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テーマ:ξバイク好きの交流所ξ(732)
カテゴリ:仕事
たまには整備のお話でもしましょう。
ちょっと専門的。整備士向けかも・・。 今回の患者さんはレッツ4。インジェクション装備のスクーター。 高年齢のお客様が購入されて約1年。 距離数は2300km。聞けば一回の走行が少ないそうです。 症状は・・・エンジン止まる! アクセルを開けると普通に走り、信号などで減速停止するとエンジンも止まるというものでした。 試しに全開からいっきに全閉にするとアイドリングが一旦落ち込み、苦しそうにもとのアイドリングに戻る感じ。数回繰り返すと見事止まりました。 この症状はガスが濃いとよく見られる症状です。(エアが少ない) キャブレターですとアイドリング低いとか、スロウ系の詰りなどありますがインジェクションはアイドリングはよほどの事がない限りいじりません。 センサーのトラブルかインジェクター本体であろうと思われる。 自己診断機能はワーニング表示がないのでインジェクター本体に絞って診察しましょう。 コードの繋がったのがエアソレノイドバルブ、黒いのがスロトルポジションセンサー。 ボディのバタフライバルブを点検するとカーボンが不着。本来は全閉でも空気が流れる隙間があるのですが、ほぼ9割は塞がっています。ライトを逆から照らしても光が見えないほど。 さすがにこれでは濃くなって止まりますね。 キャブクリーナーで軽く溶かしながら掃除します。 薬品使う場合は必ずソレノイドは外しましょう。 ここのOリングは薬品に弱いのでふやけたりしますと二次エアの原因になります。 ついでにソレノイドも掃除しときます。 ライト当てるとはっきり通路ができたのがわかります。これが本来の状態です。 光で広く見えますが実際はここまで隙間はないですよ。 組み付けて始動。全開全閉を繰り返すも落ち込みもなくエンストも無し。 これで修理完了です。 しか~し、プロはここからが見せ場です。 お店によってはやらない場合もあるでしょうが、私はできるだけ再発防止もしときます。 1万キロとか走って出た症状ならいいのですが、今回二千キロほどで出たとなると問題です。 お客さんの走行に合わせないと半年のうちにまた同じ症状が出ることでしょう。 カーボンの体積は混合気が濃かったり、エンジンの温度が低かったりと色々考えられます。 一回の走行が短い場合は冬にはチョークが切れる前にエンジン停止するでしょう。 またエンジン温度も低いまま停止となると濃い目でいつも走ってるってことですね。 そこで対策ですが、まずスロットルセンサーを規定調整範囲内いっぱいまで閉側にします。 こうしますとアイドリングで噴射量を若干減らせます。かなり微調整ですよ。 飛ばさないお客様なのでプラグをヒートタイプに交換。 これで少なくとも今回のように二千キロほどで同じ症状になることはないしょう。 カーボンの体積はずっと使っていればスポーツバイクでも起こります。 粗悪ガソリンなどや指定外なのにハイオクを使用したりすると症状が進みます。 インジェクション車でアイドリングが落ち込むとかありましたら一度確認してみてください。
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