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Feb 16, 2007
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いよいよ本番が近づいてきた。この曲は今までにいくら望んでも演奏できなかった曲、出演できそうなときには別の人が先に入ったり、頼まれたときに限って用事が重なっていたりで、どんなに弾きたいと思っても出会えなかった曲なのだ。やっと自分の手で本番を演奏できる。

この曲はチャイコフスキーにとって最後の交響曲、しかも死の直前に初演されたものである。彼の死因には謎が多いというのは有名な話だが、「悲愴」というタイトルにも謎が多いようだ。「悲愴」のもとになる単語の意味は、日本語での悲愴とは違って、むしろ「情熱的」というニュアンスが込められていると言われる(英語だと「悲しみ」という意味が最初に出てくる。言葉は本当に難しい...)。彼の謎の急死のイメージと曲のイメージが相まって広まったと言えるのかもしれないが、とにかく真相はよくわからない。

この曲の調性はロ短調、私はこれがチャイコフスキーの「勝負調」だと思っている。チャイコフスキーにはこの調性を直接使うもののみならず、随所に見え隠れする作品がけっこうある。この調を前面に出しているもので最も有名なのは、「白鳥の湖」「ロメオとジュリエット」などがそうだ。「悲愴」が劇的に聴こえる一つの要素であることは間違いないだろう。

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第1楽章:
冒頭はいきなりロ短調で始まるわけではなく、別の調(ホ短調)から入ってきて、しばらくしてから完全な形で姿を現す。このようにメインになる調の和音を出さないというのは第4楽章でも同じ手法で、ロマン派以降で多用される「じらし戦法」ともいうべきものである。

第1主題は、初めて聴いたときにヴァイオリンなのかと思ったら、ヴィオラの高い音だったことは後で知った。この山型の主題(頂点に重心が来る)もこの曲の随所に見られるアイデアだ。しばらくして第2主題、ニ長調の平和な感じのする音楽。良き思い出を回想するかのようだ。ここは演奏してみると奥が深いなと思う。許される範囲内で目一杯時間を操作し、音色を作り上げる、そんな楽しみがこの旋律にはある。盛り上がって煌びやかな雰囲気を作った後でそれがおさまり、最後はp(ピアノ)6つ!ファゴットでそんな音は出ないぞという訳で、バスクラリネットで代用されることが多いようだ。ここは見えなくなるまで手を振る別れのようだ。長調でありながら悲しい。

すると、突然最弱音を切り裂くように激しい音楽が展開される。最初にヴィオラで演奏された旋律の断片がどんどん展開されていく。金管楽器がほえまくり、木管楽器と弦楽器が風の音のように激しく動き回る世界は圧巻である(脱水機に放り込まれたらこんな感じかな?)。コロコロと調を変え、またダイナミクスもどんどん変わっていく。何かに追われて逃げ切ったかのようでいてまたすぐに追いついてくるかのようなシーンもある。そしてクライマックスではトロンボーンによる最後の審判のようなモチーフ。それが静まった後最後にやってくる一撃と静かなピチカート。何だか幻想交響曲の断頭台とちょっと似ているかも(それよりははるかにスケールがでかい感じがするが)。

そして、それがおさまると、平和な音楽が今度はロ長調で出てくる。これもチャイコフスキーお得意のパターンである。いろいろあったけれど、すべてが浄化されていくような音楽の流れ。低減のピチカートにトランペットの弱音が重なる部分はぞくっとする。最後は平和な雰囲気のまま終わる。これは天国を表しているのだろうか。死んだ後だという人もいれば、まだ希望があるのだという人もいる。解釈が分かれるところなのだろうな。すべてが崩れてもまだ「光が差しているのかも知れない」と私は思ったりするが、どうなのだろうか。

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第2楽章は5拍子でありながら、ワルツ的な舞曲。変な拍子にきこえないところがどう考えても謎である。チャイコフスキーってやっぱりすごいと思う。基本的にはニ長調で進んでいく。この楽章にある第1主題と中間部主題はどちらも旋律線は本当に単純だが、単純だと誰も思わない。むしろ弾く立場になって初めて「え?こんなに単純なのか?」と思ってしまうくらいだ。しかし、シンプルなものほど難しいのは世の常(中華料理のチャーハンと同じで)、これもご多分に漏れずそうだ。

