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萬華鏡-まんげきょう-

隠狸(かくしだぬき)

隠狸かくしだぬき



【登場人物】
シテ:太郎冠者
アド:主

【あらすじ】
太郎冠者が狸を釣っている(捕っている)という噂を聞いた主人が、その真相を問いただすと、「狸など捕ったことはない」とシラをきる。
そこで主人は、この太郎冠者の嘘を暴こうと画作。

主人「すでに客を招いた。狸汁をふるまうつもりなので、市場で狸を買ってきなさい。」と命じる。
実は昨晩、太郎冠者は大狸をしとめており、市場に売りに出かけるつもりだった。
主人「先回りして様子を見に行こう」と出かけ、まんまと太郎冠者は大狸をまさに売ろうとしているところを主人に見つかってしまう。

主人「今、狸を売ってなかったか」
太郎冠者「売っておりませぬ。狸~ぃ・・・売って・・・くださいと言ったのですよ( ̄▽ ̄:) 」

主人は太郎冠者が好きな御酒を振舞い、酔っ払ったところで嘘を暴いてやろうという作戦に出る。
太郎冠者は、必死に腰に付けた大狸を主人に見つからないように隠しつつ、その場を取り繕うのだが、御酒の力で段々と口が軽くなり、主人に向かって"狸捕獲のコツ"なるものをつい得意げに話してしまう。

ますます疑惑の視線を投げる主人。(▼_▼)キラーン・・・

そのうち座興にと舞を所望され、腰に狸をつけたまま、最初のうちは最新の注意を払って舞っていたものがそのうち夢中になってしまい、最終的には腰の狸は主人に奪われてしまう。

そうとは知らない太郎冠者。
主人が袖の後ろから取り出した大狸を観てびっくり。
「わー、ごめんなさい、もうしません」
主人に追い込まれて終わる。


【みどころメモ】
隠狸は和泉流の専有曲。
太郎冠者物の代表的な作品。
主人と太郎冠者の騙しあい(?)絶妙な駆け引きが面白い作品。
酒宴の場面に登場する狂言小舞「兎」「花の袖」「鵜飼」と見どころが満載の曲。
例えば能「鵜飼」の詞章「そこにも見ゆる~」と謡いながら、主人が太郎冠者の腰にある狸を覗き込むようなところなどに使われている。


《兎 小舞》
♪あンの山から~こンの山へ~跳んでで来たるは何ぢゃるろ♪
♪頭にふたつ ふっぷっと 細うて長うて♪
♪ぴんと跳ねたを ちゃんと推した♪


【語句参考】
じょう・・・真実。本当。
認めてしたためて・・・用意して
成合なりあい・・・成り行き次第
小竹筒ささえ・・・竹製の携帯用酒器
遠来えんらい・・・遠隔の名産地より到来の酒
打ちゃくちょうちゃく・・・打ち叩くこと。なぐること。
指神さすがみ・・・陰陽道の天一道(なかがみ)。塞がりの神。この神のいる方向を「ふさがり」と言って忌み、その方に歩く時は「方違え(かたたがえ)」をした。
南無三宝なむさんぼう・・・しまった!
※参考:萬斎インセルリアンタワーvol.6 パンフレット:狂言鑑賞二百一番
狂言鑑賞二百一番



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