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カテゴリ:銀の月のものがたり
風呂に入っていたら、突然身体がグラディウスと「重なった」。
目を閉じて髪を洗いながら、自分のものとして感じる厚い胸板、逞しい腕。違和感この上ない。 なぜだ、と考えて思いあたる。 彼の心は心の座にない。 おそらく肉体の記憶の中にあるのだろう。 相手の眼球にナイフを突き刺す。 水気のある軟らかい感触。 切っ先の位置。ミクロンの力加減。 グラディウスは頚椎にチップを埋めこまれていた。 使い捨て戦士の寿命が近いという印。 人など誰も同じ木偶だった。 皆皮を剥げば血と骨と内臓だ。 だが彼の名だけは覚えていた。 彼と組んだときの復命率、生存率は限りなく100に近かったから。 特A級のペアとして、長くトップに君臨した。 しかしそれもいつかは終わる。 戦士は捨てる前に、動作や行動のすべてをチップに記録された。 中枢神経系に埋めるチップは、コンマ数秒反射を遅らせる。 だから最盛期の戦士に使われることはなかった。 そのうえチップからは傍受者の無駄な喋りが漏れてくることさえあった。 「彼はここの反応がいいな。 「RG銃の狙いはこうつけると効率がいいか。記録しろ。 ああうるさい。 チップを埋めこまれた戦士はもうすぐ捨て時であり、神経をやられて遠からず廃人になり、銃殺されるのが常だった。 それが組織の処理の仕方だ。 彼の目を傷つけろと命じられた。 なんとはなしに日延べしていた。 理由はわからない。 彼も捨てられる時期にきたのだ。 うるさい。うるさい。 右の目を潰した。 眼球をえぐった。 奥の神経には毛筋ほどの傷もつけていない。 彼ならその空隙になにかを仕掛けられるだろう。 俺のことをおそらく最も理解していた者。 大胆な理論と繊細な工夫を得意とした者。 導く者よ 最も長く、俺を生へと導いた者よ。 俺はもうすぐ狂うだろう。 そして塵芥のように捨てられるだろう。 所詮肉の器ならば、それもまたいい。 だが多分 お前が、導く頭脳が狂っていくのは見たくなかったのだ。俺は。 デューク、導く者よ お前は自分の生を導けるか? そしていつか・・・ 俺は、言葉にできなかったもの 自分自身ですら見失っていたものを お前に伝えることができるだろうか? <デューク - storage 1 -> http://blog.goo.ne.jp/hadaly2501/e/d194569b563519cce341fa01e00ad5df ************* この【銀の月のものがたり】シリーズは、現在カテゴリをimagesから 銀の月のものがたり へと移行中です。 移行期間中はご迷惑をおかけいたしますが、どうぞ両方をごらん下さいませm(_ _)m →→登場人物紹介(随時更新) なんだか今日アップしとけー、って感じなので。 なぜかわからないけどアップしておきます 笑 コメントやメールにて、ご感想どうもありがとうございます! おひとりずつにお返事できず、本当に申し訳ございません。 どれも大切に嬉しく拝見しております♪ 続きを書く原動力になるので、ぜひぜひよろしくお願いいたします♪ 拍手がわりに→ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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