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システムエンジニアの晴耕雨読

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2009.01.22
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カテゴリ:書評・読書メモ

最底辺の10億人

ポール・コリアー「最底辺の10億人 最も貧しい国々のために本当になすべきことは何か?」

訳は、中谷和男


 かつて世界は、10億人の豊かな人々と50億人の貧しい人々に分かれていた。

 ところが、直近の40年間が過ぎたいま・・サブプライム問題までは未曾有の好景気の中、

 途上国が次々成長を遂げた結果、

 豊かな人々と豊かになりつつある人々が50億人いる一方、

 底辺にある国々の10億人は崩壊しつつある。


 赤貧状態にある国々には、成長を阻害する大きな罠が存在する。

 ところが、これらの国々に対する先進国の対応は、左・右両派の立場によって正反対に分かれている。

 右派の論理は、開発の罠なるものは存在せず、途上国が良い政策を採用しさえすれば成長するはずだ、

 という一方、左派の論理は、グローバル資本主義が本来的に貧困の罠を生み出している、という。
 

 本書では、途上国の成長を阻害する4つの罠・・
 
  紛争の罠、

  天然資源の罠、

  劣悪な隣国に囲まれている内陸国の罠、

  小国におけるガバナンス(立法、司法、行政に及ぶ広義の統治)の罠

 が存在すること。

 これらの罠を回避するすべをもたないまま、

 先進国からのさまざまな多額な援助は、有効に機能しない。

 たとえば、2004年のチャドの調査結果では、

 現地の診療所に対して資金を100渡そうとしたところ、実際に診療所に届いたのは1のみびっくり
 
 残りの99%は、途中で行方不明になった・・・腐敗がひどすぎて援助が意味をなさない。

 それどころか、場合によっては途上国の国内産業を回復不能なまでに疲弊させることもあるし、

 途上国の人々を圧制の下で生きることをしいることにもなる。

 先進国の人々の善意は、そのままお金を渡すだけでは役に立たない。



 ではどうすればよいのか?

 ・・お金だけではなく、人も合わせて支援する必要なプロジェクトを責任もって

 立ち上げ、プロジェクトを通して、途上国の人々を育て、

 プロジェクトの成果を提供することが必要になります。 
 
 そして、4つの罠を排除するためには、プロジェクトのメンバーの努力だけでなく、

 独裁体制を無力化させるような先進国側の後方支援や時には直接的な介入も必要と

 なることがわかります。


 軍事介入・・には、とっても否定的な印象があるのですが、

 18名のアメリカ軍兵士が亡くなったソマリア介入で懲りたアメリカが極端に介入を控えた結果、

 ルワンダの内戦で50万人が亡くなった。だから、必要な介入ある、という

 コリアーさんの主張に首肯するのでした。




 ・内戦は低所得の国のほうがずっと起こりやすい

  その国の所得が半減すれば、戦争の危険は2倍になる。

 ・内戦が始まった時の国の所得が低ければ低いほど、
  内戦は調達する。

 ・内戦によって国の成長は、年間2.3%低下する。
  つまり、7年間戦争を続けると、国は15%貧しくなる。

 
 ・オランダ病・・30年前オランダ領の北海で天然ガスが発見された結果、
  
  オランダ通貨の為替レートが急騰し、輸出産業が競争力を大きく失った。

  資源を得たかわり、産業振興や技術革新のチャンスを失った。
  

 ・失敗国家・・

  アンゴラ、中央アフリカ共和国、ハイチ、リベリア、スーダン、ソロモン諸島、
  ソマリア、ジンバブエ

 ・失敗国家のコストは、1カ国あたり、1000億ドルに達する。

 ・「長期にわたる経済的失敗の時期は、自分たちの社会への自身を深く蝕んだ。
   さらに失敗が続くという予感から、機転の利く人たちは国を去って行く。」  

 ・改革戦略を策定し実行するためには、
  教育を受けた批判精神をもつ大衆が必要となる。

  ところが、失敗国家で教育を受けた人間の多くは、その国を立て直すよりも
  そのスキルを持って他国へ出て行ってしまう。
 
 ・「成長は万能薬ではないが、
   成長がなければすべてが台無しになる。」
 




<目次>
はじめに

第一部 なにが本当の問題なのか?
 第一章 脱落し崩壊する最底辺の一〇億人の国

第二部 これらの国を捕らえる数々の罠
 第二章 紛争の罠
 第三章 天然資源の罠
 第四章 内陸国の罠
 第五章 小国における悪いガバナンスの罠

第三部 グローバル化がもたらしたもの
 第六章 世界経済の中で好機を逸する最貧国

第四部 われわれのとるべき手段
 第七章 救済のための援助となっているのか?
 第八章 軍事介入
 第九章 法と憲章
 第一〇章 周縁化を逆転させる貿易政策

第五部 最底辺の一〇億人の国にとっての戦い
 第一一章 われわれの行動の指針






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最終更新日  2009.01.22 21:48:28
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