カテゴリ:システム・ソフトウェア
荒井玲子さんの「UMLは手段」。 UML(unified modelling language:統一モデリング言語)についての本・・・ですが、 UMLの表記法へ説明は一切なく、 UMLを適用したプロジェクトを成功させるために必要な 組織として持つべき目的・体制・要員・プロセス・教育の視点を説明しています。 特に、UMLの研修への誤解について紙面を割いており、 「表記法」としてのUML研修や導入教育に対して、 設計方法論や場合によっては分析方法論、さらには開発プロセスについてまで 修得できるはず、という淡い期待を持ってしまう点を注意すべきことを指摘しています。 ・・・この点、ERD(Entity Relationship Diagram)やDFD (Data Flow Diagram) の導入の時と同じ議論をしているな、と思いましたが、 UMLについては、膨大なUMLの修得範囲を、プロジェクトでの役割・階層で3つに分けて整理されています。 ・資産構築技術者 :企業資産の構築にUMLを適用する技術者 抽象度の高いモデルを構築。特定のプロジェクトに非依存のフレームワークの開発。 必要なUML能力 UMLのスキルはフルスペックで、 (1)抽象度の高いモデリングセンス (2)方法論、技法の熟知 要求される能力 「創造力」 ・第一線技術者 :プロジェクトの第一線でUMLを適用する技術者 開発するシステムのモデル。プロジェクト依存のモデル。 必要なUML能力(1)抽象度の高いモデルを、プロジェクトの個別性に応用するスキル (2)システムアーキテクチャを構築するスキル 要求される能力 「実装力」 ・構築技術者 :プロジェクト資産の利用にUMLを適用する技術者 第一線技術者が用意したプロジェクト資産を利用し、組み立ててシステムを構築。 必要なUML能力(1)プロジェクト資産を理解し、利用するスキル 要求される能力 「構築力」 「資産構築技術者」「第一線技術者」「構築技術者」というのは耳慣れない言い方ですが、 現在の混乱は、企業ニーズが各々、1割・8割・1割の比率で必要だというのに対し、 実態は、0.1割・1割・8.9割であり、圧倒的に「第一線技術者」が不足していること。 しかし、そんな中で、「構築技術者」レベルが「第一線技術者」として苦労してプロジェクトを推進している、という。 企業及び組織として、上記の実態を踏まえて、必要なスキル要員の育成・教育が必要と説く。 その後、企業及び組織が、どのコアコンピタンスを持つかによって、必要なスキル類型を説明しているのがわかりやすい。 後半は、最近、荒井さんが講演会や雑誌等で展開されているITアーキテクトの育成論でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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