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Dec 18, 2006
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つい最近、弾きたてほやほやの曲。もちろん以前からCDは持っていたのだが、正直言ってあまり聴いたことがなかった(第2楽章を聴いたことはあったが)。本気で聴き始めるようになったのは演奏会のエキストラの話をもらってからだった。しかし、それがきっかけでプロの演奏も聴きに行って、さらにこの曲が好きになった。そして今では、すっかりはまっている。何度も聴いて気に入る場所がたくさん見つかってくると全曲通して聴いても短く感じるものだ。やっぱり私は曲に関して食わず嫌いのようなところがあるのかもしれない。逆に言えば、演奏して初めて良さがわかるタイプなのかな...。

この曲は、第9番初演から8年後の1953年、本人がさんざん苦しめられてきたスターリンが死んだ直後に書かれた作品である。それまでの交響曲作品は、彼が作曲家として生き残っていくための表の姿を書いたものと言えそうだが(第4番を初演せずに引っ込めたり、第9番で祝勝ムードを強烈におちょくったことしているとはいえ)、この交響曲には自分のイニシャルを埋め込んだり、スターリンの恐ろしさやその下での民衆の感情を描いてみたりと、かなりパーソナルな心情が吐露されているような気がする。

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第1楽章:
チェロとコントラバスによる上行音型の問いかけるような音型(ミファ#ソ・レ#ファ#ラ)から静かにスタートする。それから途中にヘミオラ(3拍子の中に2拍子が入っている音型)を織り込みつつお話の始まり。低い声で表情を変えずにおじいさんが話しているかのような感じで、昔はなあ...こんなことがあってな...」という印象。この「...」に当たる部分は全員が休符で静かになる。

しばらくしてクラリネットによる第1主題。ホ短調のクラリネットと言えば、チャイコフスキーの交響曲第5番の冒頭が思い浮かぶが、それにも少しつながるような色を持っている。ここだけ聴けばショスタコーヴィチじゃない感じを受けるかも。そして、同じメロディをヴァイオリンが受け継ぐと、ここから伴奏に変わった和音が登場し始めてショスタコーヴィチ・ワールドの始まりである。そこからひとしきり盛り上がり、ホルンが吠える感じで突出する場所が何とも言えない感じである。

第2主題はテンポを速めてフルートが演奏する。ここは3拍子感がとてもあるのだが、伴奏にはヘミオラが仕込まれていてこれまた一筋縄ではいかない。しばらくしてテンポが遅くなるとここから先はクライマックスへとひたすら向かっていく。終わりの見えない上り坂の始まりである。音はどんどん高くなり、音量も大きくなり、そしてさらなるテンションを要求してくる。「キザミ&クレッシェンド!」が出てきたり、ひたすら同じ8分音符で誰かが刻んでいるという出口の見えないように書かれていたりするのだが、このあたりは血圧上がりまくり&酸欠状態である。演奏会ではちょうどドラがすぐ近くで鳴っていたので、さらに恐ろしかった。きっと当時の恐怖の世界を表したものなのだろうと思う。クライマックスは普通のきれいな和音なのに、その周りの表現が強烈すぎてそうきこえないところがまたショスタコーヴィチの世界なのだろうか。

この楽章の最後の方はまずホ長調で第2主題を回想。といっても、これはささやかな雪解けのようでしかない。弦楽器の弱音で演奏されるメロディは、何も感情の移入を許さないかのように、凍りつくような寒さを持っている。最後がピッコロの最弱音で息絶えるように終わるところが恐ろしい。

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第2楽章:
「スターリンの肖像」とも言われる荒れ狂う嵐のような楽章。いきなり激しい調子の弦楽器のリズムに乗って、木管楽器が第1主題を演奏する(なんで変ロ短調なんていう調整を選んだのだろか?)。さらに弦楽器には恐ろしい場所が。チャッチャカというリズムをひたすら繰り返す中にいきなり変化球の場所があり、ずっこけてしまう(こけたら復帰不可能)。石ころだらけの道を全力で走らされているかのようだ。