中間部はロ短調の要素が出てくる。以前ある指揮者に「ロ短調なのにティンパニはずっとここはレの音で叩いているんだけど、なぜかわかる?」と聞かれたことがある。それはニ長調の要素が入ってくるからだということでまあ正解だとのことだった。それはさておき、このあたりは本当にうまくできているなと思ってしまう。シンプルなだけに難しいのは弓の上げ下げをどっちで始めるのかということで、かなり悩んだ。せつない雰囲気をどうやって出すのかは、いろいろ試してみないとわからないものだ。5分ちょっとの楽章だが、本当に奥が深い。

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第3楽章:
最初に出てきた主要な旋律が楽器を変えて何度か出てくるという、つくりとしてはあまり複雑ではない。中間部で木管楽器が演奏するところでは少しおどけた感じになるし、最後の方で金管楽器が演奏するところでは豪快な感じがする。ここで金管がブリブリ鳴っていると弾いていて鳥肌ものである。「音は空気が揺れて出るものである」ことを実感する。

いかに重厚でありながらもたもたせずに演奏しきれるかが問題である。ロシアではこういう場所を「重戦車」だと例えるらしい。最後のティンパニによる「ダダダダン!」という締めは、やはり「運命」を表しているのだろうか。他の楽章と不釣り合いなほどバカ騒ぎっぽい音楽にきこえるだけに次の楽章との落差が非常に大きくなっているのだが、これは「重戦車が通った後に何も残らない状態」なのかもしれないときいたら、恐ろしくなる。

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第4楽章:
この音楽は、本当に泣ける。冒頭の旋律は、1stと2ndという2つのヴァイオリンパートが2つの旋律の間を行ったり来たりするという変わった書き方になっている。理由はよくわからないが、ステレオ効果なのだろうか。本当に「泣く」ような始まり方だ。後でこの旋律が出てくるときには低音からあふれ出てくるような音型に導かれて出てくるのでますます「泣き」の感じが激しくなってくる。

しかし、本当に泣けてくるのは、そういった短調でいかにも泣いている感じの場所ではなく、自分にとっては中間に出てくるニ長調の部分だ。ホルンのリズムに導かれて弦楽器がゆったりとした旋律を演奏する。ここは「優しく、そして慎み深く」と書かれている。これは祈りの世界なのだろうなと思う。このニ長調で何かを求めるように上昇していく音型は「もっと生きたい。お願いだから!!」と言っているように感じる。これが何度か繰り返されてニ長調の世界が崩れてテンションが最高潮に達すると一気にその世界が崩れていく。気持ちが高まっても祈りは通じずに最後は泣き崩れてしまうような感じに思えてしまう。

その後は「泣き」の世界が続く。弦楽器はどんどんリズムの単位が細かくなって咳き込み、さらにトランペットのクレッシェンドは張り裂けんばかりに叫ぶ。冒頭の「泣き」の旋律を何度も繰り返すが、それはどんどん力を失っていき、ドラの一発が運命を決めてしまう。そして、トロンボーンとテューバのコラール。コントラバスが3連符を基本とした音型とピチカートで最後はすべてが消えてなくなるように終わっていく。心臓が止まっていくかのように...。

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この曲は震災直後に狂ったように聴き続けたことをよく覚えている(あといつも聴いていたのがマーラーの交響曲第9番)。なぜだかわからないのだが、これらの曲を聴いていると落ち着いたものだ。よく考えてみると、落ち込んだときには徹底的に落ち込みそうな音楽を聴いてしまうのが自分の癖であるように思う。もちろん、そういうときにしか聴かないというわけではないのだが。

以前もこの曲について書いたのだが、部分的には演奏してみて自分の中で解釈が変わった場所もある。やってみていろいろと感じてそうなっていく。やっぱり演奏は生きているのだと思う。この曲のライブの響きをしっかり出せるように、今できる自分のすべてを出し切れる演奏にしたいと思う。

実はまたこの曲を後日演奏することが決まった(もちろん別のオケ)。何年も出会えなかったのに一度出会うとこんなものだと思うのだが、演奏するメンバーはまったく違う。今回やれることは、次回にはできない。いや、二度とできない。今回の大切なメンバーと共に素晴らしい演奏をできたらと思う。





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Last updated  Feb 16, 2007 09:26:11 PM
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