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ロシア人との国際結婚   

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2010年11月22日
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さあ骨折が治ったら仕事を探さねば。充分すぎる休養は、私にすごい活力を呼びもどしていた。時には、骨休みも必要だろう。シヤレではないですが。
しかし世の中の大不況は、恐ろしいほどの人命をうばっていた。大学はでたけれど途方にくれている若者たち、会社の倒産やリストラ。中高年も行き場を失っている。骨折というアクシデントが日本の現実と私をむきあわせていた。ふと考えたこんな状況で彼女を日本に呼んで一体私は何ができるのだろうか。愛してるという言葉なら何度だっていえる。それを裏付けるものが必要だ。愛することは、まさにそれとの戦いだ。プライドなんてくそ食らえ。そんな私にとってできることは、どんな仕事でもいいまずそこからとつかかりを掴んで、それを足がかりに飛躍していくしかない。かってある資格で、まあまあの暮らしをしていた。しかし精神的な病や肉体的な病にそれを投げ出してしまったのである。だけどいまは違う。きっと立ち上がって立ち向かえるだろう。何かをつかみかけていた。それは、かっこよく言わしてもらうと、生きているというそのことなのだ。

ハローワークに通う。なるほどいっぱいの人だ。満員御礼なんて笑えない。ハローワークが繁昌しちゃいけないぜ。などとひとり言をいったが回りに聞こえたらしい。
ようしこうなったらニューハーフでもなんでもやるぞ。そりやむりだつうの。 もうひとりの自分が言った。第一、そんな化け物のような顔とおなかでニューハーフに笑われるのがオチだ。
何々-――お化け屋敷。誰だ! そんなこと言ってるのは・・・・ 幻聴か耳まで悪くなってきた。

新宿の街は、平日だというのに人であふれかえっていた。しかしあの時代つまりバブルといわれた時代のようなおもいっきりの笑顔も華やかさもない。沈んだ人々の顔、顔、顔。これがいまの現実。ホームレスが地下階段に横たわっていた。私は唇をかみしめた。
あの時代が蜃気楼だったのかもしれない。夢と幻のなかを彷徨した時代。しかしそのあとに激しい痛みの時代がおとずれていた。

久しぶりに路地裏の居酒屋にはいった。歩きつかれたせいか酔いのまわりが早い。
野良猫が窓のそとからこっちを覗いていた。目が合った。私が食べている焼き鳥をうらめしそうにみつめていた。私は、ドアーをあけるとそっとそれを差し出した。
店を出てもその猫は、私の後をついてきた。
私は、その猫をだきあげた。そしてチュツとキスをした。猫の目が確かに笑ったようにみえた。
何か幸せだった。
「愛してる!」
と何度も大声で叫んだ。ロシアの彼女に聞こえるように。






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最終更新日  2010年11月22日 20時49分24秒
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