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テーマ:アニメあれこれ(26109)
BLACK BLOOD BROTHERSの第8話を見ました。
OPのCDを購入したので、原作4巻と5巻が買えなくなっちゃった…。 第8話 護衛者 まもなく夜が明けるとカーサを止めるケイン。 「構うものか。くそ、あの能無し者共め。屋敷に連絡を入れれば直接私が出向いたものを」 「分かっておいででしょ。親方様はカーサ様をこの件から外したいのです。これ以上勝手をなさいますと親方様が直接動かれますよ」 「上等だ。そのときは今度こそ、あのババアと決着をつけてやる」 「カーサ、様…!?」 「そのときはケイン、お前は私の味方につけよ。嫌なら無理にとは言わないけどね」 カーサは笑いながら出かけていった。 洋館の庭でジローの前で跪いているヤフリー。 「『ジローにまた会いたい』。この10年ずっと言ってました、カーサ姉貴は」 「どういうつもりです?何故私たちを助けました?己の血族を手にかけてまで」 ジローの背後には、彼に庇われる形でミミコとコタロウがいた。 ヤフリーは3人から距離を置きつつ、片膝をついてジローを見上げている。 ジローの声には苦いものが混じっていた。 多くの吸血鬼にとって血族は家族も同然の仲間であり、ヤフリーはミミコに襲い掛かった、ヤフリーと同じ『九龍の血統』に染まった吸血鬼を背中に背負っている刀で斬殺したのだ。 助けられたとはいえ、素直に礼を述べられない。 「別段珍しくないんス。何しろ、俺らは血を吸うだけで転化させる因果な性質です。放っておいたら大変なことになる」 ジローの態度が切れ味をなくしたのはその直後だった。 「…ジローさん?」 後ろで震えていたミミコが混乱し、助けを求めてすがるような声をかけるも、ジローは見向きもしなかった。 相手をしている場合ではないと無言の背中が語っているようである。 「俺らが生きてく術っス」 「…責めはしませんよ。私とて血を吸う存在。生きる上で避けられぬなら、いくらでも手を汚すでしょう」 思わぬ返答だったのか、ヤフリーは困惑したようにマジマジとジローを見つめる。 「これは、どうも…驚いたな。そんな風に言ってくれる人はまずはいません」 「私があなた方を斬るのも同じ理由です。私にとって『九龍の血統』は無視できない脅威です。だから斬るのです。あなた方に非があろうがなかろうが、敵として排除する」 ヤフリーの面が引き締まる。 「…成程。『同族殺し』につまらぬことを言いました。改めて、よくぞ聖域を出られました、『銀刀』殿。我ら姉弟は貴方の復帰を心より歓迎します」 「敵を歓迎すると?」 「九龍の血は乱を好む。好敵手の不在ほどつまらないものはない」 「くっ…」 ミミコは恐かった。 服を掴んでいるコタロウが大丈夫かと尋ねる。 「カーサは今どこにいます?」 「…側に」 ヤフリーは短く返答し、立ち上がる。 「…おのれ」 喘ぐような声が零れ、ジローは顔を歪め、次の瞬間一陣の旋風と化す。 だらりと下げられていた刀が目の覚める勢いでヤフリーに叩き込めれるが、ヤフリーも背中の鞘に納めていた刀で素早く受け止める。 「何が好敵手か!?」 ジローが吠えた。 双眸が怒りの燃え上がっている。 「貴様らとじゃれ合う気はない!!」 「そりゃないっス。俺らは昔話聞かされるだけで、長いことお預け状態だったんスから!!」 不意に力を抜き、重心を下げる。 同時に右足を跳ね上げ、ヤフリーはジローの横顔を蹴るも、ジローが刀を立てて防御すると、ヤフリーが伸び上がって刃を向ける。 ジローは跳んで避けたので、ふわりと宙に浮く。 「ここに来たのはもう1つ理由があるんス」 「何!?」 「是非手合わせを、と」 言下に、ヤフリーが斬り込んだ。 ジローの刀が翻って受ける。 再び硬質な金属音が響く。 足技を織り交ぜたヤフリーの攻撃は変則であり、キレがある。 ジローは降りかかる刃を残らず防いでいたものの自分から仕掛けることができずにいた、 「舐めてんスか!?」 我慢ならぬ様子でヤフリーが叫び、跳び上がったヤフリーが刀を振り落とす。 何とか受け止めるジローだが、意表をつかれ、あご先に蹴りを受け、片膝を地面に落としてしまう。 「転化10年の若造相手じゃ本気出せないんスか?」 