テーマ:ミステリはお好き?(1430)
カテゴリ:海外ミステリ(ア行作家)
オックスフォード近郊の小村に建つダーンリー家の屋敷には、奇妙な噂があった。
数年前に密室状態の屋根裏部屋で、全身を切り刻まれて死んだダーンリー夫人の幽霊が出るというのだ。 その屋敷に霊能力を持つと称するラティマー夫妻が越してくると、さらに不思議な事件が続発する。 隣人の作家アーサーが襲われると同時に、その息子ヘンリーが失踪。しかもヘンリーは数日後、同時刻に別々の場所で目撃される。 そして、呪われた屋根裏部屋での交霊実験のさなか、またもや密室殺人が…。 犯罪学者アラン・ツイスト博士が、奇怪な事件の真相を暴く。 作者のポール・アルテは1955年フランス生まれ。仏ミステリ界において、本格的探偵小説にこだわり続ける作家で、ツイスト博士シリーズを中心に、多くの長篇作品等があります。 この作品はツイスト博士シリーズの第一作目です。 帯に「フランスのディクスン・カー」と書いてあるので期待してしまいますが、読んでみるとポケミスがこんなに読みやすくていいのかしらというくらいで、すらすら読めました。 作者はフランスの作家なのに、舞台はイギリス、オックスフォード近郊にある村です。 そして、ツイスト博士シリーズと言いながら、3分の2を過ぎるまで肝心のツイスト博士が出てきません。 どうなっているのかとやや不安になりますが………その後、ああ、なるほどそうだったのかと納得することになります。 密室トリックはある日本の作家のデビュー作で見たことがあるものだったので、新鮮味はありませんでしたが、最後まで読み進めるうちに、そんなことはどうでもよくなっていました。 そして最後の一行で、あっと言わせられます。 何かに似ているという感じがしていましたが、まるで日本の「新本格」の趣があります。 手品趣味、怪奇趣味に密室殺人、「フランスのディクスン・カー」と呼ぶのにふさわしいのかどうかは、他の作品も読んでからにしたいと思いますが、他の作品も期待できそうです。 1987年度コニャック・ミステリ大賞というおいしそうな賞を受賞した作品です。 第四の扉 : ポール・アルテ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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