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雪香楼箚記

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アンスカ国文学会


2004年05月17日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
  「ビッグ・イシュー」のつづき。
  この雑誌は200円では高い、というのには明確な理由があります。というのは、あちこちの出版社が出している月刊のPR誌があるんですね、岩波の「図書」とか、筑摩の「ちくま」とか、丸善の「学灯」とか。これらがだいたい100円。いや、ちょっと大きな本屋(ビルで立ってるような)にゆくと、たいがい勘定場に積んであってただで持ってかえっていいことになってる。あ、でも、お店の人に確認して下さいね。万引きでつかまっても知らないんだから。
  で、こうしたPR誌、100円だからといってバカにしてはいけない。屑原稿どころじゃない、各出版社で本を出してる人が主に執筆陣になって、軽い随筆なんかが中心ですが、なかなか唸るような記事が載っている。ちなみに今、「図書」で丸谷才一さんが連載している『バオバブの木に書く』、おもしろいですよ。五分の立ち読みで読破できる分量ですからぜひ一度。ちょっと前までは、どこかのPR誌に載っていた(ちょっと失念)山崎正和さんの『社交的人間』がすごい評判で、これは去年中央公論から本になりましたが、小さい出版社で文芸誌や総合誌をつくれないところは、もとから単行本にするつもりでPR誌に連載を載せたりするので、端倪すべからざる力作もしばしばあります。時化がつづくときはほんとに時化つづきで、ろくな原稿が載らなくなったりしますが、100円ではもったいないようなものを読めることのほうがずっと多い。「図書」なんか年間購読(送料含む)で1000円少々じゃなかったか。さすが岩波と無用のよいしょが出るくらいいい雑誌です。

  なにも大岩波の真似をしろとは言いいません。第一、漱石全集と古典大系がなかったらあそこはとっくに潰れてる出版社だから(まあこれは出版社に対する褒めことばのひとつ)、ああいう経営はあんまり真似しないほうがいいんですが、しかし、いくら200円でも、一つくらい原稿料を払うような記事は取ってくるべきではないでしょうかね。もちろん浮世の風とは関係ない、のんびりした随筆かなんかを三枚くらいで。大江健三郎で音楽批評なんてのもいいし、吉田秀和先生で絵の話なんかもいいと思うなあ。書いてくれるかどうかは不安だけど。もちろん小説でもいいんだけど、現状ではちょっと無理だと思う。随筆でもいいから、ともかくこういう芯になる連載がないとどうも雑誌にピリッとしたところができなくていけません。
  その意味で非常に残念というか失望したのは「ビッグ・イシュー」の書評欄。これはちょっとひどすぎる。あんまり書くと営業妨害になるくらいひどいから、気になる方は御自分でたしかめてください。書評がよくないということは雑誌そのものがよくないということです。どうしてか? 理由は簡単。雑誌はいろんな寄稿者を編集部が捜してきて成りたつメディアです。雑誌のいのちはおもしろい書手。「文藝春秋」の立花隆、「世界」の大江健三郎、「正論」の石原慎太郎なんて看板役者(まあ最後のはどうかと思うけれど、あれはそれで売れてるんだし)がいれば編集長は左うちわです。その書手を見つけるには、どうしたってふだんからいろんな本を見てアンテナを張っておくしかない。書評が悪いということはこのアンテナの感度が悪いということ。そんな雑誌がおもしろいわけがない。
  ちなみに、今書評のいい新聞雑誌は、新聞で「毎日」(これが図抜けている。毎週日曜、ここに出てくる評者、筆者の名前をずらっと見てみて、半分以上の名前に見覚えのない方、自分の知的感度に要注意です。それくらいいい)、雑誌で「東京人」(書評家が作った雑誌みたいなもんですな。実にみごと)、「芸術新潮」(前の鹿島茂さんのもおもしろかったけれど、今の筆者もいいです)、「文藝春秋」(やや落ちるがまあいいとしよう)、「週刊現代」(割といいんです、これが。作者のインタビューもおもしろい。女の人の色っぽい写真が載ってるだけの雑誌じゃないんですよ)。特に「毎日」。これからいったらあとの全国紙は滓みたいなもの。「読売」「朝日」はスポーツ紙並だし、「産経」は塵紙以下。「日経」はもののみごとに毎回微妙にポイントがずれていて、別な意味でおもしろい。――「週刊現代」を唯一の例外に、これらは今いずれも調子のいい雑誌です。「毎日」だって売上げではあんまりぱっとしないけれど文化欄はものすごく充実しているし、石器の偽造や梁塵秘抄の新断簡(五年くらい前かな?)なんてほかの新聞では思いもよらないスクープを出したりしている。いい新聞ですよ。

