その27(10話)261【一文話5】 ●コピー機に白紙を載せ、トレーに再生紙を365枚入れて、 スタートボタンを押すと、1年分のぼくの人生が吐き出される。 ●人に騙されっぱなしのピノキオの目は節穴だった。 ●報道番組のインタビューにこたえる花見客はサクラだった。 ●「わしゃ、たまらんよ」と嘆くハクション大魔王のご主人様は 花粉症だった。 ●「鼻で吸い込んだうどんをそのまま尻から出します」と言って 手品師が排泄したものは回虫だった。 --------------------------------------------------- 262 【来世~プレスリーの場合】 1977年8月16日、エルヴィス・プレスリーが、 過食症で急逝すると── メタボ天使になっていた。 あたまの輪っかはドーナツだ。 --------------------------------------------------- 263 【ニッポン人の定義42】 生餌に群がるピラニアみたいな人種。 --------------------------------------------------- 264 【だ~まちでみかけたへんなひと6】 「だ」 「な」 「で?」 「ん」 「は?」 「な?」 「ふ」 「そ」 「あ」 「へ」 「お」 「が!」 「ね」 「う」 満員電車内のドア付近。 見つめあって会話している男女。 うなずいたり、ほほ笑んだり、まばたきしたり、だまりこんだり。 ふたりは宇宙人か、はたまたテレパスか。 「る?」 「ん」 次の駅で降りた。 乗ってくるものはいなかった。 ドアが閉まる。 「ば」「ぶ」「な」「け」「ぼ」「げ」「さ」「ほ」「ま」「な」「べ」「へ」「か」「ど」…… さっきの男女をけなしている人々。 ここは異次元か? か? か? な。 か? え? お! そ。 --------------------------------------------------- 265 【カミナリ】 今年初めてのカミナリ。 あたまのなかで炸裂する100万ボルトの稲妻。 直後、からだの中心を下から上に突き抜けていく轟音と響震。 こどものころは、鬼が雲の上でボウリングをやっている のかとおもっていた。 つかのまの静寂。 ふいの猛烈フラッシュ。 五臓六腑をひっかきまわす轟音。 感電したかのような全身痙攣。 たたきつける雨音。 集中豪雨だ。 周期的に何度もなんども襲ってくる。 歯を食いしばり、ひたすら耐え忍ぶ。 たのむ、はやくいってくれ。 徐々に勢いがおとろえる。 しずくが垂れる。 嵐は去った。 快感にも似た放心状態。 しばし余韻に浸る。 気を取り直し、ウォッシュレットにて洗浄、ペーパーでぬぐい、 左手をうしろにまわし、コックを押し上げて水を流す。 --------------------------------------------------- 266 【つぎは何~宇宙の法則7】 「そろそろお笑いも下火だな」 調整室のモニターをにらみながら、ディレクターの隼瀬(はやせ) はひとりごちた。 「さてと。つぎは何を仕掛けようか」 考え事をする際、ぶつぶつと独り言をいうのが彼の癖だ。 「とりあえず」 調整室を出て、通路に置かれたベンチにすわる。 くびからぶら下げたケータイを手にとり、住所録を開いて 娘の番号を呼び出す。 今日は娘の二十歳の誕生日だ。 誕生日パーティーに遅れて出席するむねを 連絡しなければならない。 こうみえても彼は家族おもいだ。 「あ、パパだよ。あのな、きょ、うっ、が、げがあごおごがああああ」 とつぜんくちから泡を吹いてくずおれるようにぶっ倒れた。 電話のむこうの娘もぶっ倒れた。 放送局の社員も出演者も観客もぶっ倒れた。 日本中の、いや、世界中の人間がぶっ倒れた。 天空の彼方から、ひょうきんな声が聞こえてきた。 「は~い、人間ブームおわり~」 --------------------------------------------------- 267 【凸~宇宙の法則8】 地球だって肩がこる。 まだ大陸がくっついていて、ひとつだった、 とおいとおいむかしのこと。 トクホンもトクホンチールも サロンパスもサロメチールもありゃしない。 ましてピップエレキバンなんて、あるわけない。 地球は両うでを大陸いっぱいに広げ、 もぐさをかき集めてきて、患部に山盛りにして置いた。 「太陽さん。おねがいです、もぐさに火をつけてください」 「よしきた地球さん。おやすいごよう」 大陸の隅に、のろしのような、ひょろ長い煙があがった。 はぁ~。気持ち~ん、よかよか~。 お灸だ。 その名残が、富士山ってわけ。灸火山っていうくらいだからね。 これホント。 --------------------------------------------------- 268 【ニッポン人の定義43】 2人で荷物を運んでいて辛くなったら無言で手を放す人種。 --------------------------------------------------- 269 【来世~スクーターの場合】 坊さん愛用のスクーターが壊れると── お釈迦になった。 (単なるダジャレっす。許して如~来)。 --------------------------------------------------- 270 【血の面接会場~ミニミニホラー1】 某会社の入社試験面接会場にて。 神経質そうなリクルートスーツの男子大学生が、 近くにいた学生3人を惨殺してペロリと食べた。 その後男は、駆けつけた警官隊に抵抗することなく あっさり逮捕され、取調室に連行された。 取調官:「どうして3人も殺して食っちまったんだ?」 男:「面接前の緊張を解きほぐすためです」 取調官:「なんだって?」 男:「ほら、緊張したときは人を3回飲み込むといいって、 よく言うでしょう」 取調官:「ばかあ! そりゃ、人という字をてのひらに書いて 3回飲み込むんだろ」 人を食った話でした。 ジャンル別一覧
人気のクチコミテーマ
|