カテゴリ:哲学・思想
高橋昌一郎「ゲーデルの哲学」(講談社現代新書)
講談社 1999年刊 ≪本書の主題は、「ゲ―デルの哲学」である。 不完全性定理とは何か? この定理と理性の限界は、どのような関係にあるのか? ゲ―デル自身は、不完全性定理から、いかなる哲学的帰結を導いたのか? 彼の哲学と人間性は、どのように関連しているのか? 彼の「神の存在論的証明」は、何を意味するのか?≫ ゲ―デルの業績・・ ≪1929年、23歳のゲ―デルは、ウィーン大学博士論文で「完全性定理」を証明した。 この定理は、古典論理の完全性を表したもので、アリストテレスの三段論法に始まる 推論規制が完全にシステム化されることを示している。 つまり、ゲ―デルは、完全性定理によって古典論理学を完成させたのであり、 この時点でアリストテレスと肩を並べたと言っても、過言ではない。≫ ≪その翌年、24歳のゲ―デルは、「不完全性定理」を証明した。 この定理は、古典論理とは違って、自然数論を完全にシステム化できないことを 表している。一般に、有意味な情報を生み出す体系は自然数論を含むことから、 不完全性定理は、いかなる有意味な体系が完全にシステム化できないという驚異的な 事実を示したことになる。≫ 自己言及のパラドックス・・「私は、嘘つきである」「この文は偽である」 相互言及のパラドックス・・ ソクラテス プラトンの発言は真である プラトン ソクラテスの発言は偽である 第一不完全性定理 システムSが正常であるとき、Sは不完全である。 第二不完全性定理 システムSが正常であるとき、Sは自己の無矛盾性を証明できない。 ≪実は、古代ギリシャ時代以来の嘘つきのパラドックスを根本的に解決したのも、 不完全性定理なのである。 ゲ―デルは、「認証可能性」はシステム内で定義できるが、 「真理性」はシステム内で定義しないことに気付いていた。≫ ≪あるシステムが、証明可能性を超えた真理性を判断するためには、 それよりも上位レベルのシステムに「飛び出す」必要があるのである。≫ 晩年のゲ―デル・・ アインシュタインと二人、毎日のように散歩して議論を交わす光景が見られた。 1955年4月18日、アインシュタインの死・・倒れて5日間、医師の手術の全てを 断って急逝する。 1957年2月8日、ゲ―デルの天才を認めたフォン・ノイマンの53歳で ガンにより急逝する。 無二の友人の相次ぐ死・・以降、長きにわたった天才の孤独な晩年が描かれていました 。 <目次> 1 不完全性定理のイメージ 2 完全性定理と不完全性定理 3 不完全性定理の哲学的帰結 4 ゲーデルの神の存在論 5 不完全性定理と理性の限界
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最終更新日
2011.05.06 08:10:35
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