近親者による援助
民法の第4節・第6章には近親者の扶養に関する条文があり、第877条の『扶養義務者』の条文において、「直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。」と定められています。 この条文に基づき生活保護をはじめとする公的扶養より、近親者により私的扶養が優先されるべきと考えられており、生活保護法の第4条2項の『保護の補足性』において、近親者の援助や、ほかの法で定められた援助を、生活保護より優先して活用すべしと定められている。 つまり、生活保護とは、本当の最終手段であり、本来であれば軽々しく利用すべき物ではないのです。しかし、不況も相まって受給者は年々増加傾向にあります。 生活保護が最終手段である以上、当然の事ではあるが、申請を行なった場合には、申請者について、生活保護以外に打開策が打てないか調査が行われます。 その調査の中には「扶養照会」という物もあり、近親者の収入などが調査され、近親者による扶養が可能かどうか調査されます。 しかし、「扶養照会」に関して返答の義務はない為、まともに返答が返って来ない場合があり、さらに、近親者の扶養能力の有無に関して、明確な判定基準は存在せず、法的な拘束力もない為、申請者と近親者が口裏を合わせて扶養能力がないと申告すれば、それがそのまま通ってしまう様な状態であり、、制度として形骸化してしまっているのが実情です。 酷い例では、以前話題に挙げたS氏の様に、扶養を受けられないと申請して居ながら、家族と親密に付き合って場合などもあります。 少子高齢化と未婚率の増加により、近親者のいない方も増えているでしょう。しかし、近親者が居るのにも関わらず、生活保護を受けている方も沢山います。現実的に扶養が難しい場合もあるでしょうが、血の繋がった近親者を放りだし、他人任せにしてしまうのは、何とも世知辛いと感じてしまいます。