

謎解きは推理というよりも、役者としての洞察力で見通すという感じでしたが、私はとても気に入りました。



最後の願い  著者:  光原百合









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最終更新日  2005年06月06日 00時21分20秒
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