遠方からヘリが近づいてくる音が聞こえる。 ヘリのライトが洋館を横切る。 「鎮圧チームよ」 ヤフリーはしばし無言でヘリを見上げていたが、1度ジローを睨み、刀を鞘に戻す。 「失望っス」 ヤフリーは鉄柵を飛び越えて去っていった。 ミミコとコタロウはジローの側に駆け寄る。 ミミコの大丈夫?には無言のまま答えず、銀刀を鞘に納めた。 「ミミコさん、ここでお別れです。私たちにとってここは安全ではなくなりました」 「ちょ、ちょっと――」 「行きますよ、コタロウ」 「ええ!?そんな急に」 「そ、そうよ。せめてあいつらのことだけでも『カンパニー』に…」 「いいえ。こうなった以上、『カンパニー』に関わる気もありません」 「兄者、駄目だよ。もうちょっとだけここにいようよ」 「今、お前と言い争う気はありません。大人しくついてきなさい」 「兄者、お願い…」 「兄の言いつけが聞けないのですか?」 「どうしても出て行くならそれでいいよ。でもその前に1回セイやケインさんとちゃんと話そう。その…なんて言うか…上手く言えないんだけど、今みんなと別れるのはよくないんだよ!!」 ハッとしてジローは視線をそらす。 「お願い、ジローさん。私の話を…」 ミミコはジローの腕に触れます。 「すみませんでした」 「あ、謝らないでよ。ね、お願いだから…」 ジローの目がゆらりと妖光を湛えた途端に、ミミコの腕は独りでに彼の腕を放した。 視経侵攻(視線を介した催眠術)によって操ったのだ。 「ジロー、さ…ん…」 そればかりか、ミミコは急激な眠気に襲われ、目を閉じてしまう。 「特区内での一次感染…しかも感染源は『九龍の血統』の二世で、未だ逃亡中。考えられうる最高レベルの非常事態だ。『カンパニー』は総力をあげて、感染源を捕獲、抹殺する」 尾根崎の言葉に協力を惜しむ気はないと答えるケイン。 セイも無言のまま頷いた。 「逃走中の吸血鬼は名をヤフリー・趙。転化後10年しか経っていません。条件が整えば鎮圧チームだけでも対処可能と思われます」 「ならば、何故『銀刀』は討ち損じた?」 「分かりません。それより奴が特区に入ったということは内通者がいると考えられます。ミスター・セイ、結界を越えるための厳密な条件を聞きたい」 「招けばよい。相手を吸血鬼と知った上で招く意思を伝える。さすれば結界は反応しない。ただし招く側にも資格がある。特区に住む者であること。人であること」 「前者の区別はどのように?」 「本人の意識。この地に暮らし、特区を己の居場所と思う者でなければならない」 内通者の割り出しは急務だと言う張はそれ以上何も言わずにケインに視線を向ける。 張が言わんとすることはケインには明白だった。 彼は踏ん切りをつけるように目を閉じ。ゆっくりと決意を口にする。 「よろしい、もとより隠す気はない。奴が『銀刀』に言ったカーサと言う人物は知っている。カサンドラ・ジル・ウォーロック。元は我がウォーロック家の重鎮であり、私が仕えていた女性。10年前、九龍地区にかの血統の始祖が生まれたとき、おそらくは一番最初に奴らの血に染まった――裏切り者だ」 生きていたのかと言う尾根崎。 「彼女がこの件に噛んでいるとすれば、事態はいよいよ深刻ですな」 「彼女は我が血統の始祖『魔女モーガン』の再来とまで呼ばれた、魔術の使い手でもある。私では歯が立たぬ程のな」 「余もかの者とは聊か因縁を持つ。いや、あの聖戦に関わった主だった者なら、皆何らかの思いを抱いておろう。特に…ジローは」 「『銀刀』が、ですか?」 「うむ。ヤフリーなる者、『九龍の血統』とはいえジローの手に余るとも思えぬ。あやつ、カーサの名を聞き、浮き足立ったに違いない」 「あの未熟者め…」 議論を静観していた陣内が勝てるかセイに尋ねると、セイは勝てると答える。 それを聞いて陣内は安心したと言った。 「特区は香港に遺志を継ぐ都市として開発された。香港と末路を同じくすることは何としても阻止せねばならない。諸君、奴らの命脈を断つのだ。可及的速やかに」 後半に続く お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 29, 2006 01:43:50 PM
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