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Nov 27, 2007
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これまでに名を残してきた作曲家は、ピアノ五重奏というジャンルを1曲しか残していないことが多い。ブラームスに、シューマン、ドヴォルザーク、フランク、ショスタコーヴィチなどが作品を残しているが、2曲書いたのはフォーレぐらいで、あとは1曲である。昔読んだ本によれば、作曲家にとっては魅力的なジャンルだと書いてあったと思うが、弦楽四重奏にピアノをプラスするというのはかなり難しい作業のようだ。弦楽四重奏だけでも曲は完成するのに、そこへさらに音符をプラスしていくのだから、重複の具合をうまく考えなければならないだろうし、きっと難しいのだろう。

この曲は1868年に初演されたが、実際の作曲はそこからさらに6年遡る。時間がかかったのは、ブラームスの自己批判によるものらしい。最初は弦楽五重奏曲としてこの曲を作曲して完成させたものの、その響きに満足せずに破棄し、その後2台のピアノソナタとして改作したものの、これも気に入らず、さらに改編を進めて現存する形になった。ブラームスは交響曲第1番でも同様の改編を行っており、完成に時間がかかっている。しかし、時間をかけただけの作品を生み出しているところはやはりすごい。

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第1楽章:
この曲もヘ短調だが、こちらは冬の冷ややかに張り詰めた空気を感じる。そこから旋律が生まれて、いきなり激しい調子で第1主題の登場。キラキラとしたピアノの音や、和音の色づけ具合も絶妙である。同じ短調であっても後期の作品とは違って、パワーがみなぎっているところがこの曲の魅力。ポップな要素が入った第2主題も不思議な感じで魅力的だ。時折見せるヴィオラの高音などはやはりブラームスならではの扱い方である。

展開部の始まりは静かな世界。つららからしずくが落ちていくかのごとくである。そこから曲は次第に動き始め、激しさを増す。重さを伴うクレッシェンドなどは、室内楽曲にはあまり見られないし、フォルテは音が分厚く重複も多いのだろうが、これがまた魅力でもある。ピアノが4つある音のうちの真ん中2つにアクセントを付けて弾くという場所があり、ブラームスは時折この方法を使う(交響曲第1番第4楽章など)が、これまた面白い。

最後の部分は静かになった後から、ヘ短調の第1主題を再度登場させて、緊迫感と重量感を持たせて圧倒的に終わる。ここはカッコイイ。

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第2楽章:
ブラームスに特徴的な「歌」のある楽章。変イ長調で書かれているが、ブラームスはこの調を多くの場面で使い、しかもうまいなと思う。最初の部分ではホ長調への展開を少しずつ見せながら、中間部でそこへ持って行く。

本で読んだのだが、長三度の関係にある調に転調すると夢の世界になるようだ。ホ長調を変ヘ長調と読み替えればその関係になるが、まさにそんな感じがする。この部分はキラキラした感じがするのだが、一瞬ハ長調の和音が登場するところが、「どこへ行ってしまうのか?」という感じで味わい深い。つないだ手を冗談でちょっと離したような雰囲気である。

中間部の後は最初の主題に戻る。最後は遠ざかっていくことを惜しむような音の流れ、これは変イ長調という調の持つ温かみをたくさん感じさせてくれる、味わい深い楽章だと思う。

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第3楽章:
緊迫感のある開始、8分の6拍子だがシンコペーションで始まるために、流麗な感じの独特のリズム感がある。うまく言えないが、オトナの雰囲気がする。主題の後半は4分の2拍子となっていて、3拍子型と2拍子型の交錯が面白い。また静かになった後いきなり煌びやかな旋律になるのが何ともカッコイイ。ジャジャジャジャーンという音型がピアノで出てくるのも印象的である。

その後、フーガが始まるのだが、ここでもいろいろな楽器が次々と混ざっていくところの響きが特徴的である。楽器の違いを明確にできるギリギリの長さを狙って音符が選ばれているように感じる。中間部直前のクレッシェンドが交響曲第3番の第4楽章を思わせて、交響的で大好き。その後の弦楽器がゴシゴシやっているところもカッコイイ。これはやってみたい(私が演奏する姿を知る人なら皆さんたぶん納得のはず)。中間部はハ長調。柔らかい雰囲気ではあるが、響きは分厚い。最後に「レ♭ド~~」と力強く終わるところも面白い。

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第4楽章:
最初はゆっくり。主調であるヘ短調から遠い調をウロウロしており、暗くて幻想的な音楽、交響曲第1番第4楽章と同じような感じ。そうなるのは、ルーツは同時期に作られた曲だからなのだろうか。主題はそれと対照的に民謡的である。しかし、それが後に形を変えて重くなってみたりもする。この楽章でも3拍子系と2拍子系が同時に、あるいは逐次的に交錯していくが、これも面白い。こういった場所での実験がさらに後期の作品で活かされているのだなと感じる。

中間あたりのゆったりした場面での転調は味わい深い。変ニ長調とヘ長調を使ったここのコントラストも見事だ。曲が終わりに近づいていくと跳躍も大きくなり、シンコペーションも激しさを増していき、下行音型を連発する部分は圧倒的ですらある。最後の終わり方も紋切り型のものではない、一ひねりある終わり方である。

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この曲は演奏したことがない。このピアノを弾ける人を探すのがとにかく難しいので、やりたい気持ちはあるのだが、実現しない。最近、市民オケで室内楽をするメンバーが増えているのだが、私はなかなか予定を合わせられず、参加できないでいるのが、ちょっと寂しい気がする。たまたまチャンスがないだけなのと、チャンスを作れないでいるためなのだが。一生のうち一度はやってみたい室内楽曲の一つだ。

これからの季節、空気が冷たく張り詰めるときに、この曲をお供に通勤する機会が多くなるだろう。ブラームスの中では、少し他のものと雰囲気が違うのがこの曲の魅力でもある。同じ作曲家でも生涯のうちにいろいろな工夫をしていることがよくわかる。初演されたときは「現代音楽」だったわけだから、相当苦労したんだろうなと楽譜を追ってみると感じることができる。





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Last updated  Nov 27, 2007 07:04:35 PM
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