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May 30, 2007
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この曲は、ゲーテの戯曲「エグモント」のために書かれた劇付随音楽の序曲である。エグモントは実在したオランダの英雄とされた人物である。物語は、スペインの圧政に苦しむ16世紀のオランダが舞台。民衆たちを救おうと独立運動の指導者としてエグモントは登場するが、捕らえられて死刑を宣告されてしまう。彼の愛人クレートヒェンは彼を救おうとするも、できずに自殺してしまう。エグモントが処刑される直前、クレートヒェンの幻影が彼の前に現れ、彼の勇気や正義を祝福し、彼は敢然と死についていく。

ベートーヴェンは、「英雄」でナポレオンをモデルに描いたが、その後のナポレオンの行動に怒りまくったという話は有名だが、ベートーヴェンはこの題材に理想の「英雄」像を描こうとしたのかなという気もする。彼にとっては「苦難に立ち向かう悲劇のヒーロー」こそ描きたいものだったように思う。この序曲は、ずっと悲劇の要素が流れ続けて、最後に「勝利への祝福」がドラマチックに登場するという、物語の筋を凝縮したようなつくりになっているように思う。

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冒頭は全員で「ファ」の音をデクレッシェンドしてのばす。音が無くなったところで、弦楽器による重厚な動機が登場する(以前、この曲の練習でトランペットが失敗して「ぷははは...」という音になり、笑いが止まらず弦楽器がみんな弾けなくなったことがある)。序奏の部分では、表に裏にこの動機が使われている。すぐその後で木管楽器が小さい音で登場、それが盛り上がって今度は全員フォルティシモで「ファ」の音を決然とのばす。この2回の「ファ」の対比は「?」と「!」という感じである。

その直後、変ニ長調の優しい響きになるが、それも長続きせずだんだんとヘ短調を匂わせる響きへと落ち着いていき、一瞬の空白の後弧を描くような動機(これは主題の一部)がヘミオラ(この曲は3拍子だが、この部分は知らずに聴けば2拍子にきこえる)で登場、そこから主題が続けて登場する(この主題は3拍目から始まるのだが、知らなければちゃんと弾けない。また、動機を何回繰り返したのかわからなくなって字余りや字足らずの人が初期の練習では続出する)。

主題の後にピアノから息の長いクレッシェンドがあるのだが、そこでは「運命」の動機が使われている。やはりベートーヴェンはこの動機を劇的に盛り上げるための勝負所で使っているということなのだろうか。盛り上がった後、曲は変イ長調になり、堂々とした音楽になる。エグモントが快進撃を続けているという感じなのだろうか。木管楽器で少し遠い調の響きが表れるのだが、それが愛人を表しているのかなと思ったりもする。

その後、小さい音を中心にしばらく音楽は展開されるが、弦楽器がひたすら刻んでいるところはやはりベートーヴェンらしい。その上で木管楽器が少しのんびりした調子で流れるが、いきなりそれを裂くようなリズムがときどき登場する。これは序奏で出てきた要素が使われている。木管楽器の旋律が短調にころっと変わると、またヘ短調の主題が戻ってくる。しばらくは繰り返しだが、出口はいきなり変ニ長調に変わって、また先ほどの堂々とした音楽が繰り広げられる。そして、ホルンが序奏の動機を合図に場面が変わり、弦楽器が「ド~ソッ!」と切り裂くような音を出して一瞬音楽が止まる。これはどちらかが死んでしまったことをイメージさせる。

その後、木管楽器の夜明けの霧を表すような音に続いて、ヘ長調の前向きな音楽。弦楽器が急速な旋律を弾き(もちろん刻みもやっている)、それが成長したところで金管楽器やティンパニも登場し、勝利を表す音楽になる。ここから先は最後までとにかく「勝利への祝福」という一言に凝縮される音楽となる。

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この曲も5,6回は演奏していると思う。スコアはきわめてシンプルに書かれているのだが、そこからあれだけのドラマが出てくるというのはすごい。ただ、やはりそれをちゃんとやろうと思うと、演奏家の助けが非常に大事だなと痛感するのがこの曲。シンプルなだけに、適当にやるとかなりショボい(貧弱な)音になってしまう。それを表現するだけの確かなウデにプラス、身を削るようなテンションの高さが必要である。この両者が揃わないと、ただの汚い音になってしまうか、エグモントが「まろは...で、おじゃる」みたいになってしまう。長くアマチュアオケをやっていると、曲によってお約束の失敗エピソードが出てくるのだが、この曲はその宝庫であるように思う。

と、それはさておき、この曲も何度やっても難しいなと思う。自分自身が経験を積めば積むほど毎回いろいろなことに気づかされる。前にはわからなかったことが突然わかったりということもしばしばである。ベートーヴェンの曲はやはり深い...。





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Last updated  May 30, 2007 12:16:02 PM
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