テーマ:ミステリはお好き?(1425)
カテゴリ:読書
(多少のネタバレありです。)
中井英夫、あるいは塔晶夫の『虚無への供物』読了しました。 ほんとはもう一度読んでから感想を書きたいのですが、図書館に借りてる本で、次の予約が入ってるとかで…(火曜日が期日なのだが、催促の電話が来るのだろうか?とにかく読めるだけ読むです。) これは、明るく楽しく解りやすい『黒死館殺人事件』と言った感じの小説でした。なんじゃそりゃ?とか思われるかもしれませんが。(^^;) 黒死館…のパロディーぽい楽しさがあります。 牟礼田は法水の得意なセリフ「そうなるかねえ」と同じく、まだわからないの?等のセリフを連発させます。 そして事件の犯人だと予想された人物が次々と死んでいく当たり、まさに『黒死館殺人事件』!! 不動尊とか何とかは、私は良くわからないのだけど…ポーの『赤死病の仮面』をベースに、色をからめての事件と言うのはなかなかおもしろいです。 誕生石の宝石を送られると言う家族の話は、もろ中井英夫の生い立ちだそうですね。 氷沼兄弟の祖父の話も、中井英夫の祖父がモデルみたい。 小説はすごくおもしろく、ぐいぐいと読めたのですが、後の長い長い解説も全部読んでみると、作者の心の闇のようなものも見えてきます。初出版の時のペンネームの「塔晶夫」を封印してしまったのも、何かそういう物があるのでしょうか。いい名前なので残念ですよね。 しかしまあ、そういうもの抜きにして、本当に楽しめるし、よく練られている小説だと思います。特に、中盤以降は凄いっすよ! 乱歩を継承していると言ってもいいような文章。キャラが一人一人立ってますよね。 あの三島由紀夫は、これを読んで、いてもたってもいられずに中井英夫の元に飛んでいき、出掛けていた出先まで追い掛けていって感想を言ったらしいですが、この三島の好きなキャラが、藍ちゃんと久生と言うのは、すごく頷けます。特に藍ちゃん。 私は藤木田老がおもしろかった! それに、話の出だしとラストの符号と言うか、見事なシンメトリーを描いています。だから即再読したいんですよ~。 ちなみに最初のあたりから予想がついた人が犯人でした。やっぱり! と思いましたよん。 ただ、結末はちと肩透かしって感じなんですよ。もう1つどんでん返しがあるのかな~と思ったのですが・・・ ミステリ的おもしろさとは別に、作者の言いたい事が後半部分にすごく伝わってきます。 「洞爺丸事故」での大勢の無意味な死がこの小説を書かせた一番大きな要素だったと思います。そして、人間誰しもが持っている残酷な要素に、作者自身苦しんでいたのではないか、と思います。そんな思いが書かせた小説なのではないでしょうか。 ところで、これ、ミステリの三大奇書らしいのですが、奇書と言う感じはあまりしなかったですね。 ゲイバーの場面から始まり、倒錯した性と言う部分はありますが、あまりその辺の所は描かれていないし。 あとの二つ、『黒死館殺人事件』と『ドグラ・マグラ』は奇書以外の何物でもないとゆー感じなんですが。(ただ、ドグマグもミステリの枠に入れるのには納得がいかないですが…) 上の2作品とも、凄いけど読み易くはない作品ですが、『虚無への供物』は、ほんと読み易いんで、躊躇わずにどんどん読む事をお薦めします。解説の方が読むの大変だったかもしんない…しかし、解説・あと書きがまた、かなり興味深いです。 本など買ってもらった事がないが、外国人の友人が送ってくれる洋書を母親が翻訳し、その手書きノートを貪るように読んだ少年時代。 この母親に、3才の時から日記をつけされられたと言うのには驚かされます。 ちなみに私が読んだのは、東京創元社、創元ライブラリ、中井英夫全集-1 (文庫本) です。 【楽天ブックス】虚無への供物(上)新装版 【楽天ブックス】虚無への供物(下)新装版 激安! 1980円セール! 12/5まで。 もうすぐXmas! 100店鋪合同企画 週末限定送料無料セール 12月6日10時まで クリスマス前の大オークション市 2004年12月1日00:00 から 2004年12月12日23:55 まで? 今日リトルムーンさんでの取り置き分が到着。 【ヘアコーム】フラワー・ワルツLの新色など、惚れ惚れする綺麗さです。 しかし・・・またもやストーンが1つ付いてないのがありました。(-_-;) もう覚悟して購入してますが。ま、購入者サービスで1円で購入したバンスクリップなんですけどね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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