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カテゴリ:韓国関連
大山大将と秋山少将の会議があって1ヵ月後、朝鮮半島では秋山少将より指示を受けた黒田大佐が金承宣と接触し、向井たちへ上陸作戦を伝えていた。 金承宣は本人自ら釜山から向井たちが居る君子・中谷へ急いだ。 清の辛亥革命に続き、ロシアの国内も風雲急を告げていた。 いままで冷や飯を食わされていた没落貴族達と、レーニンとその仲間達が結託し、ニコライ2世に退位を迫っていた、もう内戦直前であったのである。 しかし東アジアの情勢が緊迫していたため、一時期内乱が休戦状態になっているだけで、ちょっとでも国内勢力のバランスが崩れると、革命が起こりそうな状態だったのだ。 「文基さん(向井文次郎の朝鮮名)」 「おお!承宣さんじゃないか?いつ釜山から?」 「今着いたばかりです、鉄圭は?」 「畑に居る、呼んでこよう」 文次郎は畑で農作業をしている朴鉄圭を連れて金承宣のところへ戻ってきた。 朴鉄圭は満面の笑顔で金承宣に話しかけた。 「承宣、久しぶりだな!どうだ南の情勢は?」 「うん、私がハングルを教えている生徒も500人を越えたよ、みんな生活するのに一杯一杯だが、国を憂いている民も少なからずいる」 「安東は?」 「そうだなあ、安東金氏の残党とは連絡を取り合っているが、あいつらはまだまだ両班意識が抜けないな」 「じゃあ、使い物にはならんか?」 「いや、気骨のある人間もいる、外に目を向けなくてはと感じている者もいるよ」 「そうか・・・それで?今日はどうした?」 「そうそう、文基さんもこちらに」 金承宣は2人に黒田大佐が秋山好古少将から指示された内容を話した。 向井文次郎はすべてを聞き終えると、うなづきながら言った。 「なるほど・・・2ヶ月くらい後に上陸作戦が始まるんだな、こちらの準備も急いで進めなくてはならん・・・先月送った若狭隊長への手紙が届いているといいんだがな」 朴鉄圭が文次郎の方へ向きながら・・・ 「もう届いていてもおかしくありません、松都商団の全忠一は早ければ高宗さんたちがロシアのキエフから朝鮮へ戻りつつあるかもしれない、と言ってましたから」 「なるほど、帰り道で会う可能性が高いわけだな」 「そうです、ですので早ければ作戦開始前にこちらへ戻られる事も考えられます」 「そうなればいいんだが・・・それで、承宣さんはこれからどうする?」 「はい、すぐまた釜山に戻って最低3千人ほどは事が起こったときに動ける男を確保しておきます」 「できるのか?」 「すでに我々と同じ志を持った仲間が200人います、大丈夫です」 「そうか・・・ではドゥフタノフと釜山の間の忠清道はどうする?」 その時、扉を開けて岡本参事官が入ってきた。 「忠清道は私に任せてくれ、私が隠れ住んでいた時の仲間がいる、きっと力になってくれるはずだ」 「参事官、本当ですか?それは心強い」 「私も無為に何年も論山にいたわけではないぞ・・・やっと私の働き場所が出来たな」 「参事官・・・期待しています、よろしくお願いいたします」 文次郎は朴鉄圭に向かって言った。 「あとは、元山と義州だな」 「北方面は足がかりがありませんからね・・・とにかく今からすぐ動いてみましょう」 「うむ、そうしてくれ」 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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