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「コンピュータの名著・古典100冊」の1冊。 「メディアの興亡・上巻」に引き続き・・ 読み終えて・・・・コンピュータの名著・・・といいながら、 700ページ余の大分の本書、コンピュータ導入による活字・職工の全廃という 「革命」を狂言回しにした 昭和40年代~52年に毎日新聞が新旧会社に分離するまでの新聞業界史。 コンピュータに関する記述は、感覚として100ページ余(もう少しあるのかもしれませんが)、 残りは、過去に業界首位だった毎日新聞社が経営破綻するまでのバタバタを中心に描いた新聞業界史。 読売のナベツネさんの若かりし頃からの「じじいキラー」ぶりの紹介はあるものの、 花形記者だった大森実さんが毎日新聞を放逐され、 西山事件で、記者だけでなく新聞社そのものが深い傷を残し、 経営不振のためより厳しくなった労使対立の様子や取締役会の迷走ぶりが 克明に描かれる・・・ コンピュータ史に関するところは、 日経新聞社の「アネックス」プロジェクトの構想から立ち上げ・・・そして、 最終的に、全紙面コンピュータによる紙面作りの運用になるまで。 受注先の米国IBMのプロジェクトチームが、アポロ計画への参画メンバーであり、 軍事技術の転用を図っていたことや、 発注元の日経新聞社側の経営者からプロマネである技術部門長、そして実際にシステム を使うオペレーターたち・・各々が何を考えどう行動していたかを描く。 特に、コンピュータのオペレーターの準備・訓練の姿が・・・ オペレーターの候補生が、英文だけの分厚い仕様書を、辞書片手に 現代の「解体新書」と思いつつ訳出し、コンピュータを使ってレイアウトを決め、 記事や見出しを描いていくところが印象に残りました。 ベンダーの立場から見ると、 この時、IBMさんは、日経新聞社とともに「アネックス」プロジェクトを推進する一方、 日経には秘密裡に、朝日新聞社と「ネルソン」プロジェクトを推進していたこと。 両社へ話せず、数年間、並行営業かけるあたり・・営業のIBMさんの面目躍如ですね。 でも、膨大な開発予算考えると、3社合同でのトータルコスト削減は、日経・朝日ともに 必要だったのだと思いました。 後日談としては、 3社共同開発のシステムの売り込みの結果、IBMが中日新聞・北海道新聞という ブロック新聞の代表を掌中に収める一方、 後発の国産ベンダーである富士通が、毎日新聞・読売新聞を手がけ、その他の地方紙を 巡って営業合戦が始まったところで終わります。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.02.23 23:54:40
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