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Nov 17, 2007
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リヒャルト・シュトラウスは、管弦楽のための大曲を12曲残しているが、この曲はその最後を飾るものである。「交響曲」という名前がついてはいるが、伝統的な交響曲の形式とは違うもので、どちらかといえば標題音楽として位置づけられる。しかし、その構成などは見事なもので、有機的な動機の扱い方などを見ていると、交響曲だと名乗った理由もわかるような気がする。

この曲が作曲されたのは1915年だが、構想はもっと前からあったようだ。リヒャルト・シュトラウスはベルリン国立歌劇場の音楽監督を務めていたこともあり、指揮活動もかなり多忙だったが、その中でこのような精緻な作品を残すことができたというのは見事だと思う。他にオペラもたくさん作っていたわけだし、すごい。

この曲のストーリーは、アルプスに登山する人が見て感じたことをつづったものだと思われる。場面としては、「夜・日の出」「登山」「頂上」「下山」「日没・夜」という、大きく5つに分けることができる。

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「夜・日の出」
最初は、変ロ短調の音階で下降していく音型で始まるが、これが「夜の動機」である。その後すぐに金管楽器が弱音「山の動機」を演奏する。その後、だんだんとオーケストラの響きに動きが加えられていき、「山の動機」も発音のはっきりした楽器によって演奏されていくようになっていき、小太鼓や金管楽器が加わった頂点で「太陽の動機」が登場する。この場面は日の出に向かって山の姿が現れていき、ついに日の出という場面を見事に表しているように思う。ホルンの音がやっぱりアルプスの山という感じを与える。

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「登山」
低弦からごきげんな旋律が登場。登山者のうきうきした気持ちを表しているようだ。この旋律はサイズを変えたりしながらいろいろな場面で登場する。この旋律が盛り上がったところでホルンとトロンボーンが演奏するのが「岩の動機」なのだが、これは「ウルトラセブン」の歌だと初めてきいたときに思った。その後ろで(実際は舞台裏で演奏される)出てくる狩りの角笛も見事に描かれている。

それから登山者は森に入る。木々のざわめき、光の少ない場所に入ってきた感じなど、音楽を聴いていくだけでもそういった情景が目に浮かんでくるようだ。光の変化の具合が転調や楽器の扱いによって、美しく描かれている。変イ長調で伸びやかに歌われる部分が個人的には好きだ。それから登山者は滝の横を通っていく。この場面ではハープやチェレスタの音が水しぶきを表している。さらに登山者は花咲く草原を抜け(ここでも登山者のうきうきしている旋律が登場する)、高原の牧場を通っていく。ここでは、カウベルが使われていたり、アルペンホルン風の旋律が何度も出てきたりと、何ともわかりやすい。

その後、登山者は道にも迷ってしまう。ちょっと慌てるような感じがフーガや調性などで表されていて面白い。それでも登山者は進んでいき、氷河が姿を現す。しかし、その後また登山者は頂上を前にして危険な目にも遭ってしまうが、それでも頂上を目指していく。

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「頂上」
登山者はいよいよ頂上に到着する。この部分のクライマックスは堂々としたハ長調、これも場面を考えて選ばれたものであるように思う。「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭と同じで、スケールの大きなものに対する荘厳な感覚というのは、この調で語られているように思える。この場面ではゆったりと、これまでに登場した動機がいろいろと組み合わされて登場する。

ところが、その後山の天気は変わってしまう。霧が山を覆い始め、太陽の動機がかすれていくように表現され、これで光が薄れていく様子が表現されているように思われる。旋律もだんだん悲しげなものになっていき、登山者の不安な気持ちも表れてくる。

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「下山」
そして、嵐の前の静けさが主に木管楽器の旋律によって表され、ティンパニを合図に雷雨が始まる。そして弦楽器のピチカートによる雨音がどんどん増えていき、ウィンドマシンによる風、サンダーマシンやティンパニによる雷。弦楽器の下降音型連発が激しい雨を見事に表している。

登山者が必死で山を下りていく様子が、うきうきしている旋律の反行型などで表されていて、これは非常に緻密に作られていることが感じられている。時折、遠くの空が明るくなるかのような長調の雰囲気も作られるが、すぐにそれは雷雨によって打ち消されてしまう。しかし、その後ピチカートの密度は粗くなっていき、雷が遠くに行って雨が止んでいく。
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「日没・夜」
雨が止むと、登山者は晴れた夕空に大きな夕日を見る。太陽の動機が黄昏を示すような調で登場、黒い雲も少しあるのだろうか、そういった雰囲気の調への展開も見られる。この日没は本当に荘厳な雰囲気である。ロ長調をここに持ってくるというのがやはりツァラトゥストラと同じ構成になっているのが面白いところ。主音を隣に持つ一番遠い関係の調を持ってくることで見事な配置になっている。

そして、日没が終わるとオルガンが登場して無事下山したことの喜びを味わうような旋律が登場する。ここで使われているのは登山開始の時にうきうきしたことを示す旋律と同じ変ホ長調、それがゆったりとした雰囲気の中で使われているところがうまくできているなと思う。このセクションの中でもヴァイオリンによって息の長い旋律が歌われる場所が、全曲の中で一番好きな場所である。

そして、最後は冒頭の夜を示す旋律や山の動機が表れ、登山者を示す旋律が明滅しながら最後は静かに曲を閉じる。見事な音の絵であるとも言えるし、登山者を追った小さなドキュメント風の日記とも言えそうだ。

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この曲は、もちろん演奏したことはない。何しろありとあらゆる楽器を贅沢に使っているために、アマチュアオケだとまず予算上の問題にぶち当たってしまう。チェレスタとハープとカウベルを用意しなければいけないのは他にマーラーの交響曲第6番ぐらいなものだが、この曲にはさらにウィンドマシン(これは布状のものをこすって音を出すような感じだろうか)やサンダーマシン(といっても鉄板を揺すって「バリバリ」といわせるものだが)、そしてパイプオルガンまで必要である。演奏会場も限られるという何とも贅沢な作品なのだ。もちろん、技術的な問題にもぶつかってしまう。それに、指揮者はやっぱりスゴイ人でないと厳しいかもと思う。音の交通整理だけでも大変だろう。いろいろな条件を揃えないとできない曲なのだ。アマチュアオケでやったら破産しそう...。

この曲は、私がCDを初めて買った曲でもある。CDが登場したのは私が高校生の頃で、それまではLPだった。この曲を選んだ理由は、祖父が「オーケストラを始めたんだってな」と貸してくれた思い出のLPであり、それが裏表で続けて演奏されている曲だと知ったからである。LPがCDに変わったことの一番の喜びは「裏返さずに最後まで聴ける」ということで、それが実体験できるのがうれしかったのだ。CDはハイティンク指揮/アムステルダムコンセルトヘボウのもの。実は、このCDのジャケットにあった山の絵が気に入って買ったものだが、演奏もよかった。もちろん、今も自宅のCDラックの大事な位置を占めている。

この曲を初めてきいたのは高校1年生、楽器を始めてしばらくのときだが、「クラシックにこんな曲があったのか」とか「オーケストラでここまでいろいろな音が出せるのか」「ここまで景色が浮かぶように音楽ってできるものなのか」ととにかく驚いたことを覚えている。この曲は、一生のうちに一度はやってみたい、まさに私にとっての「登ってみたいアルプス」なのかもしれない。





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Last updated  Nov 17, 2007 10:03:25 PM
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