その後すぐに小太鼓に呼び起こされるように金管のファンファーレ。フレーズの最後にクレッシェンドしている音はまさに締め上げられるかのよう。半音階で金管楽器が振りかぶって大太鼓がリリースした後に残った弦楽器のトレモロ、そしてティンパニの一撃を合図に暴風が吹きすさんでいるような弦楽合奏。急速半音階進行の場所は聴くだけでは何調なのかさっぱりわからない。そのゾーンを抜けると第1主題の拡大形が金管によって強く演奏され、最後はすべてを吹き飛ばすような終わり方である。これだけの内容でわずか演奏時間4分ほど。中身が濃すぎて演奏は大変だった。本気でテンションを上げて表現するにはこの長さが限界だと言うことだろう。この楽章は本当に酸欠になってしまう。

とはいえ、単なる無茶苦茶な音楽ではない。よくスコアを読んでいくと、第1楽章の要素(音の進行のしかたなど)がちゃんと随所に埋め込まれているのだ。必死に弾くだけになってしまうとついつい見失ってしまいがちだが、ショスタコーヴィチ本人は「これでもか!」などと思いながらちゃんと考えて書いているのだ。やっぱり作曲家は頭がいいのだと実感。

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第3楽章:
基本的にほとんど3拍子で、静かな調子の部分が多い。最初は普通のハ短調でスタートするも、単純にはしないのがショスタコーヴィチ。この後の第2主題に自らのイニシャルを音型化したもの(D-Es-C-Hつまりレミ♭ドシ/ドミトリー・ショスタコーヴィチの最初の方)が織り込まれており、これが第4楽章にも出てくる。この手法はバッハ(B-A-C-H)にもあり有名だが、ショスタコーヴィチのこれもなかなかうまく織り込まれている。

途中にホルンのソロが出てくるのだが、この音型(E-A-E-D-A)がまたイニシャルで、ショスタコーヴィチが好きだった人のそれらしい。この楽章の中に10回以上繰り返される。よほど好きだったのか、思いが強いのか...。ここを抜けるとイングリッシュホルンを皮切りにスピードアップしていく。第2主題がどんどんと巨大な化け物に変化していくかのようだ。低弦が不気味な刻みをしている上でどんどんとクレッシェンドを繰り返してクライマックスでイニシャルが何度も登場、イニシャル+打楽器の組み合わせで5拍子になっている場所もあり、指揮者は大変そうだ。

クライマックスから後は曲のテンションがどんどん下がっていく。ホルンソロや第1主題の断片、低弦で演奏されるイニシャルと続き、最後は空虚な和音の上にピッコロとフルートによるイニシャルが出て終わる。

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第4楽章:
最初は第3楽章からの流れを引っ張るような音楽。ロ短調のオーボエソロはとても悲しい表情。この後もしばらく木管のソロによるとぎれとぎれの独り言が続いていく。そこを抜けるといきなりホ長調でヴァイオリンによる急速な第1主題が登場する。朝の光が差し込んできたかのようだ。やっとうれしいことがありそうだという予感を思わせる。

第2主題はロシアの力強い踊りを思わせる。ショスタコーヴィチによくある音型である。しかし、やはりそれで終わらないのがショスタコーヴィチ、第2楽章の主題に由来するリズムがさりげなく登場し、それがどんどん大きくなっていく。このあたり、いろいろなところで打楽器が大活躍、真後ろで演奏されるときは振動を体で感じることができる。これぞライブの素晴らしさだと思ってしまう。

ついに表に出てきた第2楽章の凶暴な主題(行進の小太鼓付きがいかにもである)が連発されるその直後にイニシャルが登場し、そこで打楽器が大爆発。これが静まった瞬間にホ長調でチェロ、ヴァイオリンの順に序奏の音型が登場。ここは最初のオーボエと違って幅広いものを感じさせる。それが静まった後でファゴットから軽い行進のような部分がスタート、その上に第1主題が乗っかり、最後のクライマックスへと向かう。終結部に入る前は早く行きたいのを抑えるかのようにイニシャルがまたまた登場(このあたりはもう狂ったように連発)。それを振り切って最後のクライマックスを築き、派手に明るく終わる(この陰で実は聴き取りづらいのだがティンパニの連打もイニシャルになっている)。

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これまでにショスタコーヴィチの交響曲と言えば、やっぱり第5番を定番として聴いてきたのだが、後期の交響曲も実はなかなか面白く聴けるものだなと感じた。深く考え込むような部分が多いためにわかりづらかったりする部分もあるのだが、それでもしっかり聴いてみるとなかなかいいものである。他の後期の交響曲も見直してみようかなと最近思う。





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Last updated  Dec 18, 2006 10:29:03 PM
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