すべりこみアウト。 7すべりこみアウト。7 すべりこみアウト。6へ <誘惑> 数え切れないほどの誘惑をボクにくれたキミ。 ボクはそのたびに苦しんでときには楽しんで その誘惑を味わいつくしたよ。 欲望には限りがない。 どこまで突き進もうとも。 キミの誘惑に心はメロメロ。 キミの誘惑に炎がメラメラ。 そして今、ボクらはバラバラ。 <波> うねるように動いていた波がハタと静かになる。 もうこのまま永遠に動かないのではないかと思えるほど。 こんなときは下手に動かない方がいい。 次の波が来るまでの、とてつもなく長く感じる一瞬を 息をひそめて見つめていよう。 次の大波は前から来るとばかりは限らない。 <淋しい口> 今夜はインスタントコーヒーにチョコ。 昨夜は自家製梅酒にチーズ(サラミペッパー味)だった。 時々ビールとポテチ。 熱いお茶に黒砂糖って時も。 いつも、何か、口淋しい。 口淋しいときって、心も淋しいのかな。 (いや、イヤシイだけだろう) <静かな攻防> 誰にも気付かれない静かな攻防がここにある。 二人だけにしかわからない応酬。 音もなく火花は散ってる。 せめぎ合うその音だけが微かに聞こえる。 <崩壊> 互いの何かが不安にさせる。 それが積もり積もって大きな砂山が出来るころ ちょっとした通り雨が降る。 何の気なしに。不意に降る。 砂山は簡単に崩れ去り跡形もない。 <突起> 君の何かが引っかかる。 別に大したことではない。 取るに足りないこと。取るに足りないように見えるものだ。 ほんのちょっとしたことなのに きみの仕草がボクに新たな課題と疑惑をもたらす。 そのナゾが解けるまでこの夜は明けず 次の部屋には入れない。 <そんなことなら> そんなことになるなんて思いもしなかった。 そんなことならどこまでも行くべきだった。 そんなことならどこまでもどこまでも。 そんなことになるなんて思いもしない僕だなんて その時その瞬間まで思いもしなかった。 行ってみないとわからないよと言ってた僕だけど 行ってみようともしない僕だなんて。 <逃避癖> やるべきことからとことん逃げよう。 やるべきことからとことん逃げても 必ずいつか追いつかれる。 だから追いつかれるその日まで 出来るだけ遠くへとことん逃げよう。 <心の岸辺> 今、心の岸辺に立ってその底の方を覗き込んできました。 どろどろと渦巻いてるものがいっぱい見えて恐ろしく 初めて見てしまったので 「あぁ、ここを踏み越えてしまったらあそこへ行ってしまうのだな」 と思いながら 今夜なら踏み越えてみようと思っただけでそこに行けそうでした。 そこに行ったらすぅっとしそうで、 でもここには決して戻れないから それはまだいやだなという気持ちが勝って、行けませんでした。 <いばりんぼう> いばりんぼうのあの人。 いばりんぼう。 ブツブツ言うのが仕事。 いつも何か探しているけど見つからないって顔の毎日。 <あともう少し> あともう少しと言い聞かす。 それさえ過ぎてしまえば。と。 そこを過ぎれば一時凌げる。 凌ぐ時間があればまた元気にもなるだろう。 あまりにも次から次へと走りすぎると お天道さまにしかられますよ。 お天道さまを追い抜かすことはできないんだから。 <風の足跡> 風が雲を連れてきて 雲が雨を降らせてく 風が時を連れてきて 時が涙を降らせてく 風がお日様連れてきて お日様涙を乾かす日 <以心伝心> 時々ハッとあの人の言いたかったこと、言おうとしたことが 絵を見るようにわかることがある。 そこにはその瞬間に同じ何かが流れていて その何かにお互いが同じように取り囲まれている気がする。 それは空気のようでもあり、時間のようでもあり。風の流れようでもあり。 ごくたまに訪れるその瞬間は何のためにあるのだろう。 その時、何かをしなくちゃ? それとも、以心伝心!と感じるだけでそれだけで? <風> 風に吹かれて目を瞑る。 体の表面が敏感に流れを感じとる。 鼻先に草の匂いが残る。 雨上がりの風はことのほか気持ちがいい。 このまま連れ去られよう。 このまま漂って行こう。 どこまでも。どこまででも。行けるところまで。 風の気のすむまで。 <雨> 雨はいろんなものを連れてくる。 雨はいろんなものを連れてゆく。 あのリズムにヒミツがある。 ボンネットに雨粒。耳元にメロディ。 考えが深みにはまる。 |