つげ雨夜 『アコガレ連鎖』 密かな想いを封じてきた元ヤン×生徒に対して『先生』であろうと頑張る高校教師
どこかでこの作家さんを見た事がある気がするので、雑誌で読んだ時にチェックしていた方だと思います。これから頑張って行って頂きたい作家さんですね。 コミック自体は最近読んだ作品ばかりなのですが、どの作品も綺麗な作画(癖があって良い)と、軽妙なストーリー展開でサクサク読み進める楽しさと、今作品は元ヤン(本当のところはヤンキーではないが、あだ名にもなってるので・笑)の一途な想いが良い感じでストーリーを引っ張っていっていますが、この高校教師の切り替えの早さ(?)には驚かされましたね~。と、いうのも…。 つげ雨夜/著『アコガレ連鎖』 (全1巻 '08年) B6版 フロンティアワークス ダリアコミックス/出版社・シリーズ 大学3回生の宮本遼平には、高校3年の時のクラス担任だった山田穂波先生(当時25歳)との思い出が心にずっと刻み込まれている。 家族との折り合いが良くなくて家へ帰るのを躊躇うが為に夜の街を彷徨っていた宮本にはクスリなどの犯罪の誘いも多く、何度も何度も探しに行っては絡まれる宮本を救い出そうと奔走する山田に『なんで助けに来てくれたの 先生だから?』と警察署帰りの朝、強引に連れて行かれた高校の校舎で尋ねた宮本に、『お前絶対薬やらなかったし売らなかったんだろ』『生徒全員を助けることはできないかもしれないけど お前だけは連れていこうと思った』『先生だからじゃないよ 先生になりたいんだ お前の味方に』 そう言って朝焼けを背に穏やかに微笑む山田に湧き上がる強い激しい憧憬が、ただもうその鮮やかさだけが心に焼き付いてはなれず、ずっとその後の宮本を支えていた。 その気持ちはひどく恋に似ていたけれど、それが本気に変わる前に高校を卒業し、それ以来先生には会っていなかった。 ある夜、大学の友人と飲みに行った居酒屋で帰る前にトイレに立ち寄った宮本は、廊下にうずくまる酔っ払いを見つけ、放って置けなくて肩を揺すって声を掛けると、その人物は一人で呑みに来ていた山田だった。 そのまま一人暮らしのアパートまで連れ帰って介抱していると、寝言を呟きながら涙を零す山田にぞくっと色気を感じ、もし女だったらうっかり頭に血がのぼってやってしまったかもしれなかった事を思い浮かべていた。ついそんな寝顔を携帯で写真に納めてしまうところが宮本の可愛いところではあるけれど。(笑) 翌朝目を覚ました山田は『オレのこと覚えてる?』と尋ねる宮本に気が付き、懐かしそうに満面の笑顔で呼びかけて来るその微笑に宮本は参ってしまっていた。 寝ている時に苦しそうだった山田を気遣う宮本に『何もないよ』と普通に振舞い、出勤時間だからと部屋から立ち去ろうとする山田を『また今度会ってくれませんか』とこのまま断ち切れずに声を掛けたのだが、あっさり承諾した山田が立ち去った後に部屋で携帯のバイブの音が鳴り、見に覚えのない携帯を仕方なく拾い上げて取ると、『先生 オレ また切っちゃったよ手首』という衝撃的な声が。『…なんだお前』と声を返した宮本に気付いた声の主は一方的に通話を切ってしまい、その後公衆電話を使った山田から『今夜取りに行く』と連絡を受け、アパートまで訪ねて来た山田に今朝の電話の詳細を伝えた途端、飛び出そうとする山田を引きとめ心配を口にする宮本に『もうお前の先生なんかじゃないんだよ…! 放っといてくれ…!』と突き放そうとする山田を突然壁に押し付けてキスをすると、そのまましゃがみ込んで…。 『先生…好きなんだよ』と告白してしまった宮本に、突然の出来事に混乱した山田は…。 7歳差の年下攻ですよ。 先生に言わせると、『年下の男はかわいいってきくけど ありゃホントだね』と笑わせてしまうほど、宮本は情熱的でけなげですよ。徐々にほだされて行くのが手に取るように分かります。こんな一途な年下彼氏、いいなぁ。(笑) これから色々な展開があるのですが、山田先生の反応の変化が楽しめますよ~。いかがですか?楽天ブックスへ GO!!つげ雨夜 アコガレ連鎖