テーマ:ミステリはお好き?(1425)
カテゴリ:日本ミステリ(あ行作家)
留学生リリー・メイスは、日本で不思議な風習を目にした。 建築物を造る際、安全を祈念して人間を生きたまま閉じ込めるというのだ。 彼ら「人柱」は、工事が終わるまで中でじっと過ごし、終われば出てきてまた別の場所にこもる。 ところが、工事が終わって中に入ってみると、そこにはミイラが横たわっていた。 黒衣、お歯黒、参勤交代―。 パラレルワールドの日本で展開する、奇っ怪な風習と事件の真相とは。 (内容・BOOKデータベースより) 人柱はミイラと出会う/黒衣は議場から消える/お歯黒は独身に似合わない/厄年は怪我に注意/鷹は大空に舞う/ミョウガは心に効くクスリ/参勤交代は知事の務め もしも、橋や学校やビルなど大きな建築物を建てるときに、神様への担保として人柱が必要だったら…… もしも、、都道府県知事が参勤交代をしなければならなかったら…… もしも、結婚した女性は歯を黒く染めるという風習が今も続いていたら…… これは、日本古来の習慣や職業が現代でも形を変えて受け継がれているという、今とは違う日本が舞台となったミステリです。 交換留学生としてアメリカからやってきたリリー・メイスが、札幌のホームステイ先の一木家の人たちとともにさまざまな事件に遭遇します。 最初にあげたもののほかにも、議員につきそう黒衣(くろご)、犯人逮捕に協力する鷹匠、厄年休暇など、珍しい習慣にアメリカ娘のリリーがあっと驚き、説明を受けるという自然な流れになっています。うまいですね。 謎解きをするのは一木家の親戚である人柱職人の東郷直海。 石持さんの作品はユニークなクローズドサークルが特徴的でしたが、今回の発想にも大いに驚かされました。それでも読んでいるうちに、だんだん日本独特の風習が今残っていてもおかしくないと思えてくるから不思議です。 表紙もユーモラスだし、探偵役も何だかのったりしていて、いつもと違う雰囲気に少し不安になりましたが、ロジックの緻密さは健在でした。(特に前半) 一年間の厄年休暇は、誰もがあってもいいと思うんじゃないでしょうか? 人柱はミイラと出会う : 石持浅海 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[日本ミステリ(あ行作家)] カテゴリの最新記事
|
|