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2008.04.04
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カテゴリ:現代社会

 NATOが軍事同盟として創設された目的は、ソ連とワルシャワ条約機構に対抗することにあったはずだろう。その宿敵ソ連が崩壊した時代になってみると、NATOに何の役割があるかが問われている。その疑問に対する答えが、東欧地域へのNATO拡大である。「いつソ連の脅威が復活するかわかりませんよ」と米国に脅されると、東欧諸国はNATOに加入せざるを得ない。ソ連に支配されていた東欧諸国にとって、NATO加盟はロシアを牽制する軍事同盟を意味する。万が一の緊急事態に備える安心感が欲しい。それほど、ソ連の亡霊は恐れられている。
 紛争が激発する中東ならばともかく、軍事対決の終わった欧州地域に強大な軍事同盟を維持する意味はない。本気でロシアと対決すると考えている欧州首脳はいない。ウクライナとグルジアをNATOに参加させることを中止した意図は、ロシアの懐柔にあるという。ウクライナの国境地帯に米軍基地ができては、さすがにロシアも黙っていないだろう。チェコにミサイル基地ができれば、その狙いはロシアしかありえない。いくらイランが将来の脅威と叫んでみても、現実に核ミサイルを保有するのはロシアしかいないからになる。東欧諸国は米軍ミサイル基地を欲しがり、それがロシアを刺激する構図になる。
 東欧諸侯の保有する兵器はポンコツ寸前のソ連製が多い。経済改革に追われている東欧諸国は、軍事予算に金をかける余裕がない。それでも、ソ連製の旧式兵器を米国製の最新型に置き換えれば、東欧に莫大な兵器需要が生まれる。東欧諸国も米国製の最新兵器に関心がある。NATOの拡大は、軍事産業に利益をもたらす可能性がある。欧州の緊張緩和が進み、ロシアが無力化すると、マイナス面が出てくる。ロシアが衰退すると軍事予算を減らす動きが出てくる。米国政府にとっても、軍事産業にとっても、予算拡大の口実を失うロシアの衰退は避けたい。
 ロシアは苦しい。ソ連時代の戦闘機や戦車は旧式化している。それを刷新するには、何かを犠牲にしなくてはならない。ソ連時代は国民福祉を犠牲にして軍事予算を確保してきた。そんなことが許される時代ではない。多くの核ミサイルは冷戦時代に製造されたもので、耐用年数が迫っている。ICBMミサイルの液体燃料はタンクを腐食するから、このまま放置できない。新型ミサイルに切り替えたくても、国際世論は許さないだろう。ロシアは八歩ふさがりにある。
 ウクライナをNATOに加盟させるアイデアは、露骨にロシアを刺激する。喉元に刃を突きつけられれば、ロシアは軍事大国に戻る可能性が高い。ドイツとフランスはそれを恐れてウクライナ加盟を中止させたのだが、米国は強力なライバルの復活を期待している。敵がいないと、軍事予算を拡大する口実が消えてしまう。米国政府の本音では、脅威を与えない程度の軍事大国ロシアの復活が歓迎されている。プーチンも愚か者ではないから、その策略を巧みにすり抜けるしかない。 
 NATOの当面の目標は、テロ対策に限定されている。アフガニスタンにNATO軍が出動しているのは、この役割をになうためでもある。米国としては、手を焼いているタリバン対策にNATOを活用したい。せかされてアフガンに出動してみたNATO軍は、タリバンの予想外の抵抗に戸惑っている。テロ対策とはアルカイーダを壊滅させることではなく、アフガニスタン全土をNATO軍が制圧することを意味していたからになる。その軍事的役割は厳しく、つらいものになる。かつて、ソ連が逃げ出したのも無理はない。アフガニスタンを軍事制圧することは、相当の犠牲と覚悟がないとできない作戦になる。本格的な戦場に出陣したことのないNATO軍にとって、これが殊勲の働きになるか、悪夢になるかが見えていない・・・。

 






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Last updated  2008.04.05 07:45:53
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