乳がんの手術
7月17日がお誕生日だった私、お友達、母親、兄弟、お嫁さんがそれぞれ「おめでとう!孫も生まれて幸せなお誕生日になったね。」と口を揃えるように祝ってくれた。確かに去年までの誕生日は、体調に問題のあるシニア犬を案じていたり、親の介護問題を抱えていたりと、気の晴れる間も無い日々であったが、 今年は特に大きな問題もなく 心安らかに過ごせる誕生日となって、ささやかながらも幸せを噛みしめることが出来た。しかしそれが夜になるとそんな状況にふつふつと不安が沸き上がってきて、「私の人生に何も問題のない日などあろうはずがない。こんな時こそ、自分の知らない所で悪いことが起こり始めているのでは?」と不安な気持ちががどんどん大きく膨れ上がってきた。すると、なぜか自分の手が自然と左右の胸に向かっていき、探しモノをし始め出した。程なくして 探していたしこりが 左胸に見つかった時には、軽い驚きと同時にやっぱりな~と言うような、あきらめ交じりの気持ちになった。その後はすぐさま、乳がん検診を受けられる病院を検索し、後に手術になることも念頭に入れて専門の病院を選んだ。たまたまこれが金曜日の夜だったこともあり、検査の予約は22日。私の勘違いであってくれと微かな希望を持ちながら、家族にも知らせずに検査を受けた。検査当日、最初は京都市の補助で受けられるマンモグラフィーのみを希望した。「結果は後日 郵送でお送りします。」と告げられロッカーで着替えをしていると先の看護婦さんが現れて「先生がお話があるそうです。もう一度戻って下さい」と。あ~やっぱりと心の声、実質この看護婦さんの一言が私への乳がん宣告になった。「普通は、この場で検査結果をお知らせする事は無いのですが、明らかに気になる影が写っています。続けて詳しい検査を受けることも出来ますが、どうされますか?」と先生。「よろしくお願します。」と答えて、私の乳がん治療が始まった。入院は9月23日で、手術は翌日の24日。最初に検査を受けてからは 2か月が経っている。その間に、骨への転移を調べる検査や一部の組織を取る病理検査などあらゆる検査を受けて 満を期しての手術。大事な検査だとは分かってはいても、乳がんを持ったままで過ごした2か月間は何をしていても気が晴れず、気の重い夏となった。幸い私のガンは進行の遅いもので、サイズも2cm位だろうとのことで、乳房温存手術を受けることが出来、1週間で退院。退院後もほぼ一か月半連日で通うことになる放射線治療や、5年間続くホルモン治療が待ってはいるが、考えようによっては 自分で見つけることが出来る部位のガンであったことや、乳房温存手術で済んだことなど、幸運であったと前向きにとらえて治療を続けていくしかない。病気になって初めて健康の有難さに気が付くとはよく言うけれど、本当にその通りだし、その他にも初めて気づく事が沢山ある経験だった。