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世田谷区の主催、教育委員会の共催で行われた、「ゲーム脳」の森昭雄博士の講演「テレビゲームと子どもの脳」に行ってきました。
現場に足を運ぶことは、やはり大事だわ。 小説家の川端裕人さんのブログ「リヴァイアさん、日々のわざ」(http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/)で、状況の変化を嗅ぎ取り、「こりゃ現場だ」と思って世田谷線に乗って行ってきたわけです。 森博士の唱える「ゲーム脳」に対する賛否両論などもいろいろ見聞きし、「ゲーム脳」理論は科学未満の仮説(でさえ無いなにものか)であることは、知っている。 遅れて会場に入れば、なんでも400人ほどの入りだとか。 子連れのお母さんなども多く、「子どもの脳」に対する関心の高さがうかがえる。 さて、初めて森博士の講演を聞いて、質疑応答なども聞いて、はっきりしたことがある。 森昭雄氏は、科学者ではない、あるいは科学者の風上にも置けない。 って。このように、個人攻撃に走ると気持ちいいのだけれども、あの会場の雰囲気を味わうと、今キモチイイだけではいけないと強く思うのだ。 子を思う親の素朴な気持ちが、あの会場にはあった。 「うちの子がゲームにハマっちゃって、どうしようもなくて…」的なお母さんもいた。 あらかじめ不安を抱え、なにかすがりたくなるような考えを求めて来ている客。 欲しい答えが、やる前から決まっているっぽいのだな。 そこになにが注がれたのか。 薄暗い会場にプロジェクターで大写しにされた、脳に電流が走っているようなサイケデリックな動画や、頭に電極をつけられた少女の写真。ともに語られるオソロシイ「ゲーム脳の恐怖」。 いやさ、その映像群は三次元マッピング可能な高級脳波計の紹介写真や、読書中のシナプス発火をスキャンしたものだが、森氏が話す内容は、脳神経に関する高度に専門的なもので、実際あそこにいたお母さんたちの何人が理解できたであろうか。 前半に、脳神経に関する専門家でしかわからないような用語でもって立て板に水のパワーポイントプレゼンの嵐。 頭がぼーっとした後半は、薄暗い会場でのサイケデリックな映像で恐怖を煽りつつ、科学的なニオイがする(実際は検証されていない仮説以下の)ムツカシイ事と、わかりやすい「ゲーム脳の恐怖」の繰り返し。 これは、自己啓発セミナーに似ている。洗脳合宿に似ている。 お母さん達相手に前頭前野とか視覚野とかいう専門用語での論文発表を一時間以上して、後半はゲームをすると「無口、無気力、集中力ナシ、キレやすい」子どもになると、畳み掛ける。 後半の畳み掛けには驚いた。 ゲーム脳の症状とされる脅し文句と、脳に関するデータが交互に出されるのだが、そのデータに短絡や欠損があっても、森氏の話はドンドン進み、誰もそのことにリマークを入れられない。 「ゲームをすると認知症と同じになる」ということを、違う表現で、その印象だけは植えつけていた。あれは詭弁のテクニックだ。 「ゲーム脳」は素朴な“脳波計”でとったデータからの直感で閃いた仮説にしか過ぎないはずだ。 欠席裁判だ。自己啓発セミナーと洗脳合宿と、欠席裁判だ。うへえ泣けてくる。 しかし、聴衆は、万雷の拍手で森氏を称えたのである。 この「ゲーム脳」に代表されるような子どもの成長への不安感って、煮詰めると、「あんたの子育ては失敗」ってことを言わなければいけなくなる瞬間がくる。 とくに、赤ん坊の将来を思って来場した若いお母さんではなく、いままさに子どもがゲームに噛りついて叱ると「キレる」子どもを持ったお母さんの焦燥感は、胸狂おしいほどにわかる。 そのね、我が子を思って不安に駆られている親御さんのすがるような気持ちはね、確かに「ゲーム脳」という言葉で、今その瞬間は癒されるかもしれない。 でもね、「ゲーム脳」というのは、現状、限りなくウソに近いってことを説明されないのはね、むしろとても残酷極まりないことだと思うのだ。 その点、世田谷区は、しっかりとしてた。反論の多い理論だって説明してた。これは川端さんの行動のお蔭だ。 でも、その世田谷区の説明も、聴衆の耳に届いていたかというと、ちょっと疑問で。 薄暗い会場でシートに2時間座らされて、サイケデリックな映像と共に刷り込まれた「恐怖」は、ちょっと抜けにくいのではないかと思うのだ。(その点で、森氏のプレゼンスキル、洗脳技術は、さすが脳を研究した人間のワザだと思ったね!)。 まして、あの会場に集まったということは、デジタルディバイドって状況を体現する人たちではないかと、ちょっと思うのだ。 反証を手に入れにくい人。週刊文春の草薙レポートを丸呑みの人。 質疑応答の時間、川端さんが挙手し、「家に帰ったらゲーム脳を検索して欲しい。唯一無二の完璧な理論ではない」といったようなことを聴衆にアピールした。 かっこよかった。 大事なのは、そこだ。 安全だと思って逃げ込んだ小屋の裏は燃えているかも知れない。それは自分で確かめるしかない。 万全だと思って跨がった自転車は、ブレーキが故障してるかもしれない。走り出す前に、自分で確認しないといけない。 当り前のことをしようじゃないか。 子どものために。大事な人のために。責任を、取り戻そうじゃないか。 さて、森氏が「科学者ではない、あるいは科学者の風上にも置けない」と思った根拠は、次回のエントリで。 この記事のトラックバックURL:
