855360 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ミステリの部屋

ミステリの部屋

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
2005年09月04日
XML
主人公の、冬狐堂という屋号を持つ宇佐見陶子は旗師です。
旗師とは、初めて聞くことばでしたが、店舗を持たず、自分の鑑定眼だけを頼りに骨董を商う人のことです。
大英博物館の元研究員であり、今は東都芸術大学の教授であるプロフェッサーD(元夫でもある)に薫陶を受けた陶子は、若いながら業界で高い評価を確立しつつありました。

ところが橘薫堂にまんまと贋作をつかまされてしまったことから、自分のプライドをかけて「目利き殺し」を仕掛け返すため、贋作に手を染める決意を固めるのです。

さらに橘薫堂の外商の女性が変死体で発見されたことから、陶子は捜査する殺人事件にも巻き込まれてしまいます。


まず、骨董業界の事情が興味深かったですね。
ここに描かれている骨董品業界は面白いというより、恐ろしい世界だという印象です。
関わる人々はみな狐、いや、まさに魑魅魍魎です。
偽物をつかまされても「目利き」が悪くて騙された方が悪い ということになってしまうのですから。

その中で一人奮闘する陶子は痛々しいくらい。、

パトリシア・コーンウェルの検屍官シリーズを読んでいてケイ・スカーペッタにも言いたくなったことですが、
どうしてそこまでやらなくては行けないの?と思ってしまいました。
身体が悲鳴をあげていてもぎりぎりまで頑張る、泣き言も言わずに。
もうハードボイルドの世界です。

そしてもう一つ興味を惹かれたのが贋作を作る過程。
贋作作りを依頼される「天才」の老人もまた個性的かつ魅力的でした。
800年前の材料にこだわり、環境にこだわる製造過程の話は鬼気迫るものがありました。


この作品は、古美術を扱っていながら難解ではなく、特殊な業界の事情が面白い上に、コンゲームにはらはらさせられ、緊張感があってとても楽しめました。

狐罠 狐罠:北森鴻







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2005年09月05日 09時16分03秒
コメント(6) | コメントを書く
[日本ミステリ(か行作家)] カテゴリの最新記事


PR

フリーページ

日記/記事の投稿

カテゴリ

バックナンバー

2024年04月
2024年03月
2024年02月
2024年01月
2023年12月
2023年11月
2023年10月

コメント新着

アルビレオ@ Re:冷凍ロールケーキ(02/07) 書き出しの「待っていたロールケーキが届…
アルビレオ@ Re:節分もどき(02/03) 恵方巻きって確かに子どもの頃 福岡には…
アルビレオ@ Re:つらいときは(02/02) 「情けは人のためならず」って、何か辛い…
アルビレオ@ Re:マフラー(01/29) samiado さん 編み物も🧶されるんですね…
アルビレオ@ Re:寒い日が続くので(01/27) 素敵ですね。息子さんと一緒にダンスなん…
アルビレオ@ Re:ぼくらの先生!: はやみねかおる(01/26) 今日は本の大好きな親友のお誕生日です。…
大嶋昌治@ RAPTURE. はじめまして。福井市在住の大嶋昌治(お…

お気に入りブログ

『縄文時代を解き明… shovさん

未定の予定~ラビ的… みっつ君さん
留年候補生W2.0… 留年候補生W2.0さん
魔女の隠れ家 たばさ6992さん
ちょっと休憩 ときあさぎさん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

サイド自由欄


© Rakuten Group, Inc.