【読書】大家さんのためのアパート・マンション経営の法律常識
読書メモ2018/07/252018/07/23読了【中古】大家さんのためのアパート・マンショ経営の法律常識 [Sep 15, 2005] 中島 義勝、 彦坂 浩一; 久保内 統大家さんのためのアパート・マンション経営の法律常識2005年9月20日 初版発行著者 中島義勝、彦坂浩一、久保内統著者はいずれも弁護士であり、特に彦坂氏は不動産取引に関する法律業務に関する著書もあるようだ。実際に不動産経営をしているかどうかは不明。大家さんがアパート・マンションを経営する上であらかじめ知っておくことで法的トラブルを予防できるような法律上・契約上の知識についてきわめて実務的に書かれた本である。とくに契約関係については参考になる文書のひな形を多く掲載している。私は、高校を卒業して実家を離れて以来K大T寮に1年半K大M寮に4年半職場のK宿舎に約2年国家公務員宿舎A宿舎(国家公務員ではないのだが特例で借りられていた)に約13年半現在住んでいるI宿舎(単身者だが特例で借りられている)に約2年半で就職浪人中に半年間実家に戻っていた以外常に寮や宿舎に住んでいて、民間のアパートに住んだことがない。およそ2年半後には現在住んでいるI宿舎が廃止となるため否応なく退出せねばなない。結婚でもしない限りは他の宿舎に移ることはできないので民間のアパートを借りねばならないこと必定なのである。ということで、この本は大家さん側からの目線で書かれているのだが民間アパートに住んだ経験のない私からしたら初めて知る話が多くてたいへん勉強になった。ここまで数軒の貸家に住んできている人も大家さん側がアパートを経営する上でどんなことに備えているのかということを知ることが出来る本だと思う。(書いているのは大家さんではないと思うけども)また、国家公務員宿舎を退出する時は「原状回復」で相当の金額を支払わされたのだがこの本を読むと「経年劣化」に相当する部分は借主側に負担する義務はなく国家公務員宿舎管理者側の「原状回復」についての認識がかなり現実とズレていることがわかる。また借主側の原因による修繕等も最小単位で行えばいいということでフローリングの全面張替え、クロスの全面張替えというのはムチャクチャな要求だったことがわかった。そもそも、クロスやフローリングの一部が著しく劣化した原因となった雨漏りをこちらの報告にも関わらず修理せずに放置してたのは貸主側なのだから。以下、興味を引いたところを。p.31 【建設施工業者の選び方】 「できる限り設計・監理と施工は別会社に依頼します」p.130 【賃料滞納に対する遅延損害金の定め方】 家賃を払わないでいると、6~10%程度で定められている遅延損害金を支払わなければならないと。 寮はしばらく払い忘れても特に問題になることは無かったし 宿舎は給与天引きなので払い忘れるということ自体無かったのだが 私はモノ忘れが激しいので、毎月この日に家賃を支払う・振り込むというのは すぐにうっかり支払い忘れてしまいそうで怖い。p.144 【敷引特約とは】 関西方面で行われている慣習「敷引き」についての説明 この制度にかかわることは無いと思うが 時折耳にする「敷引き」という制度の仕組みがわかった この慣習が一般的でない地域では無効になることもあるとか。p.224 【家賃督促に使える内容証明郵便】 「用紙が2枚以上になった場合は必ず割り印をします。」とあるが、 内容証明郵便で行う割り印がどういうものなのかわからなかった。p.263【明渡しの際に問題となる「原状回復」】 「本来の原状回復の意味は、「建物内の荷物や設備類を撤去したり、 建物に加えられた変更を戻すこと」なのです。」なお、この本は2005年8月現在の法律・判例に基づいて書かれているがこの本の終盤を読むと、それまで認められていた貸主側に有利な事項が徐々に認められなくなってきている判例(裁判例)が増えているように感じる。現在ではさらに事情が変わっているかもしれないのでどうせ勉強するなら最新の法律知識に基づいた本を読んだ方がよいだろう。なお、中古本でも1000円~5000円の高値が付いているそれだけ良書ということなのだろう、確かにアパート経営についても法律についても門外漢なのに読んでいてわかりやすい本だった