http://tb.plaza.rakuten.co.jp/sendatte/diary/200602090000/7235e/
と、先月PTA懇談会で講演してくださった心の相談員をしていらっしゃる講師の方がおっしゃってました。
私はただ「ああ、そうなんだ」と思っただけで。 ゲーム脳という言葉は時々耳にしてましたが、ソレがどういうものかは全くご存じなかったワタクシ。 子の親として、ちょっと鈍感ですねー。反省。 ちなみにその講師の話では、両親の仲がよく家庭の雰囲気がよければ、子どもの精神も安定しいわゆる「キレやすい子」にはならない(なりにくい)ってことでした。 至極当然なことのようですけど、そういうことわからないで、自分達以外の何か他のモノのせいにしたがる親が多いということなんでしょうか。(2006.03.07 00:10:48)
これは宗教ですね、ゲーム脳教。
嘘八百で親の不安を煽る教祖様と、子育ての悩みを外部に持っていこうとする信者の関係。 森教授は以前、雑誌のインタビューで斉藤環氏の反論に対して言及してましたけど、内容は斉藤氏より自分のほうが研究者として上だとかいう程度で、とても再反論と呼べるようなものではありませんでした。 これ、似てるんですよ。何年か前に問題になった宗教団体の代表が「私はサイババの生まれ変わりだ」と言ったり、サイババ生きてるじゃん、と言う突っ込みに「それはサイババの勝手です」とほざいた、あの辺の感じに。(2006.03.07 03:07:21)
|これは、自己啓発セミナーに似ている。洗脳合宿に似ている。
お役所主催の洗脳合宿・・・嘘で洗脳された被害者たちを救うのは誰がやるんでしょう? お母さんたちが可哀そう過ぎます。役所主催って信じて行ったでしょうに。 昔のSFでこんなのありました・・・友達に「面白いサーカスだから見ておいで」だって進められて、 行ったら知らぬ間に心臓がモーターに取り替えられて、「ドキドキ」が「ブルンブルン」に・・ 今度は自分が無意識に他の人に「面白いサーカスだから見ておいで」・・・ 読んだのは30年くらい昔ですが、今頃になって現実になるとは恐ろしい。 (2006.03.07 03:45:15)
初めまして。
講演聴いて帰った親御さんたちの子供のその後が心配です。 親が洗脳されて帰ってきたときほど悲惨な時はありません。 困ったことに、日本って洗脳と教育を混同してるからなぁ。洗脳を拒絶すると社会的に駄目人間にされたりするし。 俺の住む長崎は、ここ最近時代錯誤な青少年健全育成教育とやらにお熱なんで、今後の展開が不安でなりません。(2006.03.07 10:44:52)
haru4033さん
どうもです。 現状は「ゲーム脳というものが存在すると主張するのはオカシイ」といったトコロです。 ゲーム脳を知らなかったからといって反省することなんかないですよー。 世田谷の親御さんたちも、「テレビゲームと子どもの脳」という講演名で来た人も多いんでしょうし。 森氏の「研究」には、家庭環境の条件がまったく加味されてないんですね。 子どものことを思うのだとすれば、その研究にどのような意味があるのかさっぱりわからないのですが。 本文に書いたように、この件を突きつめると、「親失格」みたいなことを言わないといけない瞬間が来ます。 至極当然のことをわからない親の増加というよりは、認めたくないとか、自分は悪くないのだから、原因はヨソにあるはず、という焦りみたいなのがあるのかもしれないと思いました。 (2006.03.07 19:58:47)
ぶるーさん
不安という感情は厄介で、科学的反論で洗い流せるものではないのです。 森氏のひととなりは、あちこちで言い尽くされ、泡吹いて死んでしまうほどに読めますけど、だからといって「ゲーム脳」なるものに一条の光明を見いだす親御さんの不安は解消されないっぽいんです。 これ、とても面倒くさい問題なんです。 (2006.03.07 20:04:47)
40代のおっさんさん
どうもです。 役所主催とはいえ、川端裕人さんの行動によって、世田谷区もフォローを入れております。 その声が聴衆に届いたかはともかく、主催側は、すでに進んでいる企画のなか、できるだけのことはしてくれました。 ただ、森氏は講演の中で、しきりに文部科学省とか小泉首相という言葉を口にしておりました。 気になるのですが、細部を思い出せません。 しかし、このままゲーム脳理論の跳梁を許せば、いずれは日本中の子どもの心臓が「ブルンブルン」と鼓動するのでしょうね。 なんちて。 (2006.03.07 20:10:20)
通りすがりの自働人形さん