  結論としては、「ビッグ・イシュー」は早急に原稿料を出す経済的な余裕を生むべきです。そのためには100円くらいは値上げしてもいい。160円を販売員に、90円を製作費に、50円を原稿料にするくらいのつもりで編集を見直すべきです。で、できるだけはやく「毎日」の書評委員を一人スカウトして書評をやらせること。鹿島茂さんなんかいいんじゃないかな。もちろん編集顧問にもなってもらう。それだけでずいぶん違うはずです。売れる売れないの問題ではない。「ビッグ・イシュー」をどれだけ続けたいのか、あるいは社会に根の生えた雑誌にしてゆくかの問題です。――それがかならず雑誌の「色」につながってゆくはずです。「毎日」の文化欄は丸谷才一を書評委員長にしてからずいぶん洗練された「色」が出てきた。それとおなじこと。そして「色」さえできれば、雑誌の存在感というものが生れてきます。これが固定客につながってゆく。
  雑誌というのは、端的に言うと、「こういう趣味の雑誌が好きだ」という客がいちばん多い。同じ週刊誌でも「文春」と「新潮」と「現代」とどれを買うか、というのは、そういう、気の問題です。で、その次に多いのが「この連載は読みたいから」という客。古く「朝日」の漱石、近くやっぱり「朝日」の『音楽展望』(吉田秀和先生)。これも最終的には気の問題です。「吉田先生のような人が書いてる『朝日』の趣味が好き」ということ。雑誌の色というものはそうやってできる。そして、だからこそお客につながるのです。

  最後にもうひとつ、販売方法に不満が。いったいどこで売っているのかまったく見当がつかないというのはやはり問題。本屋で売るわけにはゆかないのでしょうが、例えば販売員の一人もいない土地では本屋におろして110円分を有効に利用する、というのではいけないのか。どこそこでは流通して、どこそこでは読めない、というのでは雑誌としての意味がない。それに、バックナンバーのしっかりした管理も必要でしょう。直接浮浪者の人から買わなかったのでわかりませんが、ぼくに売ってくれた人がわざわざ「バックナンバーあります」という看板を用意していたところを見ると、一般の販売員のところではバックナンバーが手に入りにくいらしい。これは雑誌を発行する以上あってはならないことです。どの販売員からでも、きちんと古いものが流通し、買える状態にしておけないなら出版事業なんかしてはいけない。例えば街頭で販売員の人に「今年の二月号が欲しい」と言ったときに、「明日持ってきます」あるいは「バックナンバーはこちらに問いあわせてください」と対応できなければ、雑誌屋としての信用がなくなってしまいます。この点も再考をうながしたい。

  たくさんけなしたので褒めておきたいところも。まず紙質と刷りがいい。やや色が暗くなりがちですが、カラー刷りとしてはなかなか立派なものです。造本が雑なのは、これは仕方がないでしょう。ページが少なすぎるんだから。表紙が有名人の写真というのも悪くない。「メグ・ライアンの号ね」なんていう売り方はちょいと洒落ています。なかの記事では、大阪のあちこちの駅で路上ライブを取材してきたイラスト入りの記事が読ませました。連載ものらしいのですがなかなかおもしろかった。顔の特集なんかよりこっちのほうがずっといい。まじめにやる必要はないんです。遊び心がだいじ。
  この雑誌は浮浪者の人を助けるためのものだから、べつにおもしろくなくてもいいんだ、という考え方もあるかもしれません。しかしそれは間違っている。雑誌の精神は、浮浪者の自立を助けるために施しではなく商売の一つとして雑誌を売ってもらう、というところにあるそうですが、それならばなおさら内容に気をくばるべきでしょう。今の「ビッグ・イシュー」を200円で買うという行為は、施し以外のなにものでもない。街頭でいっしょうけんめい売っている人のためにも、編集部はもっと努力をするべきです。
  ちなみに、200円のところを300円、あるいは400円と置いてゆこうとする人が多いらしい。――どうも、日本人も心づかいの仕方が下手になったと見えますね。そういうときは五冊くらいまとめて買えばいいと思うんですがね。余分を配ってあげれば宣伝にもなるし。





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最終更新日  2004年05月19日 09時51分07秒
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