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トールも製作に関わったオラクルカードです♪

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2009年05月05日
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何が先に起こったのだろう。
何が後に起こったのだろう。

あらゆる出来事が同時発生し、トールと本体は混乱していた。

予兆は、デセルとその本体の見たヴィジョンだったか。
ちょうど、トールの本名はなんだろう、となんとなく考えていたという。デセルは知っているようだけれど、と。
そしてあることをきっかけに「グラディウス」であったトールと会った、と本体が伝えてきた。
銀色の髪を肩くらいで切りそろえた、大人びた眼をした少年であったらしい。
そのときデセルは「デューク」だったと。グラディウスは古い言葉で「剣」、デュークは「導き」。個人の名前なのか役割なのかはわからないが、と本体は言った。

次の順番はよくわからない。

緑の少女の本体が、ハートが爆発する感覚があるが心当たりはあるか、と聞いてきた。
デセルの本体が、今度は青年期の入り口くらいのグラディウスに会ったと言ってきた。
トールの本体が、今まで逃げ回ってきたセッションについて、やってみようかと日記に書いた。

その日記をあげた直後から、本体のハートが痛みだした。
おそろしい。
おそろしい。
そんな感覚が胸をせりあがってくる。しかし、なぜそれほどまでに恐ろしいのか、がわからない。

最初、本体は自分ひとりで耐えるつもりだった。これしきのことで助けを求めてはいけないと思い込んでいたし、涙が出るわけでもないのだからたいしたことはないと判断して。
するとミカエルがやってきて言った。

「お前はまず、ヘルプコールをすることを覚えなきゃならん。人には言えるくせに自分ではできないんだからな。
ほら、とっととやれ。どうせ二人にはもうバレてるぞ」

その通り、緑の少女の本体にも、デセルの本体にも、何も言わないのに異常はすでに感知されて心配されてしまっていた。
心臓を掴むような痛みが強くなり、息さえもつまる。

くるしい・・・

ついに本体は観念し、辛さを表明した。
変化はすぐにやってきた。

デセルと緑の少女が抱きしめてくれる感覚。少女は泣いている。それが哀しくて逆になぐさめたかったが、そこまでの余裕がない。
その本体から、ローマ風の名であるグラディウスに関連するかもしれない、という過去生の情報がやってくる。そこに出てくる兵士と、新月の晩に見た冷たい「刃物」であった男のイメージが重なった。

ローマ兵士と、もっとずっと昔の、地球ではないかもしれない場所の記憶が同時に再生される。
どちらの時のトールも、グラディウスという名であったのかもしれなかった。

そしてどちらの生でも、彼は「愛」を知らなかった。
与えることも受け取ることも・・・・・・それどころか、それが自分の中にあることすら知らない。

彼はおそらく道具であり、それも刃物のような道具だったのだろう。
愛はどこかで凍ったか落としてしまったのだろう。
「普段は気づかない胸の奥底にある、わけのわからない感覚」としてだけ残っている。

ローマ兵であったときの彼は、その感覚が出ると混乱した。
戦略も戦術も効かず、どうしていいかわからないから。
酒を飲んだり戦場に出たりしてごまかしていた。
刃物として砥がれた彼は、刃物として戦場で生きることしか、「生きている」ことができなかった。


ずっと昔の彼は、それが失われていく感覚を知っていた。
大切なもののはずなのに、少しずつ少しずつ死んでいく・・・・・・
同時に、本当の自分というものも少しずつ死んでゆく、自分の心が無感覚になってゆくそのさまを、子供のころから何年もかけて見ていたようだ。

デセル(本体)が見たとき、サードアイに青い石のついたバンドをしている、ということだった。
衣食住には不安のない生活だったようだが、なにかの実験施設か養成施設でもあったのだろうか。
サードアイは封じられているようだった。
ハートはやがて欠落するようにカリキュラムが組まれ、事実少しずつ機能しなくなってゆく。
上層部にとって、彼の心は必要のない、邪魔なだけのものだから。


成長した彼は、自分が誰だかを知らない。

昔は知っていたのかもしれないが、いつのまにかどこかに落としてしまった。

それを探したいのに、大事なものが欠けている、となんとなくかすかに感じるのに、何を探したらいいかもわからない。

グラディウス、と呼ばれることが嫌いだった。

名前の意味も呼ばれるという事実も、それはそのまま仕事をさしているから。
仕事だけが彼を追いかける。

彼は使い勝手のよい、鋭い剣だったのだろう。
切れ味のよい剣だったのだろう。

たくさんの仕事を命じられ、たくさんの命を奪った。

人を斬っても感情は動かない。
飛び散る返り血をあびても平然としている。
その内臓をつかみだせと命令があれば、顔色ひとつ変えずに素手で取り出すことができた。
人体のどこをどう斬ればどういう結果になるか、正確に知っていた。
拷問をしろと命令があれば、ひどく残虐な方法で、望みの結果を出すことができた。

自分からやることはない。
それは心が痛むからではなく、ただ面倒だから。
相手の悲鳴にも絶叫にも懇願にも涙にも、彼は感慨をおぼえない。
相手がなぜ泣いているのかが理解できないのだ。
涙というものは、彼の理解の外にあった。
誰かが泣くのを冷め切った目で見て、なにを臭い演技をして、と思っていた。

三次元の医学でいうなら、おそらく離人症を発症していたのだろう。
世界は薄皮一枚むこうに存在し、彼は痛みにひどく鈍感だった。
自分にも、他人にも。

肉体の痛みにも鈍感だ。
怪我をして血が流れて、ああ止血したほうがいいだろうな、と思うくらい。
止めなければ痛いから、死んでしまうからというよりも、そうしなければ鬱陶しいから、くらいの感覚だった。

かなりの戦闘能力を持っていた彼は、そんな殺人鬼の養成施設のようなところで、実戦教官をすることがあった。
しかし痛みも知らず共感能力もない彼は、手加減というものをいっさいせず、特殊訓練を受けているはずの生徒を殺しかけたことが一度や二度ではない。
その容赦のなさと、すべてにおいての冷酷さから上層部にはいかず、単なる駒としての教官を務めていた。

心にいたっては、痛んでいることに気がつかない。
胸が痛むときには、柵をつくって圧縮して、無視しておくとそのうち消えた。
理由を知ろうとは思わない。
いや、理由があるということも知らなかったのかもしれぬ。
無理やり消した痛みがどこへゆくのか、知ろうと思ったこともない。
鬱陶しい痛みさえなくなればいいのだから。

生きることにも死ぬことにも無頓着だった。
すべてが面倒で、早く終わればいいと思っていた。

彼はたったひとりで、上も下もわからない暗闇に浮かんでいる。
道は見つからない。
親子とか友達とか、そういう感覚もわからない。

苦しいとか寂しいとかの感情は、意識にはあまりのぼらない。もう麻痺してしまっているのかもしれなかった。
すべてを凍らせてしまっていた。

精神制御プログラムがかかっているので、自殺はできなかった。
応戦することを体に叩き込まれているので、無防備でいることもできなかった。


・・・・・・けれどもたぶん、心の奥底では早く誰かに殺されたいと願っていた。

死んでこの世界と仕事から離れるとき、そのとき初めて、なくしたものがなんだったのか、見つけられるような気がしたから。













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物語はもう書いてあるので、実家でPCが触れたらささっとアップするつもりですが
メールのお返事は自宅に戻ってからゆっくりさせていただきたいと思うので
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最終更新日  2009年05月05日 09時18分10秒
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