はじめまして。 我々は、幼い頃から、本に書かれてることは全て本当で、エライ肩書きのセンセイのいうことは正しい、という社会的合意の中で生きてきました。 だからマイナスイオンは健康にいいし、水の結晶は感情を物語るし、ゲームをすると脳が壊れるのです。 んなワケねー、と笑い飛ばせる人の方が少ない社会なのですね。 長崎も純潔教育ですか。本当にヤバいですね。 なんとかならんものでしょうか。 (2006.03.07 20:16:50)
はじめまして。あまりに興味を惹かれたため自分も記事を書き、TB・リンクさせて頂きました。
>不安という感情は厄介で、科学的反論で洗い流せるものではないのです。 >これ、とても面倒くさい問題なんです。 そうですね、本当に。 冷静ならば「ゲーム脳」を鵜呑みにすることはないはずだけど、そういう人はそもそも「ゲーム脳」にとびついたりしない。とびついてる人たちは... >この件を突きつめると、「親失格」みたいなことを言わないといけない瞬間が来ます。 そうなんですよね....。自分が子育て未経験なのであまり言いたくないのですが(それに自分がたまたまうまく行ってても偉そうに言えることではないし)。本当にやっかいな問題です。「親免許」とか作るしかないのかな。ちゃんと剥奪もする。(2006.03.12 23:51:03)
あひるさん
はじめまして。 本当に厄介で。 免許とか言っちゃうのは、ちょっといかがなものかとは思うのですが、、。 そもそも不安を感じない人間はいないわけで、その不安に乗じる詐欺的な手法を用いる森氏は、ホント困ったものです。 不安を軽減できる世の中になるのが、きっといいんだろうなって思うンですけどね。 (2006.03.14 01:30:55)
ぶるーさん
>これは宗教ですね、ゲーム脳教。 >嘘八百で親の不安を煽る教祖様と、子育ての悩みを外部に持っていこうとする信者の関係。 > >森教授は以前、雑誌のインタビューで斉藤環氏の反論に対して言及してましたけど、内容は斉藤氏より自分のほうが研究者として上だとかいう程度で、とても再反論と呼べるようなものではありませんでした。 >これ、似てるんですよ。何年か前に問題になった宗教団体の代表が「私はサイババの生まれ変わりだ」と言ったり、サイババ生きてるじゃん、と言う突っ込みに「それはサイババの勝手です」とほざいた、あの辺の感じに。 ----- 本当に困ったものですよ。私の兄も信じているんですが、最近、ハイルゲーム脳!ハイルゲーム脳!といってるように聞こえるんです。信じる前はまじめだったのに・・・と思っています。本当に恐ろしいですね。(2009.08.08 10:10:15)
http://www.viralarticle.com/article1161.html
http://lifesavior.jugem.jp/?eid=170 http://lifesavior.jugem.jp/?cid=24 上のURLはカルトです。はっきりいって見る価値はありません。それにしてもここなのだろうか。元凶の元凶は。 最先端医療でも敗北シリーズ 作者は死人シリーズ キリスト「無理」 キリスト逃げて(2009.08.10 09:49:28) ■トラックバック(7)
続・森昭雄氏の講演会の続きです。 川端裕人さんの、リヴァイアさん、日々のわざ:(2006.03.07 14:56:22)
資料写真: ITに殺される子どもたち蔓延するゲーム脳 →この商品をAmazonでチェック 日本大学文理学部教授で大脳生理学の大家としても有名な森昭雄氏が7日、日大付属病院に緊急入院した。自宅で静養中に突然強い発作を起こしたため。同院では「急性ゲーム脳」と...(2006.03.07 22:56:18)
批判的な立場からレポートを見ると森氏のトンデモさが強調されているようにしか見えないのですが、ゲームにハマっている子供を持つお母さんからすれば偉い人がゲームは悪いものなんだと保証してくれたと感じられるんでしょう、残念ながら。(2006.03.07 23:08:53)
2006年2月14日でとりあげた世田谷区での、ゲーム脳講演のレポートの続編あがってきてたー
「あなたの方がおかしい」と森昭雄氏に言われるの巻(世田谷区のゲーム脳講演リポートその2)
ちなみに、ネット検索問題について、森氏は、「わたしは人の批判はしないが、わた...(2006.03.08 10:43:32)
先日、世田谷区でゲーム脳の講演会が行われた。ゲーム脳の講演会に異議を唱えていた小説家の川端裕人さんがその詳細を語っていた。
その場に居合わせなかったものの、バカ教授に言いたいことはタップリあるので発言内容に付いてつっこんでいこうと思う。
ほどほどでやめ...(2006.03.08 16:30:23)
http://plaza.rakuten.co.jp/sendatte/diar(2006.03.09 18:32:46)
川端さんを中心としてさまざまな人々の視点が繋がっていくさまが見事です。そして拍手問題。カルト・熱狂でなかったのならなおさら、あの場で一番無責任だったのは深く理解もせず拍手した聴衆なのではないでしょうか。(2006.03.12 23:32:43)
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